■ウイルスを物理的に破壊するフィルター
ホンダの純正用品などを販売しているホンダアクセスから、ウイルスを除去するという驚きのエアコンフィルターが登場しました。しかも、アルコールや塩素系化合物などの消毒薬を使うのではなく、物理的にウイルスを破壊するというのだから驚きです。
「くるますく」と名付けられたこのフィルターは、クルマのさび止めにも使われている“リン酸亜鉛化成処理”という技術を活用して製造されています。もともと使用している材料と技術を工夫することで、フィルター表面に鋭利な突起を作り、ウイルスがそこに刺さり破壊されるというプロセスです。
エアコンそのものと交換するのではなく、現在のエアコンに被せるようにして使うため、クルマ用エアコンのマスク「くるますく」というわけです。
●「くるますく」は編み目状に織られた布のようなものがベース
2020年のコロナウイルスがまん延しはじめた頃、ホンダは患者搬送車の開発やフェイスシールドの生産を急ピッチで進めました。
そうした活動のなかで継続的に社会に貢献できるさまざまなアプローチにトライし、生まれてきたなかのひとつの成果が、この「くるますく」だと言います。
開発を担当したのは四輪事業本部ものづくりセンターで、ホンダアクセスが製造販売を担当します。通常なら、アイデアの立案から開発、製造、販売までに長い月日が掛かるこうした製品ですが、急ピッチで進めた結果、1年を待たずに販売にこぎ着けたとのこと。
クルマのエアコンフィルターの上に被せ、内気循環で15分間エアコンを作動させると、車内に存在するウイルスを不活性化できるといいます。
数種のウイルスに対しテストした結果、99.8%以上の除去が可能であったという結果がでています。新型コロナウイルスに関しては、ウイルスの入手や管理の難しさもありテストが行われていませんので、新型コロナウイルスに効果ありとは謳っていませんが、類似したウイルスに対して効果があったとのことなので、筆者は個人的に大きな期待を持っています。
まずは、新型N-BOX(含むカスタム、スロープ仕様車)用が7040円で2020年12月から発売となります。順次、車種を広げていくとのことですが、家庭用エアコンや空気清浄機への展開も期待したいところです。
(文・写真:諸星陽一)