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■ストロークの長いサスとブロックパターンの大径タイヤを装備したモトクロッサーで競う
●低速トルクが大きい軽量コンパクトな単気筒エンジンを搭載
スピードを競うオフロードレースを代表するのが、モトクロスです。起伏の激しいオフロードサーキットで競技専用車のモトクロッサーを使って、初心者が楽しむ大会から最高峰のFIMモトクロス世界選手権まで世界中でレースが開催されます。
世界中で熱狂的なファンを持つオフロードレースの代表格モトクロスについて、解説します。
●モトクロスとは
モトクロスは、起伏の激しいオフロードの周回路コースを規定時間(世界選手権では35分+2周)内で競うスプリントレースです。コースは、坂道や溝、ジャンプ台などさまざまな障害となる起伏やカーブが設定されているので、高度なライディングテクニックが求められます。
世界の最高峰はFIM(国際モーターサイクリズム連盟)モトクロス世界選手権(MXGP)、日本ではMFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)主催の全日本モトクロス選手権(JMX)を筆頭に各地方の選手権、さらに販売店やクラブが主催する草レース的なモトクロスレースが多数あります。
日本のモトクロスの起源は、大戦後の進駐軍の連合軍人が基地内で始めたレースと言われています。現在のモトクロスと同様、横一線に並んだバイクが一斉にスタートすることから、当時は「緊急発進」にちなんでスクランブルレースと呼ばれていました。1959年に、日本初の第1回スクランブルレースが開催され、日本のモトクロスが幕を開けました。
●モトクロッサーとは
モトクロスには、モトクロッサーと呼ばれるレース専用車が使われます。
サスペンションは、路面の凹凸を吸収できるようにストロークを長くし、強いグリップ力と高い走破性を実現するために溝の深いブロックパターンを有する大径タイヤを履きます。さらに、ライダーは後輪に重心を置いて操作性を向上するために、身体を立てた乗車姿勢をとるように設計されています。
エンジンは、低速トルクが大きく軽量コンパクトな単気筒エンジンで4ストロークまたは2ストロークが使われます。2ストロークエンジンは、低速では4ストロークエンジンの倍近いトルクを発揮するので、通常、排気量は4ストロークの約半分に制限されています。
●FIMモトクロス世界選手権と全日本モトクロス選手権
世界最高峰のモトクロス世界選手権(XGP)は、欧州を中心に世界各地19ヶ所(2019年実績)を転戦、日本では「スポーツランドSUGO」で日本グランプリとして開催されます。各大会で獲得したポイントを加算して、年間チャンピオンが決定されます。
レースは、エンジン排気量で3つのクラスに分けられます。
・MX1(最高峰クラス):2ストロークは排気量175cc~250cc、4ストロークは排気量290cc~450ccで35分+2周の2レース制
・MX2:2ストロークは排気量100cc~125cc、4ストロークは排気量175cc~250ccで35分+2周の2レース制
・MX3:2ストロークは排気量290cc~500cc、4ストロークは排気量475cc~650ccで30分+2周の2レース制
日本最高峰の全日本モトクロス選手権(JMX)は、国内8ヶ所(2019年実績)で開催されます。4つのクラスに分けられており、世界選手権MX1に準じる国内最高峰カテゴリ1A1(レースは30分+1周の2レース)とMX2に準じるIA2(レースは30分+1周の2レース)、さらに国際B級、レディースがあります。
横一線に並んだ30台ほどのモトクロッサーが一斉にスタートして、泥をかき上げながら飛んだり跳ねたりスリリングな激しいレースを繰り広げるモトクロスは、年齢性別を問わず多くのファンに親しまれています。専用車のモトクロッサーは必要ですが、特別な資格や免許は必要なく、初心者でも取り組めるバイクレースです。
(Mr.ソラン)