■現行ルノー ルーテシアよりもひとまわり大きなボディ
2代目ルノー キャプチャーが日本に上陸しました。2021年2月4日に発表、同月25日から発売を開始しています。
発表後すぐにディーラーを訪れたお客さんもいたようで、遠方から来場した人はその時点では展示車も試乗車もなく「がっかりして帰った」という話もあったほど。ルノーのファンにとって待望のBセグメント級SUVのフルモデルチェンジになります。
ルーテシアと同じく、新世代プラットフォーム「コモン・モジュール・ファミリー」の「CMF-B」を使って仕立てられています。新型キャプチャーのボディサイズは全長4230×全幅1795×全高1590mm。初代と比べると全長は95mm長く、全幅は15mmワイドで、全高も5mm高くなっています。
なお、同じプラットフォームを使う現行ルーテシアは、全長4075×全幅1725×全高1470mmで、キャプチャーの方がひとまわり大きくなっています。
また、車両重量はルーテシアの1190-1200kgに対して、キャプチャーは1310kgと110kgほど重いです。ボディサイズの拡大、重量増に対して手が打たれていて、キャプチャーはルーテシアよりも23PS増となる最高出力154PS/5500Nm、30Nm増強となる最大トルク270Nm/1800rpmの1.3L 直列4気筒エンジンを搭載。トランスミッションは、7速デュアルクラッチの「7EDC」が組み合わされています。
ボディサイズの拡大によりルーテシアよりも後席の居住性と積載性を引き上げたキャプチャーは、走りの面でも違いを感じさせる仕上がりになっています。発進時からの力強さ、街中でのストップ&ゴーをよりスムーズにクリアする新型キャプチャーは、高速道路への合流時や追い越し時でも一段とパンチ力があり、ルーテシアよりもパワフル。なお、同エンジンは、メルセデス・ベンツとのアライアンスによりAクラスなどと基本設計は同じです。
ダイレクト感を追求したという7速デュアルクラッチトランスミッションは、極低速域や発進時に丁寧にアクセルを踏まないとガツンとつながることも。慣れる範囲ではありますが、この辺りがより洗練されると街中ではさらに乗りやすくなりそうです。
気になったのはシフト・バイ・ワイヤ化されたシフトレバーの操作感で、かなり軽く、操作フィールの手応えが希薄。しかも、撮影時にシフトレバーを頻繁に操作していると、誤操作しそうになったこともありました。また、メーター内のシフトインジケーターも小さく、視認性も物足りなく感じられます。
先述のようにキャプチャーは、ルーテシアよりも110kg重くなり、ホイールベースも35mm拡張されています。それは、主にSUVというフォルム、デザインや居住性と積載性などを勘案してのもの。それでも重量増とホイールベースの伸長は、ルーテシアよりもいくぶん乗り心地が良く感じられるというメリットももたらしています。
しかし、基本的に足は引き締まっていて、街中では微振動を明確に伝えてきます。心地良いのは高速域のフラット感で、215/55R18というタイヤサイズは、タウンスピードにおける乗り味の面では、少しオーバースペックという感もありました。
とはいえ、フロントシートの座り心地の良さや、後席足元の拡大など、新型の実用面での利点はかなり大きく、パワフルなエンジンとルノーらしい直進安定性の高さも光ります。
さらに、初代がモデルサイクルを通じて販売面で苦戦した理由だという先進安全装備(ADAS)の不在は、新型では払拭されています。「インテンス テックパック」を選べば車線中央維持機能も標準化され、「全部のせ」状態になります。319万円の「インテンス テックパック」は買い得感も高くおススメです。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)