■我々の思うところはライダーと同じ「24時間365日、普通車の半額」
オートバイの高速道路通行料金について、普通車の半額とする定率の割引サービスが実現する見通しです。
逢沢一郎・自民党二輪車問題プロジェクトチーム(PT)座長はインタビューに応じ、次のように話しました。
「定率(割引)でいこう、という大きな合意はできあがりつつある」
自民党二輪車問題PTは、オートバイの交通環境を中心とした課題解決に取り組んでいます。過去に同党オートバイ議員連盟では、高速道路の1人乗り限定打破を後押し。2人乗り(定員乗車)を実現させました。逢沢氏は議連の会長も兼任します。
「我々も思うところはライダーと同じ。24時間365日、普通車の半額。今の料金区分でいうと軽自動車の8分の5が、もっともわかりやすい」
普通車の半額という定率割引は、定額割引の二輪車ツーリングプランがきっかけだったと、逢沢氏は説明します。
「ツーリングプランが始まって4年。各コースが拡充してきたのはいいが、バイクの保有台数など二輪車全体のボリュームから考えると利用者はわずか。一方、利用実態を調べると利用は土日祝日や大型連休を中心に日帰りが多い。こうした利用率の高いところにサービスを展開できないか」
国土交通省高速道路課は、二輪車通行料金の見直しについて反対し続けています。通行料金を下げると料金収入が減少し、建設費の債務など償還に支障が出る。徴収の公平性を妨げるという主張です。
ただ、アンケートでは料金に矛盾を感じるライダーでも、料金が下がれば高速道路を利用したいという回答が多数を占めます。現実はどうなのか。高速道路会社は周遊商品として、何回乗り降りしても利用期間中は一定額の二輪車ツーリングプランを販売し、利用動向の検討を続けてきました。
逢沢氏がいう「合意ができつつある」というのは、定額割引は収支に影響を及ぼさないことが確認され、第二段階として二輪車ツーリングプランの定率割引(=普通車の半額)導入について、高速道路課や高速道路会社が同意に傾いた、ということを示しています。
●割引条件が出し惜しみされる可能性も
気になるのは、その実現の時期です。
「これは、今までにない新しいサービス。そう遠くない時期にライダーに提供できる」
新型コロナの影響を理由に発売が延期された2020年を除き、ツーリングプランは4月の大型連休前~11月末(北海道は10月末)が販売期間です。大枠は年度内に決定しなければなりません。
また、割引で減収になる可能性以外に、高速道路会社に支出の必要がないことも、実現の可能性を高める理由のひとつです。
高速道路課は新たなバイク料金を設定する場合に、費用負担を利用者=ライダーに求めていました。料金テーブルなど収受システムの改修が必要ということが理由です。しかし、ツーリングプランの割引方法を応用すればシステム改修の必要はありません。
ツーリングプランの定率割引は、通常料金で利用総額を計算した後、ツーリングプランの利用期間(2日~3日)の利用分だけ、コースごとの定額割引に計算しなおします。定率割引はそれよりはるかに単純に計算できます。
ただ、定率割引のツーリングプランができあがるまでには、いくつかの細部の詰めが必要です。それは大きく分類すると3つです。
・割引対象は1回か、1日分を合計した乗降区間か
・これまでのプラン同様、期間中は曜日に関係なく適応されるのか、それとも土日休日などに限定されるのか
・深夜割引、休日割引など各種割引と合算して適応になるのか。どちらか一方だけなのか。
その行方はライダー自身が見極めて、政治家を後押しする必要がありそうです。
(中島 みなみ)