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■直接ホイールを駆動するので伝達ロスがなく、コンパクトな設計が可能
●クルマで採用している永久磁石同期モーターが主流
電動バイクは、一般的には駆動輪をモーターで直接回転させる効率の良いインホイールモーターを採用します。また、使われるモ-ターは、クルマのEVやHEV同様に制御性に優れる永久磁石同期モーターが主流です。
電動バイクで採用されるインホイールモーターについて、解説していきます。
●インホイールモーターとは
通常、EV(電気自動車)では、エンジン車のエンジンの位置にモーターが配置され、駆動力はドライブシャフトを介してタイヤに伝えられます。電動バイクでは、主として駆動輪のホイールのハブにモーターを配置して直接タイヤを駆動させるインホイールモーターシステムが採用されます。クルマでも、4輪それぞれにインホイールモーターを採用する試みが検討されていますが、まだコスト面のハードルが高く、実用化されていません。
インホイールモーターでは、モーターがホイールに直結しているので伝達ロスが少なく、レスポンスが優れています。さらにモーターはトルクバンドが広いため、トランスミッションがなくても実用上問題がなく、コンパクトな設計ができます。
●モーターの特性
モーターは、クルマの電動車で多用されている永久磁石同期モーターを使用します。永久磁石同期モーターは、ローターに永久磁石を使い、周りのステーターはコイルを巻いた電磁石で構成します。コイルに3相の交流電流を流すことによって、回転磁界が作られ回転します。
永久磁石には、磁力の強いネオジムや添加するジスプロシウムなどの高価なレアアース(希土類元素)を使用します。使用するレアアースがコスト高の一因となっています。
●モーターの作動原理
モーターは、中心部に永久磁石のローターと、鉄心にコイルを巻きそれぞれの相を放射状(スター結線)に結線したステーターで構成されます。コイルそれぞれの端子に、U、V、W相の位相差120°の交流電流を流します。それぞれのコイルには、この3相電圧の高い方のコイルにN極、低い方にS極が発生します。それぞれの相の電圧は正弦波状に変化するため、各コイルから発生するN極またはS極とその磁界も回転方向に滑らかに変化します。この回転磁界によって、モーターは回転します。
上記のモーター端子に3相交流を流すのがインバーターの役目です。インバーターが、直流電源を3相の交流に変換し、周波数や電圧を制御します。直流からモーターを駆動させる交流に変換するのは、高周波PWM(パルス幅変調)制御を利用します。PWMは、直流電源をスイッチングしてパルス状の電圧を作り、パルス幅を変化させることによって電圧値を変える手法です。パルス幅を一定でなく高周波で細かく変調すれば、滑らかな正弦波の交流に変換できます。
また減速時には、交流から直流に変換して減速回生の電力を回収するという役割も担っています。
モーターの回転数は交流周波数を変化させることによって、トルクは交流電圧を増減させることによって制御します。
インホイールモーターは、クルマでは実用化されていませんが、将来有望な技術として位置づけられ開発が進められています。一方、電動バイクではインホイールモーターが1つですむので一般的な技術となっています。ただし、大型バイクではバネ下荷重が増えるのを嫌い、モーターを車体側に搭載してベルトで駆動輪を回転させるタイプもあります。
(Mr.ソラン)