■トップカテゴリーのモータースポーツでも実績あるRAYS製ホイール。次に採用されるジャパン・ブランドはどこだ?
マツダ・ロードスター/ロードスターRFが一部改良を実施しました。主な改良ポイントはカラーコーディネートの幅を広げたことで、インテリアカラーとして「ピュアホワイト」を新設定したのは、オープンモデル映えする新色として注目です。
そして、新しいピュアホワイト内装のスペシャルモデルとして「RS White Limited Selection(RS ホワイト リミテッド セレクション)」を設定、2021年3月31日までの期間限定で販売することもアナウンスされました。
「RS White Limited Selection」は、1.5Lエンジンでソフトトップ仕様のロードスター、2.0Lエンジンでリトラクタブルハードトップ仕様のロードスターRFのいずれにも設定されています。
メーカー希望小売価格は、ロードスターのほうが361万5700円、ロードスターRFは418万2200円。どちらも6MTだけのラインナップというのも走りにこだわった仕様という印象です。
なにしろ、ベースとなっているのは『ビルシュタイン』製ダンパーを標準装備するRSグレードですから、そもそも6MTの設定しかないわけです。そして「RS White Limited Selection」では、メーカーオプションとして設定されている『ブレンボ』のフロントブレーキを標準装備しています。さらに走りを際立たせる軽量アルミホイールとして、ロードスターには『レイズ』製16インチ鍛造アルミホイールが、ロードスターRFには『BBS』製17インチ鍛造アルミホイールが与えられているのです。
さて、ここで『』で囲んだブランドを見ていて気付くことはないでしょうか。『ビルシュタイン』、『ブレンボ』、『BBS』は海外発の舶来ブランドですが、『レイズ』は日本のブランドなのです。
『RAYS』のロゴは、モータースポーツでも世界選手権レベルで実績があります。たとえば、日本車としてル・マン24時間耐久を制したトヨタもマツダもレイズのホイールを使っていました。さらに、チューニングシーンでもレイズのホイールは高く支持されています。ですから、こうしてメーカーが純正採用しても不思議ではありません。
そもそも、ロードスターのメーカーオプションとして、このレイズの16インチ鍛造ホイールは設定されていましたから、こうして期間限定の特別仕様のようなモデルに標準装備されたのは当然なのかもしれません。とはいえ、ブランド名を表に出すパーツについては、どうしても舶来ブランド中心になる傾向にあります。
その中で、レイズという国産ブランドが並び立つ存在として使われるようになったというのは、メーカーが認めただけでなく、市場も特別な価値のあるブランドとして認識しているからという部分もあるでしょう。レイズほどのブランドになれば当然とはいえますが、ユーザーの舶来信仰もなくなってきて、「いいものはいい」と判断できる目が育ってきたという風にもいえるかもしれません。
では、レイズのほかに、このように自動車メーカーが純正採用する特別なパーツとして市場が認めるブランドはあるのでしょうか。
その最右翼となるのがチューニングの総合メーカー『HKS』ではないでしょうか。
最近でいえば、STIが北米市場限定でリリースしたコンプリートカー「S209」に使われているターボチャージャーにはSTIとHKSのダブルネーム入りとなっていますし、同社は表には出ていない事業ですが、自動車メーカーに納入していたり架装を担当していたりしますから、量産車に必要なクオリティやルール、マナーといったところでも多くの知見を持っています。
市場でもとくにスポーツカーオーナーであればHKSの3文字は認識されているでしょうから、車両の価値を高めるブランドとしても機能することでしょう。
そのほか、スポーツシートメーカーの『BRIDE(ブリッド)』もカスタマイズ業界では超ビッグネームとなっています。まだまだ自動車メーカーが純正採用するスポーツシートというと『RECARO(レカロ)』一択といった状況ですが、チューニングの世界でブリッドとレカロのシェアを比べるとブリッドの勢いは明らかに勝っているという印象を受けます。
純正採用にはチューニングとは異なるノウハウが必要なので、そう簡単にはいかないかもしれませんが、ドリフトやタイムアタック、さらにはスーパーGTやスーパー耐久などモータースポーツ界でも幅広く使われている(国内モータースポーツでのシェアトップ)ブリッドですから、純正採用されても十分なブランド性はありそうです。
そのほか、ブレーキキャリパーでいえば『ENDLESS(エンドレス)』、サスペンションでは『TEIN(テイン)』のようなブランドにも同様の価値はあるといえるのではないでしょうか。
純正採用されるためには耐久性などでのハードルもグッと上がりますし、様々な要件によってチューニングパーツのようにはいかない部分が多々あるのは承知の上で、特別仕様車やメーカーオプションとしてもっともっと国産チューニングブランドのアイテムが装着されるようになると、クルマ業界におけるジャパンブランド全体の底上げにつながるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
(自動車コラムニスト・山本晋也)