■高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムがドライバーに代わって運転操作を行う
ホンダは2021年3月4日、「Honda SENSING Elite(ホンダ センシング エリート)」が搭載された新型「LEGEND(レジェンド)」を翌5日に発売すると発表しました。世界で初めて「レベル3」の自動運転技術が搭載されます。
世界初を謳ったのは2017年に初公開されたアウディA8でしたが、法整備などが追いついておらず、実用化までには至っていないのが現状で、新型メルセデス・ベンツSクラスも含めてこれからの対応になる見込みです。ということから、2021年こそが「レベル3」元年になるといって間違いないでしょう。
「ホンダ センシング エリート」は、現在のホンダ車に採用されている「Honda SENSING(ホンダ センシング)」の中で「Elite(エリート)」の名が与えられ、精鋭、優れた技術の象徴として命名されたそうです。
国土交通省から自動運行装置として型式指定を取得した自動運転「レベル3」に対応し、「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」により、条件付自動運転車(限定領域)に適合します。この先進技術により、高速道路渋滞時など一定の条件下において、システムがドライバーに代わって運転操作を行うことが可能になっています。
なお、ホンダは「Honda SENSING Elite」の各機能の能力(認識能力・制御能力)には限界があり、「各機能の能力を過信せず、つねに周囲の状況に気をつけ、安全運転をお願いします」と呼びかけています。さらに、「システムからの操作要求にいつでも応じられる状態を保ち、操作要求があった場合は、ただちに運転操作を行ってください」と注意書きをしていて、自動運転システムを搭載した車両とドライバーは、常にオーバーライド(システムからドライバーに操作を委譲する)する必要があります。
「ホンダ センシング エリート」の車両制御は、3次元の高精度地図や全球測位衛星システム(GNSS)の情報を使い、自車位置や道路状況を把握。多数の外界認識用センサーで周囲360°を検知しながら、車内のモニタリングカメラでドライバーの状態を見守ります。
さまざまな情報をもとにメインECUが認知、予測、判断を適切に行い、アクセル、ブレーキ、ステアリングを高度に制御して上質でスムーズな運転操作を支援するものです。なお、「GNSS」とは、「Global Navigation Satellite System」の略で、衛星測位システムの総称です。
ホンダは、システム開発において安全性、信頼性を最も重視し、リアルワールドでのシチュエーションを想定しながら約1,000万通りのシミュレーションを重ね、同時にテスト車両を用いて高速道路約130万kmを走行する実証実験を繰り返してきたといいます。また、万が一デバイスに不具合が生じた場合の安全性、信頼性にも配慮された冗長設計(重複、バックアップ)が取り入れられています。
エクステリアの専用装備としてブルーアクセサリーランプと専用アルミホイールが採用され、数多くのセンサー類も目立たないように内蔵。自動運行装置搭載車であることをさりげなく主張しながら、フラッグシップセダンとしての品位と風格を高めたとしています。
インテリアの専用装備には配置、大きさ、色、明るさなどにこだわった「ホンダ センシング エリート」表示灯と12.3インチのフル液晶グラフィックメーターが採用され、システムの作動状態、走行状況、操作要求がドライバーへ直感的に伝わるよう配慮がされているとのことです。
「ホンダ センシング エリート」が搭載された「LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite」の価格は1100万円。搭載されるエンジンは、V6 3.5L 直噴i-VTECで、7速DCTが組み合わされます。駆動方式は「SPORT HYBRID SH-AWD」となっています。
(塚田 勝弘)