■9ATとスムーズなストップ&ゴーが印象的
2020年9月にビッグマイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツEクラス。エントリーモデルの1.5L直列4気筒直噴ターボを積むセダン「E 200 Sports」についてお届けします。
同モデルには、BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)、48V電装システムが組み合わされています。184PS/5800-6100rpm、280Nm/3000-4000rpmというスペックで、BSGにより10kW/160Nmの加勢があり、街中から高速域まで動力性能はまさに必要十分といえる実力の持ち主。
車両重量は1720kgで、9速ATの組み合わせ。印象的なのは9ATのウルトラスムーズといえる変速マナーと、ツインスクロールターボの過給までの間を上手くつなぐようなBSGによるブーストで、エンジンが主役ではあるものの、ストップ&ゴーが続くような街中ではより効果を実感できます。BSGは、発電機でもあるモーターがベルトを介してクランクシャフトにつながっていて、2500rpm以下の領域で加勢される160Nmの最大トルクは、モーター単体ではなく、クランクシャフトに作用するトルクになっています。高速道路にシーンを移すと、合流時や巡航時には先述したように不足を抱かせない一方で、追い越し時などでは、1.5Lという排気量の小ささを感じさせるシーンもあり、高負荷域では背中を押されるようなパンチ力までを期待するのは酷かもしれません。
それでも、日本の高速道路での流れに乗るには十分で、アダプティブクルーズコントロールを使ってのロングドライブも苦にしないはず。先述した超スムーズな9ATが状況に応じて賢くギヤを選択してくれますから、Eクラスに求められるドライビングダイナミクスは十分に備えています。乗り心地は適度に引き締まっていて、とくに路面が荒れた郊外路や山道では顕著に感じられますが、ボディの剛性感がかなり高く、高速域ではフラットライドになり、マイナーチェンジ前よりも落ち着きを抱かせる乗り味になっています。BSG搭載モデルは、エンジン始動時の振動や音が抑制されていて、街中でのマナーの良さも印象的です。
なお、「E 200 Sports」のWLTCモード燃費は、13.1km/Lとなっていて、プレミアムセダンとしての走りはもちろん、実燃費を重視する人にも見逃せないモデルとなっています。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)