目次
■4月10日(土)・11日(日)に岡山国際サーキットで開幕するSUPER GT 2021
2020年はコロナ禍の影響で開幕が大幅にずれ込んでしまったスーパーGT。
しかし、今年は観客の導線や検温および徹底消毒などを盛り込んだ感染予防対策や、選手、レースクイーン、チームスタッフ、場内清掃や物販業者、キッチンカーなどの出展者、そしてメディアに至るまで、PCR検査を行ったうえで毎日の問診表提出を大会開催2週間前から決勝日の朝まで行うという徹底した健康管理のもと、当初の予定通り4月10日~11日に岡山国際サーキットで開幕することになりました。
3月27日・28日には今年(2021年)で2回目となる公式テストが富士スピードウェイで行われ、ほとんどのチームはカラーリングを含めた開幕戦に向けた仕様でのテストに臨んでいました。
そんな中で昨年から大きくカラーリングを変えたGT500クラスの3チーム。実はそれぞれに「大人の事情」を持っていたのです。
●2015年以来SUPER GTに復活したENEOSカラーのGT500「ENEOS X PRIME GR Supra」
Rookie Racingの14号車は今年、メインスポンサーが石油元売として日本の最大手のENEOSとなったことで、当然ながらENEOSのイメージカラーとしてのマシンデザインが施されます。このオレンジとゴールドを組み合わせながら派手すぎないカッコよさを実現したデザインは、秀逸といえるものではないかと思います。
実はこのマシングラフィックのデザインをしたのは、このENEOS X PRIME GR Supraのドライバーでもある大嶋和也選手。意外…と言っては失礼ですが、グラフィックデザインでもプロの領域にあるのでしょうか?
2015年にENEOSがスーパーGTから一時撤退した際にもドライバーとして活躍していた大嶋選手が今年、再びENEOSカラーに乗るという事実は、観る者にとっても感慨深いものがあります。
■ブランド統合によりマシンイメージが一新したTEAM KUNIMITSU「STANLEY NSX-GT」
昨年のスーパーGT最終戦の富士、ラストラップの最終コーナー立ち上がりでの大逆転でシリーズチャンピオンをもぎ取ったTEAM KUNIMITSU。今年のマシンにはチャンピオンゼッケンである1番が掲げられます。
ゼッケンは1番であるものの、今年のマシンは少し様子が違います。そう、ブランド名称が変更となったのです。
昨年までは自動車用ライトのブランドとしてRAYBRIGを掲げ、それに合わせた黒と青をベースにしたマシンカラーリングでした。
しかし、そのRAYBRIGブランドが社名であるスタンレー電気のグローバルブランド「STANLEY」に統一されたために、それに合わせて黒からグレーのグラデーションをベースに、オレンジのSTANLEYのロゴが組み合わされることになりました。
実際はブランド名のみの変更なのでRAYBRIGブランドで販売していたヘッドライトバルブなどの製品はSTANLEYブランドとなって店頭に並んでいますし、TEAM KUNIMITSUの体制も変化はありません。
■会社吸収による企業統合でブランドが変更になったREAL RACINGの17号車 「Astemo NSX-GT」
REAL RACINGの17号車のスポンサーとして長年チームを支えてきたKEIHINといえば、古くは高性能フラットバルブキャブレター、現在では燃料噴射装置やカーエレクトロニクスのブランドとして知名度の高さを誇っていました。
そのKEIHINが2021年1月1日に日立オートモーティブシステムズと合併し、日立Astemoとして企業が統合され、そのままREAL RACINGのスポンサーとして今後もチームを支えることとなりました。ちなみに日立AstemoはKEIHINのほかに、ショックアブソーバーなどを手掛けるショーワと、ブレーキ関連を手掛ける日信工業も統合されています。
カラーリングのパターン自体はKEIHIN時代を踏襲してはいますが、KEIHINのイメージカラーとして青かったボディの上半分はAstemoのイメージカラーである濃厚な赤となります。
チームとは直接関係があるわけではありませんが、モータースポーツ業界ではこの企業統合により大きく変わったことがもう一つありました。
それは、鈴鹿サーキットのシケインの名称が「日立オートモーティブシステムズシケイン」から「日立Astemoシケイン」に変更されたこと。実況アナウンサー泣かせといわれた長い名称がいくらか短くなったのです。
こういった「大人の事情」(?)を知ることで、4月10日からのスーパーGT開幕戦の観戦にも深みが増すのではないでしょうか?
GT300クラスのカラーリングのお話は、また別の機会ということで。
(写真:吉見 幸夫/文:松永 和浩)