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■2020年はコンパクトカーとSUVに話題が集中した年だった
2020年は緊急事態宣言の発令によって、途中撮影ができない時期がありましたが、メルセデス・ベンツCLA200dから12月の三菱エクリプスクロスPHEVまで、2020年も約200台のクルマに試乗することができました。
すでに「2020年のベスト」というテーマでいくつかの媒体で書かせて頂きましたが、このクリッカーでは「真剣にほしい!」と思い、見積書まで作成した3台を紹介します。
●3位はルノールーテシア、FFらしからぬコーナリング性能
まず、第3位は2020年11月に試乗した新型ルノールーテシアです。
2020年は国産車ではヤリス、フィット、年末に登場したノートそして輸入車ではプジョー208、ルノールーテシアとコンパクトカーと呼ばれる欧州Bセグメントのアタリ年となりました。
プジョー208はBEV(ピュア電気自動車)のe-208を同時に発表するなど注目を集めましたが、ルノールーテシアを第3位としたのは、CMF-Bという新開発のシャシーを採用し、ボディサイズをほとんど変えずに室内の広さを大きくしたこと。そしてFF車とは思えないコーナリング性能の良さとコンパクトカーらしい軽快な走行性能。さらに先代モデルでは遅れ気味だった運転支援システムがアップデートされ最新鋭になったことをポイントとしました。
前回試乗したときには街乗りと高速道路を主に走行しましたが、左折するだけでも楽しくなる旋回性能。しっかりと制御された運転支援システムなど運転して楽しいクルマに仕立てられています。
それでいて、試乗したルーテシア インテンス テックパックは276万9000円というプライス。同じプラットフォームにe-POWERを搭載したノートも気になりますが、コンパクトカーという枠を超えた進化を見せたルノールーテシアを第3位としました。
●2位はハスラー、室内の広さにビックリ!
続いて、第2位は2020年2月に試乗したスズキハスラーです。
実はハスラーは発売される前の事前撮影会でほんの少しだけ試乗したときからこれはスゴイ!と思いましたが、実際に街を試乗したときにその感覚は間違いなかったと実感しました。
現行型ハスラーは軽スーパーハイトワゴンのスペーシアをベースとしており、室内の広さは先代モデルを大きく上回っています。室内空間が大きくなった現行ハスラーは快適さと心地良さを考えて、環状骨格構造や構造用接着剤でボディ剛性を向上。リアサスペンションの最適化に加えて、ルーフパネルとメンバー接合に高減衰マスチックシーラーを採用し、不快な音や振動を低減させています。
これら新技術を採用することで、背の高いクルマにありがちな不快な揺れを抑えて、スッキリとした乗り味を実現しています。リアシートにも乗って移動しましたが、ねじり剛性が向上していて、不快な揺れや振動が少ないため、お子さんやペットも安心して移動できるでしょう。
ターボ車にしかアダプティブクルーズコントロール機能は設定されていませんが、街乗りでは自然吸気車で十分満足できます。アクセルを踏むとボディが前後に揺れることなくスッと加速してくれるので、ストレスなく走行できます。
しかも人気のSUVで悪路走破性も確保されていますので、軽自動車のベストバイと思っています。
●1位はMX-30、電動化へと進むマツダの未来が見える
いよいよ第1位は、2020年10月に試乗したマツダMX-30です。
マツダのSUVというとCX-3からCX-8まで4モデルも用意されていますが、5番目のモデルとして登場したのが、MX-30です。内外装ともに親しみやすさや温かみを感じるデザインを採用していますし、全長4395mm×全幅1795mm×全高1550mmというボディサイズも自宅の立体駐車場にピッタリとなっています。
RX-8を彷彿させるフリースタイルドアはリアシートへのアクセスは良いですが、狭い場所で開閉がどうなの?と賛否が分かれる部分ではありますが、個性という点を重視しました。
最もポイントが高かったのは、マツダもいよいよ本格的に電動化に進むという未来を感じさせてくれたことです。まもなくMX-30はBEVを追加しますし、ロータリーを発電機として使用するレンジエクステンダーも登場するのではないかという噂もあります。
現状はマイルドハイブリッドのみですが、新しいマツダの方向性を示すモデルとしてMX-30を第1位としました。
そしてMX-30は試乗したセラミックメタリックの3トーンのボディカラーで、ベーシックパッケージ、セーフティパッケージ、ユーティリティパッケージ、モダンコンフィデンスパッケージ、360度セーフティパッケージを装着した296万8880円というモデルが気に入りました。
MX-30の自分の好みに合わせてクルマを仕上げる楽しさを味わえることもポイントとしました。
2021年も国産スポーツカーのフルモデルチェンジをはじめ、FRとなったFCVのトヨタMIRAIなど注目の高いクルマが目白押しです。一体どんな年になるのか楽しみで仕方ありません。
(文・写真:萩原 文博)