ホンダが二輪、四輪の2021年モータースポーツ活動計画を発表。注目は7年ぶりの日本人F1ドライバーになる角田裕毅

■早くも「ダカールラリー2021」で、1987年以来の1-2フィニッシュを飾る

コロナ禍は、無観客や中止など、モータースポーツにも大きな影響をもたらしています。それでも世界中で知恵を絞り、コロナ前とはカタチなどが異なっていても、モータースポーツは感動や夢を与えてくれるのは間違いありません。

ホンダは、2021年のモータースポーツ参戦体制と普及活動計画について発表しました。四輪において最大の注目は「Scuderia AlphaTauri」からF1にデビューする角田裕毅(つのだゆうき)でしょう。

角田裕毅
2020年のF1ヤングドライバーテストに参加した際の角田裕毅選手

日本人では2014年の小林可夢偉以来、7年ぶりの参戦になります。久しぶりにF1を観ようかなという方も呼び込みそうです。さらに、世界最高峰カテゴリーを目指している日本人若手ドライバーのF3などへの参戦をサポートするとしています。

北米では、インディカー・シリーズに2021年も「Rahal Letterman Lanigan Racing(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)」から参戦する佐藤琢磨などを引き続きサポート。

佐藤琢磨
日本人初となる2度目のインディ500優勝者となった佐藤琢磨選手

また、日本国内レースでは、昨シーズンにダブルタイトルを獲得したSUPER GT GT500クラス、全日本スーパーフォーミュラ選手権でチーム体制の変更を行い、両カテゴリーでの連覇を目指すと表明しています。

カスタマーレーシングでは、市販車をベースとしたレースカテゴリーにおいて、マシンの供給と各チームにコンペティティブな戦いを繰り広げていただくためのカスタマーサービスを展開する予定。

開催4年目となるFIAワールド・ツーリングカー・カップ(WTCR)に加え、世界各地で活況なTCRシリーズや耐久レースに向けては、CIVIC TYPE Rをベースとした「CIVIC TCR」が供給されます。また、北米、アジア、欧州のGT選手権や耐久レースに向けては「NSX GT3 Evo」を供給します。北米においてはインディカー・シリーズに参戦する6チーム16台に、ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)を通じてエンジンが供給されます。

四輪の主な体制は、F1は「スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ」がピエール・ガスリー、角田裕毅。「レッドブル・レーシング」はセルジオ・ペレス、マックス・フェルスタッペンの2人。

SUPER GT・GT500クラスは、「TEAM KUNIMITSU」が山本尚貴、牧野任祐。「ARTA」が野尻智紀、福住仁嶺。「TEAM Red Bull MUGEN」は、笹原右京、大湯都史樹。「Astemo REAL RACING(アステモ・リアル・レーシング)」は、塚越広大、Bertrand Baguette(ベルトラン・バゲット)。Modulo Nakajima Racing(モデューロ・ナカジマレーシング)は、伊沢拓也、大津弘樹。GT300は、TEAM UPGARAGE(チーム・アップガレージ)が小林崇志、名取鉄平。「ARTA」は、高木真一、佐藤 蓮。

ダカールラリー2021
ケビン・ベナビデス選手(右)が「ダカールラリー2021」で初の総合優勝に

二輪では、2020年は「ダカールラリー2020」でホンダとして31年ぶりの優勝を成し遂げています。直近では、ダカールラリー2021が1月15日(金)に最終の第12ステージを終了し、ワークスマシン「CRF450 RALLY」に乗る「Monster Energy Honda Team(モンスター・エナジー・ホンダ・チーム」のケビン・ベナビデスが二輪車部門の総合優勝を成し遂げています。

さらに、総合2位には昨年優勝のリッキー・ブラベック選手が入り、「ダカールラリー2021」において1987年以来の1-2フィニッシュを飾るという快挙を成し遂げています。

「FIM ロードレース世界選手権」では通算800勝を達成。「FIM モトクロス世界選手権」「FIM トライアル世界選手権」の最高峰クラスでタイトルを連覇しています。

2021年も、現在開催中の「ダカールラリー2021」をはじめ、ロードレース、モトクロス、トライアルの世界選手権 最高峰クラス、および「FIMスーパーバイク世界選手権」に、ホンダ・レーシング(HRC)が運営するワークスチームで参戦し、タイトル獲得を狙っています。ほかにも、ワークスチームだけでなく、有力なサテライトチームによって、「FIM世界耐久選手権」「AMAスーパークロス世界選手権」の世界選手権に参戦。

FIMトライアル世界選手権
「FIMトライアル世界選手権」に参戦するトニー・ボウ選手と契約を延長した。マシンはMontesa COTA 4RT

また、日本をはじめとする様々な国や地域においては、各国のホンダの現地法人や販売会社が参戦体制を構築し、ロードレース、モトクロス、トライアルでの選手権獲得を目指しますとしています。

さらに、今年度からの新たな試みとして、各国のロードレース選手権に出場するライダーのさらなるステップアップのサポートを目的に、「Honda Superbike Challenge Program」を開始。同プログラムの一環として、昨年MFJ全日本ロードレース選手権JSB1000クラスに「MuSASHi RT HARC-PRO.Honda」で参戦していた水野 涼が、2021年シーズンから英国スーパーバイク選手権に挑戦します。

若手育成では、今シーズンもMotoGPのMoto2、Moto3クラスに参戦する「Honda Team Asia」へのサポートを継続し、また、ステップアップの場として、FIM CEVレプソルMoto3ジュニア世界選手権のサポートを継続すると表明。

加えて、若手育成のプログラムとして「IDEMITSU Asia Talent Cup(イデミツ・アジア・タレント・カップ)」を引き続き活用し、世界で活躍できるライダーのさらなる発掘、育成に取り組むとしています。

新型コロナウイルスの感染拡大が見通せない状況ではあるものの、2021年もホンダは国内外、四輪、二輪を問わずモータースポーツを盛り上げるのは間違いないでしょう。(敬称略)

(塚田 勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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