2021年中に日本を走り出す!ホンダ、GMとの協業が生んだ自動運転EVの実証実験スタートを発表

■マイクロソフトも戦略提携するクルーズ、GM、ホンダ連合。自動運転モビリティサービスのローンチも視野に入れた実証実験を開始

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「クルーズAV」技術実証に用いるGMの電気自動車「Bolt」をベースとした自動運転車両

CASE時代に自動車メーカーは生き残りをかけて、アライアンスを組むことが必須といえる時代になっています。そうした中で、日本のホンダについては、いまだに独立系メーカーと捉えている人も多いようですが、じつはゼネラルモーターズ(GM)と2018年10月に資本・業務提携関係を結んでいます。

その提携では自動運転や電動化、燃料電池といったCASEでいえば「A」と「E」に当たる部分での協業が進んでいることは公表されてきましたが、ついに実用化に向けたステップが国内で始まることが発表されました。

ホンダが発表したニュースリリースのタイトルは『Hondaがクルーズ・GMと、日本での自動運転モビリティサービス事業に向けた協業を行うことで基本合意』となっていて、自動運転システムを開発するクルーズ社のテクノロジーをGMの電気自動車「BOLT」に盛り込んだ自動運転車両を、2021年中に日本で走らせるということです。

技術実証に使われる「クルーズAV」はルーフに複数のLIDARを設置していることから、かなり高度な自動運転が可能になっていることは容易に想像できますが、単に自動運転車を走らせてみるという話ではありません。

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「クルーズ・オリジン」は GM、クルーズ、ホンダが共同開発している自動運転モビリティサービス事業専用車両

将来的には、クルーズ、GM、ホンダの3社が共同開発している「クルーズ・オリジン」を活用した事業展開を目指しています。この「クルーズ・オリジン」は、少人数が乗れるバスのような使われ方が想像できるボディ形状の、自動運転を活用したモビリティサービス事業専用車両です。

こうしたモビリティが街を往来する未来はまだまだ先と感じるかもしれませんが、そう遠い未来の話ではありません。

本田技研工業の代表取締役社長 八郷 隆弘氏は「今回の取り組みは、『すべての人に生活の可能性が拡がる喜びを提供する』という2030年ビジョンで掲げる「移動」と「暮らし」の新価値を創造するものです」とコメントを寄せています。

2030年までには、こうした自動運転モビリティがサービスインするというわけです。実際、その事業運営を担当する組織として、ホンダモビリティソリューションズ株式会社が2020年2月に新設されています。夢物語ではなく、リアルに目標を設定して進んでいるプロジェクトというわけです。

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将来のクルーズ・オリジンの導入イメージ。無人運転を目指しているようだ

あくまで個人的な印象ですが、ホンダとGMというのは、いわゆる先進運転支援システム領域において豊富な経験を持っています。くしくも、ホンダは間もなく自動運転レベル3テクノロジーである「トラフィック・ジャム・パイロット」を搭載したレジェンドを発売する予定となっています。

つまり実験室レベルの話ではなく、量産経験が豊富ということです。つまり、自動運転テクノロジーを、違和感なく実車の挙動や使い勝手として落とし込むノウハウに長けていることが期待できます。

自動運転は単に安全に走ればいいというものではなく、利用者が「安心して利用できる」ことも、とくに日本市場では重要なファクターとなるでしょう。2030年までのサービスインだと仮定すると「クルーズAV」による実証実験から「クルーズ・オリジン」が走り出すまで、時間の余裕はありません。スピード感は重要ですが、しかし大きなアクシデントが起きれば自動運転モビリティの普及を妨げてしまいます。

さらに、海外からはクルーズ・GM・ホンダの3社による自動運転プロジェクトにマイクロソフトも戦略提携するというニュースも届いています。実際に使える自動運転モビリティとしての確実な進歩に期待したいと思います。

(山本 晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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