■毎戦TBNながら実はレギュラー出場だったMORIZO選手
12月12日・13日に大分県オートポリスで開催のピレリスーパー耐久シリーズ2020 第5戦「TKU スーパー耐久レース in オートポリス」。13日には決勝レースが行われました。
ST-2クラスで注目のGRヤリス「ROOKIE Racing GR YARIS」。富士24時間ともてぎ5時間を優勝、このオートポリス戦の予選でもポールポジションを獲得しており予選終了段階で年間シリーズポイント110ポイント獲得。シリーズランキング2位に20.5ポイントという大差をつけるという断トツのトップ。
実際は6戦中の有効ポイント上位5戦が計算されるのでこの差がこのまま残るかどうかは現時点では不明瞭ながら、大きなポイント差があることは事実です。
このROOKIE Racing GR YARISのCドライバーはエントリーリストでは常にTBNと表記されています。TBNとは「to be nominated」、つまり後から指名するので枠だけ確保しているということなのですが、開幕の富士24時間レースからこのオートポリス5時間レースまでレース直前にTBNとなっていたCドライバーにはMORIZO選手が登録されています。
MORIZO選手とは言わずと知れたトヨタ自動車の豊田章男社長のドライバーネーム。社長直轄で世に送り出したGRヤリスで自らレースに出場しているということなのです。しかし立場としてはトヨタ自動車の社長ではなく、一人のクルマ好きがレースに出場する、ということになっているので本名ではなくMORIZOという名前を使っているのです。
■オートポリスとの相性の良さで手に負えない速さを発揮!
ROOKIE Racing GR YARISが、予選から圧倒的な速さを見せます。
ここまで全戦でクラスポール。タイムアタックが行われなかった第2戦SUGOも開幕戦富士24時間を優勝したことでクラスポールとなっています。そしてこのオートポリスでもポールポジション。スタートから好調に飛ばしていきます。
その好調ぶりは2つ上のクラスであるST-TCRのマシンを抜きにかかるほど。マシンとコースの相性がかなりいいのだろうと推察されますが、それにしても速すぎるGRヤリス!
この速さに全力を尽くして対抗しようと無理をしたためか、ライバルは次々とトラブルに見舞われます。
8連覇を最後まで狙っていた59号車 DAMD MOTUL ED WRX STIも最後はミッショントラブルで3位完走となってしまいます。
ラストスティントはもてぎ戦に続いてまたもやMORIZO選手。フィニッシュドライバーとしてチェッカーをくぐることになります。
もてぎ戦に続く3勝目。2位に18周もの差をつけて優勝を獲得したROOKIE Racing GR YARISが最終戦を待たずしてチャンピオンとなりました。
つまりトヨタ自動車の社長がスーパー耐久シリーズの有効ポイント5戦に全て参戦しシリーズチャンピオンとなったのです。
これまで日本の自動車メーカーの社長が国内サーキットを転戦するレースでシリーズチャンピオンになったことなどありません。そんな快挙を作り上げてしまったMORIZO選手にはとてつもないパワーを感じてしまいます。
(写真・文:松永和浩)