沖縄バイク通行規制が一部区間で解除、バイクもクルマと同じ走り方が可能に

■ビッグバイクも第一通行帯しか走れない

38年ぶりに沖縄県内にある二輪車だけの車両通行区分が、国道329号の一部で規制解除されました。歓迎されている一方、引き続き全線での見直しを求める声もあります。

那覇市内、国道58号線に残るオートバイは第一通行帯を走れ、という規制標識(松山交差点/提供 宜野座朝洋氏)

沖縄県警は1983年1月から主要国道で、バイクは第一通行帯を走らなければならない、という交通規制を続けています。この規制解除が3月18日、国道329号と県道255号(沖縄市比屋根交差点~うるま市東恩納南交差点)の約11kmで実現しました。

見直されたのは、すべてのオートバイの通行を路肩に最も近い第一通行帯に限るという規制です。

沖縄県警交通規制課によると「二輪車による交通事故の抑止対策や交通マナー向上を目的として実施してきた」(沖縄県警交通規制課)もので、国道329号、330号、58号の主要国道、総延長82kmで実施されてきました。

沖縄県警のHPに掲載されたバイク通行規制

見直しのきっかけは何だったのでしょうか。

「近年の交通事故に占める二輪車を原因とした交通事故の減少や交通環境の変化、二輪車運転者の交通マナー向上に一定の効果がみられるため、効果検証を終了した区間から規制の見直しを図ることにした」(同交通規制課)

◎増える車線変更に危険あり、という指摘も

車両による車線規制は、高速道路を走る大型車で第一通行帯を走ることが定められていますが、交差点のある一般道では、逆により注意深い運転が必要になることが指摘されています。

沖縄県オートバイ事業協同組合の宜野座朝洋理事長はこう話します。

「規制区間は幹線国道なので、バス停も、路上駐車車両も多い。第一通行帯を走り続けるために車線変更を繰り返さなければならず危ない場面が日常的にある」

バイクは第一通行帯以外は走行できませんが、乗用車やトラックなど四輪車は、第一通行帯を走ることができます。バスレーンのように第一通行帯がバイクの専用レーンというわけではありません。全国でも珍しい規制です。

「今は暴走族もほとんどいない。マナーの悪いライダーはどんどん取締ることはかまわないので、他の区間の見直しを期待している」(同前)

●法令順守に運転者の高度な判断必要

観光で沖縄を訪れるライダーには、戸惑いもあります。レンタルバイクで規制区間を走ったことのある東京都内在住の男性はこう言います。

「右折時に左から右に3車線も横切らなければならないと説明されても、右側に寄るきっかけがつかめない」

沖縄県のバイク事故は全国平均を上回っています。規制による効果はあった、と沖縄県警は説明します。

「自動二輪乗車中の負傷者数は登録台数に比例して増加し続けていたが、規制の効果と相まって運転マナーが向上したことで、2012年移行は減少に転じ、19年には規制開始当時を下回る状況となった。事故抑止効果はあったと考える」(交通規制課)

規制の残る約71kmの区間での右折方法についても聞きました。

「道路交通法第20条第3項などでは《予め、その前から》となっている。道路や交差点の形状は多々あるので一概に交差点の何メートル手前ということはできないので、運転者のほうで安全に右折できる距離を判断して右折いただければと思う」(同課)

通行帯が指定されている場合の違反は、5万円以下の罰金。反則金は自動二輪で6000円、原付で5000円です。感染対策で移動が難しい時期ですが、沖縄を訪れるライダーは、これからも注意が必要です。

(文・中島 みなみ)