■オプションでバッテリーを大きくすると最高出力350kW、一充電航続距離484kmを実現
ポルシェのハイパフォーマンス系電気自動車「タイカン」のラインナップに、新たに後輪駆動が追加されることが発表され、2021年1月28日より予約受付が始まっています。
タイカンターボS、タイカンターボ、タイカン4Sというこれまでのラインナップは前後に駆動モーターを持つ4WDでしたが、新設定された”素の”タイカンは後輪駆動の2WD仕様となっているのが大きな違いです。
とはいえ、その駆動モーターは2速トランスミッションと組み合わされたユニットで、これはタイカン4Sと同じものということです。
バッテリーは標準装備のパフォーマンスバッテリーと、オプション設定のパフォーマンスバッテリープラスの2種類。パフォーマンスバッテリーの総電力量は79.2kWhで公称出力は240kW(326ps)、パフォーマンスバッテリープラスは93.4kWhで280kW(380PS)となっています。
ローンチコントロール時のオーバーブースト出力は、前者が300kW(408PS)で、後者は350kW(476PS)。タイカン4Sのオーバーブースト出力390kW(530PS)にはおよびませんが、2WDだからといって出力が半分というわけではありません。ポルシェの電気自動車としてふさわしいスペックを誇ります。
実際、タイカンの0‐100km/h加速は5.4秒、最高速度は230km/hに達するということです。
電気自動車というと気になるのは、一充電での航続距離でしょう。
WLTPモードでパフォーマンスバッテリーの場合431km、パフォーマンスバッテリープラスでは484kmまで伸ばすことができると発表されています。オンボードの普通充電の最高出力は22kW、専用の急速充電器を使えば、設計値としてはパフォーマンスバッテリーで225kW、パフォーマンスバッテリープラスで270kWまで対応可能となっています。
非常に大きなバッテリーですが、設備が整っていれば十分に実用に足る速度で充電できるというわけです。
いかにもポルシェらしいスタイリングからは、電気自動車であってもスポーツカーらしいハンドリングも期待したくなりますが、その点においても万全のシャシー性能を与えているのがタイカンです。
電子制御シャシーの基本となるのは減衰力を可変する電子制御ダンパーで、オプションのエアサスペンションを選べば車高の上げ下げも自由自在。さらにブレーキシステムはフロント6ピストンキャリパー、リヤ4ピストンキャリパーが標準装備となっているといった具合です。
標準装備されるブレーキディスクはスチールタイプで、フロント360mm径、リヤ358mm径。さらにオプションとしてPSCB(ポルシェサーフェイスコーテッドブレーキ)が設定され、こちらのディスク径はフロント410mm、リヤ365mmと超ビッグサイズとなります。
とはいえ、電気自動車ですからモーターによる回生ブレーキも利用できます。回生できるエネルギーの最高値は265kWということです。
すでにグローバルでは2万台を超える販売台数を数えるというポルシェ・タイカン。エントリーグレードの追加により、さらに日本の路上でも見かける機会が増えるのではないでしょうか。
この新グレード「タイカン」のメーカー希望小売価格は1171万円。最上級グレードでは2500万円近いタイカンだけに、エントリーグレードでも1000万円オーバーというのはさすがといったところでしょう。なお、右ハンドルだけの設定となっています。
(山本 晋也)