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■10年後に主流となるクルマも「ハイブリッド車」が1位
2020年12月に、政府が「2030年半ばまでにガソリン車の販売禁止」という目標を出したという報道が出され、「環境とクルマ」が大きな話題となっています。
海外でも、アメリカやEU、中国などの自動車大国ではクルマの電動化を促進する政策を進めていますが、いよいよその波が日本にも訪れようとしているのです。
そんな中、ロードサービスを手掛けるJAFでは、2020年12月28日(月)〜2021年1月27日(水)の1ヵ月間、「環境とクルマに関するアンケート」を実施し、その集計結果を発表しました。
それによると、ユーザーの多くが、化石燃料を使用しない電気自動車よりも、モーターとガソリンエンジンの両方を使うハイブリッド車が10年後の主流になると思っていることが判明。また、電気自動車の普及が本当に環境保全に繫がるのか疑問を持つ人も多いことなどが分かりました。
●約9割が環境やエコを意識
今回の調査は、JAFが、今後の10年で大きく変わっていくであろうクルマ社会を鑑み、「10年後、主流となるタイプの自動車が何だと思いますか?」「どういった条件がそろえば買い替えたいと思いますか?」などについてアンケートを行ったものです。
アンケートは、JAFウェブサイト内で実施され、5279件(有効回答数)の回答を得ています。
その結果によると、まず「普段の生活において環境やエコを意識していますか?」という質問では、約9割の人が「はい」と回答。アンケート回答者の多くが、環境やエコに配慮していることがわかりました。
また、現在クルマを所有しており、10年以内に買い替える予定のある人(3253名)を対象に、「10年後に主流になっているであろうクルマのタイプ」についても質問。
最も多かったのは「ハイブリッド車(41.3%)」で、次いで「電気自動車(25.6%)」「プラグインハイブリッド車(20.3%)」「燃料電池車(6.7%)」と続き、化石燃料のみで走行する「ガソリン車(5.9%)」と「ディーゼル車(0.2%)」は全体の1割にも満たない結果となりました。
●電気自動車に懐疑的な声も
さらに、JAFは、環境やクルマに対する意見を聞いた設問で、電気自動車に対する以下のような意見があったことも明らかにしています。
「電気自動車に関していうと、燃料を燃やしている場所が、車内か発電所か、というだけでどこかで燃やしていることに変わりがない」
「クルマでCO2を出すか発電所でCO2を出すのかの違い」
これらの意見により、クルマのタイプを変えることによって環境保全につながるのか疑問に思う人もいることが分かります。
また、他の意見では、電気自動車に理解は示しつつも
「理想は燃料電池自動車なんだろうが、水素ステーションがガソリンスタンド並みの数になるのは今世紀いっぱいかかると思う」
「電気自動車に興味はありますが、地方だとまだまだ充電のことも外出先でどこでも出来るわけではない」
といった声も。充電スポットなどの設備がまだまだ整備されていない地域もあり、電気自動車を使うのは難しいと考えている人も多かったといいます。
なお、そういった声を裏付けるかのように、前出の10年以内に買い替える予定のある人に「購入予定のクルマのタイプ」を聞いた質問では、1位が「ハイブリッド車(37.9%)」で、2位には今後新車販売がなくなるといわれている「ガソリン車(26.9%)」が入る結果となっています。
●国の目標は達成できないと感じる若い世代
アンケートでは、国が出した「2030年半ばまでに国内で販売する新車からガソリン車の販売をなくす」という目標に対し「どう思うか」についても聞いています。
その結果を年代別に見てみると、「達成は難しいと思う」や「達成できない」といった否定的な意見を持つ人の割合は、20歳代で65.9%、30歳代で61.3%、40歳代が56.9%といずれも半数以上を占めることが判明。若い世代ほど、国が掲げる目標の達成は難しいと感じていることが分かります。
地球温暖化対策は世界的に深刻な課題です。ですが今回の調査で、クルマを全て電気自動車に変えることの難しさや、全て電気自動車に変えることが本当に環境に優しいとは限らないと思っている人が多いことが分かります。なかなか難しい問題だけに、今後の動向が気になりますね。
(文:平塚 直樹 *写真は全てイメージです)