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■SUVタイプやアウトドア風味の軽自動車も人気
日本で走るクルマの約4割を占めるといわれるほど、依然人気が高い軽自動車。売れ筋はホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」といった軽スーパーハイトワゴンですが、一方で最近は、SUVタイプやアウトドアのテイストを盛り込んだ軽自動車にも注目が集まっています。
車中泊やキャンプなどの人気を反映したこれらモデルの多くは、車中泊やキャンプなどにも対応する積載性や居住性を誇り、4WDなどの装備で悪路走行も難なくこなせるのが魅力です。ここでは、そんなアウトドアライフのよき相棒となる楽しい軽自動車を紹介しましょう。
●スズキ・ハスラー
軽自動車のジャンルにクロスオーバーSUV人気をもたらした立役者ともいえるのが「ハスラー」です。初代モデルは2014年に登場、2020年1月発売の2代目も売れ行きが好調で、軽自動車の2020年における年間新車販売台数ランキング(1~12月)で6位(8万114台)と健闘しています。
外観は先代のデザインを踏襲しながらも、全体的にスクエアなフォルムでよりアウトドアテイストを盛り込んだスタイルとなっています。車体には軽さと高剛性を両立した新世代プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用し、ボディ全体で剛性を高めると共に、優れた操縦安定性と乗り心地を実現しています。
パワートレインは660cc・直列3気筒の自然吸気/ターボで、全車にマイルドハイブリッドシステムを採用し、WLTCモード総合で20.8km/L〜25.0km/Lという優れた燃費性能を発揮します。
ラインアップには2WD車のほかに4WD車も設定。特に4WD車では、悪路で高い走破性を発揮する装備も魅力です。雪道などでタイヤの空転を抑えるスノーモードや、ぬかるみなどの滑りやすい路面で片輪が空転した場合に効果を出すグリップコントロールなどを搭載しています。
内装ではタフな世界観を演出する3連インパネカラーガーニッシュを採用。視認性やアニメーションにもこだわった4.2インチカラー液晶メーターなどを装備します。
また、セパレートタイプの後席は前後スライドが可能なのも注目点。荷物の大きさや量によって荷室の広さが調整できるほか、前席の背もたれを後ろに倒し、後席の背もたれを前に倒せば大人2名が橫になれるフルフラットな空間も作ることが可能です。車中泊にも対応するシートアレンジの多様さも、高い人気の秘密といえるでしょう。
価格(税込)は132万4400円~179万800円。2020年11月には、ルーフレールや専用メッキフロントグリルなどを装備し、よりアウトドア風味を増した特別仕様車「J STYLE」も発売されています(159万5000円~182万3800円)。
●ダイハツ・タフト
2020年6月に発売されたダイハツの軽SUV「タフト」も2020年に好調な売り上げを記録したモデルです。2020年の軽自動車における新車販売台数では、10月に7471台を記録し、ライバルのハスラーを抜く5位にランクイン(ハスラーは6536台で7位)。1〜12月の年間新車販売台数ランキングでも12位(4万2942台)と、発売後半年ながら並み居る強豪を抑えトップ20に入る健闘ぶりをみせています。
外観は直線を基調とし、スクエアで無骨なデザインを採用。ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1630mmで、ホイールベースは2460m。全長と全幅、ホイールベースはライバルのハスラーと同サイズ、全高はハスラーより50mm低くなっています。
また、15インチ大径タイヤと樹脂製フェンダーの採用でワイルド感を出したほか、オフロード走行などで重要な最低地上高は190mmと、ハスラーよりも10mm高い設定になっています。
搭載するエンジンは660cc・直列3気筒自然吸気/ターボの2種類で、トランスミッションはCVTのみ。2WDと4WDが設定されています。
内装の大きな特徴は、ガラスルーフ「スカイフィールトップ」を全車に装備していることで、アウトドアなどで、広大な自然を満喫できる大きな開放感が味わえるのが魅力です。
後席は5:5分割のセパレート式で、背もたれを前に倒せば広々とした荷室スペースを確保。また、4名乗車はもちろん、3名乗車+長物、2名乗車+大きな荷物など、荷物や乗員の数などに応じた多彩なアレンジも可能です。
さらに、荷室に装備したフレキシブルボードを下げれば、背の高い荷物でも安定して積むことができるなど、高い積載性も誇ります。
価格(税込)は、135万3000円~173万2500円です。
●スズキ・ジムニー
1970年のデビュー以来、多くのファンを持つ本格的クロスカントリー4WD車が「ジムニー」。2018年7月に登場した4代目も発売から2年以上経った現在も納車まで約1年待ちといいますから、いかに根強い人気を持つモデルかが分かるでしょう。
外観は、スクエアなボディに丸型ヘッドランプ、5スロットグリルなどを採用し、長い伝統を持つジムニーらしさやオフロード感を演出しています。
ボディサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1725mm×ホイールベース2250mm。最低地上高は205mmで、軽自動車のジャンルでトップクラスのロードクリアランスを確保。凹凸が激しい悪路でも路面が車体にヒットしにくい、オフロード車らしい車高となっています。
エンジンは、最高出力64ps/最大トルク96Nmを発揮する専用チューンの直列3気筒ターボを搭載。路面状況に応じて2WDと4WDを任意に切り替えて走行できる機械式副変速機付きパートタイム4WDなどの採用で、悪路や滑りやすい路面でも高い走破性を発揮します。
内装では、水平基調で力強い基本骨格のインストルメントパネルや、ドアミラー付近の視界を拡大する形状のベルトラインを採用。また、リヤシートバック背面と荷室には、樹脂製の防汚タイプラゲッジフロアを採用することで、汚れにくさや荷物の出し入れのスムーズさも実現。
ほかにも、ユーティリティナットや荷室フックナットなど、アウトドアでの使い勝手に配慮した数々の装備を誇ります。
価格(税込)は、148万5000円~187万5500円。5速MT仕様と4速AT仕様が用意されています。
●三菱・ekクロススペース/ekクロス
軽自動車で人気の軽スーパーハイトワゴンや軽トールワゴンにも、最近ではオフロード感を強調したモデルが登場しています。
たとえば、三菱が展開するekシリーズ。軽スーパーハイトワゴンの「ekクロススペース」(ekスペースの兄弟車)と、軽トールワゴンの「ekクロス」(ekワゴンの兄弟車)は、どちらも内外装にSUVテイストが盛り込まれ、悪路での高い走行性能も誇るモデルです。
タフで力強いフェイスデザインが特徴的なこの2モデル。まず、ekクロススペースは、ボディサイズが全長3395mm×全幅1475mm×全高1780mm(4WD車は1800mm)、ホイールベースは2495mmとなっています。
エンジンは660cc・直列3気筒で、自然吸気(最高出力52ps)とターボ(最高出力64ps)を設定。2.0KWモーターを搭載したマイルドハイブリッドを全車に装備することで、燃費はWLTCモード総合で16.4km/L~20.8km/Lを実現します。
また、片側の駆動輪が空転した場合、スリップした駆動輪をブレーキ制御するグリップコントロールを採用し、雪道やぬかるんだ路面での発進をサポート。4WD車には、通常は2WD(FF車)に近い駆動力配分で走行し、雨や雪などで滑りやすい路面になると後輪へより多くの駆動力を配分する、VCU(ビスカスカップリング)方式のフルタイム4WDを装備しています。
室内は広さが魅力で、サイズは長さ2200mm×幅1335mm×高さ1400mm。特に後席はクラストップの320mmという前後スライド量を持ち、前へ移動させることで広い荷室スペースを確保できます。また、後席の背もたれを前に倒せばフラットな空間となり、クーラーボックスなど大型のキャンプ道具も余裕で積載することが可能です。
シートはアウトドアでの仕様を考慮し、撥水生地を標準装備します。メーカーオプションには、樹脂仕様のラゲッジボードとPVC仕様の後席シートバックも用意されており、濡れたり泥のついたアウトドア用品などでも、気にせず積むことができます。
ちなみに、ekクロススペースは、2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーに新たに創設された、総合的に優れた軽自動車を選出する部門賞である「K CARオブ・ザ・イヤー」を受賞しています(兄弟車のekスペースや、共同開発された日産・「ルークス」も同時受賞)。
一方のekクロスは、ボディサイズが全長3395mm×全幅1475mm×全高1640mm(4WD車1660mm)、ホイールベースは2495mm。
外観は、バンパー内に設置された縦型の3灯式LEDヘッドライトが特徴的で、上2段がロービーム、その下にハイビームを装備します。この独自のライト配置は、ドライバーが路面状況を把握しやすくなると共に、対向車のドライバーが感じる眩しさを抑える効果も生み出します。
パワートレインには、こちらも660cc・直列3気筒の自然吸気(最高出力52ps)とターボ(最高出力64ps)を用意。モーターが発進や加速時にエンジンをアシストするマイルドハイブリッドを採用しているのも同様で、燃費はWLTCモード総合で16.8km/L~21.2km/Lを実現します。さらに、雪道など滑りやすい路面で発進や加速をサポートするグリップコントロールなどを装備する点も、ekクロススペースと同じです。
なお、2020年8月の一部改良で、急な坂道を下る際、低車速を維持することで、安心して走行することができるヒルディセントコントロール[HDC]も新採用されています。
内装は、ブラックを基調に、ブルーを差し色とすることでスポーティかつスタイリッシュな空間を演出。凹凸感のある生地にハニカム調エンボス加工を施したシートは、タフで機能的なイメージを演出しています。
また、後席は背もたれを前に倒したり、前後にスライドすることで、積載する荷物などに応じた荷室スペースの調整が可能です。さらに、荷室下には底の深いラゲッジアンダーボックス(容量は2WD車54L、4WD車11L)を用意し、高さのある荷物も後方視界をさまたげることなく積むことができます。
価格(税込)は、ekクロススペースが165万5500 円~199万1000円。ekクロスが146万3000円~182万500円。いずれも2WD車と4WD車の設定があります。
また、これら2モデルには、2020年12月に、マルチアラウンドモニター(移動物検知機能付き)と、自動防眩ルームミラー(マルチアラウンドモニター付き)を標準装備し、安全性を向上させた特別仕様車「G Plus Edition」も発売されています(eKクロススペース182万6000円~195万8000円/ekクロス161万7000円~174万9000円)。
(文:平塚 直樹/写真:スズキ・ダイハツ工業・三菱自動車)