ボルボが2030年までに完全なEV専門メーカーに変身。なぜ電気自動車化を急ぐのか?

■新型クロスオーバーEVモデル「C40」を発表

ボルボは、以前から2025年までに電動化車両を100万台販売するという目標を掲げてきました。2019年には、2025年までに世界販売台数の50%をEVにすると表明済みです。そして2021年3月2日、ボルボは本国において、2030年までにすべてのボルボ車をEVにすると大きく踏み込んだ目標を新たに発表しました。

ボルボ 電動化
EV専業ブランドへの移行を表現したボルボ

ボルボは急成長するプレミアムEV市場のリーダーになることを目指すとしていて、2030年までに完全なEVメーカーになることを計画しているという内容です。それまでに完全な電気自動車のみを販売し、ハイブリッド車を含む内燃機関を搭載したクルマを全世界で段階的に廃止することを目指しているそう。

ボルボ XC40 リチャージ
「Volvo XC40 Rehcharge P8」のインテリア

各国、地域での環境規制はもちろん、ヨーロッパなどでは、街の中心街などにガソリンやディーゼルエンジン車などが乗り入れできなかったり、道路の通行料や駐車料金などが、純内燃機関車などはEV車よりも割高になる例もあったりします。

こうした環境面からのロードプランシングの導入は、年を追うごとに増えるのは間違いなさそう。また、再生エネルギーの導入が日本よりも何周も先行している事情もEV化を推進する理由づけになっているようです。

さて、ボルボの完全なEVメーカーへの移行は「クルマ1台あたりにおけるライフサイクルの二酸化炭素排出量を一貫して削減する」という、ライフサイクルアセスメント(LCA)の考えに基づくもののようです。また、今回の決定は、法律の制定やアクセス可能な高品質の充電インフラの急速な拡大により、消費者によるEVの受け入れが加速することを期待してのものとボルボは説明しています。

ボルボの完全な電動化への動きは、オンライン販売と連動。「Care by Volvo(ケア・バイ・ボルボ)」の名のもと、魅力的で透明性のある消費者向けサービスを提供することと一体となっているそう。すべてのEVはオンラインのみで販売されます。

残り10年を切った2030年への挑戦は、ボルボの電動化戦略を加速させるもので、ヨーロッパや中国など、近年の電動車に対する強い需要と、内燃機関を搭載したクルマの市場が縮小しているという確信に後押しされたとしています。

ホーカン・サムエルソンCEOは「成功し続けるためには、収益性の高い成長が必要です。そのため、縮小する事業に投資するのではなく、EVとオンラインという未来への投資を選択しました。私たちは、急成長するプレミアム電気自動車セグメントのリーダーになることに完全に集中しています」とコメント。

ボルボは2020年に、初の完全電気自動車「XC40リチャージ」を世界中の市場で発売(2021年3月現在、日本国内未導入)しました。さらに、22台目の完全電気自動車である40シリーズで、クロスオーバーEVモデル「C40」という新モデルを発表しました。

ボルボ EV
「Volvo XC40 Rehcharge P8」の充電口

ボルボは、今後数年のうちに、さらにいくつかの電気自動車を発売していく予定。先述したように、すでに2025年までには、世界の販売台数の50%をEV、残りはハイブリッド車で構成することを掲げています。そして2030年までには、販売するすべてのクルマをEVにすることを目指しています。

ヘンリック・グリーン最高技術責任者は「内燃機関を搭載したクルマに長期的な未来はありません。私たちは電気のみの自動車メーカーになることを固く決意していて、2030年までに移行する必要があります。これにより、ユーザーの期待に応え、気候変動との戦いにおいて解決策の一端を担うことが可能になります」とコメント。

プレミアムEVメーカーへのスイッチは、先行するテスラなどにとっても脅威になるか注目です。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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