目次
■レース環境としては極寒の標高800mで12月開催!
12月12日・13日に大分県オートポリスで開催のピレリスーパー耐久シリーズ2020 第5戦「TKU スーパー耐久レース in オートポリス」。13日には決勝レースが行われました。
朝9時50分、コロナ禍で開催時期が大幅にずれ込んだ影響で例年の5時間レースではありえないほどの早い時間にスターティンググリッドへ向かうマシンへのコースオープンカウントダウンが行われました。
決勝スタートは10時45分で、5時間後の3時45分にチェッカーという日没までに表彰式を終わらせるというスケジュールとなります。余談ですが、日本のサーキットで一番日没時間が遅いのがオートポリスで、12月13日の日没時間は17時11分。この日の富士スピードウェイだと16時32分、鈴鹿サーキットだと16時43分となり、騒音規制などの問題で朝8時から走行が可能となるほとんどのサーキットの中で、12月に5時間耐久レースが出来る国内唯一のサーキットがオートポリスとなります。
そんなオートポリスは暖かい気候のイメージが強い大分県でも山あいの標高800mの場所に位置し、この季節には異例に暖かくなったと言われる決勝日でもスタート時の気温は8.1℃。レースをする環境としては極寒と言える気温です。
■ST-Xクラスでゆるぎない強さを発揮したD’Station Vantage GT3
そんな寒さの10時45分にフォーメーションラップが始まります。当初は2周の予定だったフォーメーションラップですが、10℃前後というあまりにも低い路面温度のためにタイヤを温めるという意味合いで3周に変更となります。そして4周目にレーススタート。
ホールショットは777号車 D’Station Vantage GT3。しかし背後にはランキングトップの888号車 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3がピッタリとついてきます。
8周目あたりでHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3がトップに躍り出ますが、その直後にドライブスルーペナルティ!なんとスタート時に違反があったとのことでのペナルティで、これを消化すると4番手まで順位を下げてしまいます。
その後の D’Station Vantage GT3の速さは目を見張るものがありました。ドライバー交代のピットインタイミングで再びHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3がトップに立つことがありましたがそれも束の間、近藤翼選手によってまたもD’Station Vantage GT3がトップとなります。
D’Station Vantage GT3はトップのままその座を譲ることなく5時間の後のチェッカーを受けることとなります。
チームオーナーでもある星野敏選手はプラットフォームのフェンスに立ち、フィニッシュドライバーの近藤翼選手を出迎えます。
この優勝でD’Station Vantage GT3は今季2勝目。それも2度のPole to WIN!という強さを発揮しました。
予選の速さに決勝の強さが追い付いてきたという印象です。
■混沌としたチャンピオン争い
このD’Station Vantage GT3の優勝で大きく変わってきたのがチャンピオン争いです。
HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3がこのオートポリスで優勝していればチャンピオン決定でしたが、結果は4位となりポイントは105ポイント。
ランキング2位は9号車 MP Racing GT-Rで87.5ポイントとなり、最終戦をPole to WINで119.5ポイント。HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が5位かリタイアだとチャンピオンとなります。
また今回の優勝で、鈴鹿戦にて上位陣が全てリタイアとなった場合はD’Station Vantage GT3のチャンピオンもあり得るという場所まで登りつめてきました。計測のあった予選では全てポールポジションというD’Station Vantage GT3の存在が鈴鹿戦でのチャンピオン争いの予想をかなり難しくしています。
最終戦鈴鹿は年明けの1月23日に5時間レースの予選、決勝を同日に行うという超過密スケジュール。このスケジュールがどのような結果をもたらすのか、非常に楽しみなところです。
(写真・文:松永和浩)