トップレースクイーン・生田ちむさんと「新型トヨタMIRAI」に乗って感じた水素の利点とは?

■トヨタMIRAIは水素で走る

2020年12月9日に2代目が登場した、トヨタの水素燃料電池車「MIRAI(ミライ)」。

2代目トヨタMIRAI
2代目トヨタMIRAI

水素が燃料…というと、水素を燃焼させているイメージもありますが、実際は水素を空気中の酸素と反応させて電気を作り出すのが燃料電池の役割で、その電気を使って電気モーターを駆動し走るのがMIRAIです。

有害な窒素酸化物や温室効果ガスを排出しないゼロエミッションカーとして注目されています。

MIRAIのボンネットの中
MIRAIのボンネットの中

水素の発電機を積んだハイブリッド車、と考えればわかりやすいかもしれません。

水素で発電するだけはなく、ハイブリッド車や電気自動車のようにブレーキを掛けたり坂道を下ったりすれば回生システムにより発電され、その電気を蓄えるリチウムイオンバッテリーも搭載します。

2代目トヨタMIRAI
2代目トヨタMIRAI

エンジンなどの振動する機構は一切持たない燃料電池車のMIRAIの乗り味は電気自動車そのもので、発進時からフルトルクがかかるために、その気になればトヨタやレクサスの中でも一番の強烈な加速が味わえます。

しかし電気自動車と少し違う部分もあります。それは、軽快感。

トヨタは本気で水素燃料電池車を売る気なのでしょう。MIRAIの車格、初代はプリウスクラスでしたが2代目はレクサスLSやクラウンと同等と言えます。補助金なしで購入しても、車格を考えれば710万円という価格は納得できるのではないかと思いますが、そこに補助金が加われば500万円台ということで、お買い得感はかなり増します。

●水素の利点とは?

電気自動車のシステムに燃料電池を乗せただけじゃないの?という意見も聞こえてくる、トヨタMIRAIをはじめとした燃料電池車。

2代目トヨタMIRAI
2代目トヨタMIRAI

電気自動車と燃料電池車はいったいどれだけの違いがあるのでしょうか? その違いは、エネルギー密度の差と言えます。

経済産業省のサイトで閲覧可能な資料に、『第10回水素・燃料電池戦略協議会の事務局提出資料「水素社会実現に向けた戦略の方向性」』というものがあります。その中にエネルギー密度に関する内容が記されています。

燃料電池"FUELCELL"のバッヂ
燃料電池”FUELCELL”のバッヂ

資料によると、リチウムイオンバッテリーが容積1リットル当たり300Whであるところを、70Mpaという高圧水素ガスでは1800Whとなり、なんと6倍のエネルギー密度を得ることが出来ます。

また、重量による対比とすれば、リチウムイオンバッテリーが1kg当たり100Whであるところを70Mpaという高圧水素ガスでは10000Whとなり、なんと100倍のエネルギー密度を得ることが出来ます。

MIRAIのボンネットの中
MIRAIのボンネットの中

水素タンクの容量などでかなり制約を受けますが、新型MIRAIはこの大きなボディに5kgの70Mpa水素を搭載して、カタログ値で800km、実質550~600kmの走行距離を走ることが可能で、国産の電気自動車のほぼ2倍の距離を走行することが出来ます。

かのテスラモータースのイーロン・マスク氏は、「高電圧充電可能なバッテリーを大量に積み込めば水素燃料電池はいらない」と発言していますが、その話のまま電気自動車を開発すれば、バッテリーの重量はどんどん嵩んでいってしまいます。

そうなればサスペンション、ブレーキ、タイヤにかかる負担も大きくなります。たとえば、国産の電気自動車に積まれるリチウムイオンバッテリーを単純計算でカタログ値800kmを走ることが出来るだけ積むとなると、その重量は843kgにも達します。

2代目トヨタMIRAI
2代目トヨタMIRAI

自動車として重量は軽い方がいいのはよく言われることです。航続距離を長くする目的でバッテリーを多く搭載するよりも、水素を搭載する方が軽い。この一点だけを見ても水素の利点はあります。

エネルギーを充填する時間も電気自動車では急速充電を使用しても数十分、家庭用電源では8~10時間かかりますが、水素では水素スタンドでの充填時間は5分もかかりません。

また、水素は電気分解で作ることもできるので、商用電力が過剰に供給される場合に水素ガスを製造し貯蔵することで、電池的な役割も担うことが出来ます。

2代目トヨタMIRAI
2代目トヨタMIRAI

水素燃料電池車の現在の問題点としては、水素スタンドの数が少ないことと、水素の価格が高いということ。概ね1kgで1300~1600円程度となり、燃料コストは純粋なガソリンエンジン車と同等か少し割高となっています。

リチウムイオンバッテリーによる電気自動車と水素による燃料電池車。どちらが優れているか?という議論ではなく、用途に合わせた適材適所となるのではないでしょうか。

2代目トヨタMIRAIをお借りしたトヨタモビリティ東京 井荻店
2代目トヨタMIRAIをお借りしたトヨタモビリティ東京 井荻店

今回の試乗車は、トヨタモビリティ東京 井荻店でお借りいたしました。今回のMIRAIと全く同じ試乗車を試乗できますので、予約サイトをチェックしてみてください。MIRAIのすごさは乗ればわかります!

今回のモデルは生田ちむさん
今回のモデルは生田ちむさん

今回の試乗にお付き合いいただいたのは、日本レースクイーン大賞3年連続受賞で、1月に初の写真集が株式会社三栄より出版された生田ちむさん。

現在、運転免許取得に向かって教習所通いをする日々とのことです。

(写真・文:松永 和浩

【関連リンク】

トヨタモビリティ東京 ご試乗ガイド
https://www.toyota-mobi-tokyo.co.jp/carlineup/testdrive

生田ちむ写真集”POM!!”
https://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=11748

生田ちむtwitter
https://twitter.com/1224Chimu

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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