●GR Supra、そしてBRIDGESTONEタイヤが公式練習で上位独占
11月最後の週末となった28日、「2020 AUTOBACS SUPER GT Round8 たかのこのホテル FUJI GT300km RACE」が開催されました。
新型コロナウイルス感染症の影響で予定より3ヶ月遅れて7月に無観客での開幕戦が行われて以来、4ヶ月強という短い期間に全8戦を行ってきたスーパーGT。GT500クラスではドライバーズランキングで自力でのシリーズチャンピオンの可能性が残る4ポイント差に6チームが入るという大混戦で、この最終戦を迎えることになりました。
朝9時から行われた公式練習は気温14℃、路面温度16℃というコンディションで行われ、各マシンが午後に行われる予選に向け周回を重ねました。
各クラス95分間で行われたこの公式練習では各所でスピンやコースオフが散見され、タイヤのウォームアップや路面温度とのマッチング、そしてドライビングのワンミスが普段以上にシビアに影響することが見て取れました。
こうした状況の中、トップタイムをマークしたのはトップと同ポイントながらランキング2位の#37 KeePer TOM’S GR Supra。コースレコードに0.257秒差となる1’26.690をマークします。以下トップ5までをブリヂストンタイヤ装着のGR Supraが独占し、ホームコースである富士スピードウェイとの相性の良さが際立ちました。
6〜8番手には同じくブリヂストンタイヤ装着のNSX-GTが入り、こちらもシリーズチャンピオン獲得に向け予選上位を虎視眈々と狙います。
この最終戦はこれまでの獲得ポイントに関わらずノーウェイトハンデでのガチンコ勝負となりますので、例年ではシーズンオフとなっているこの時期での気温、湿度が低く空気密度が高いコンディションで新たなコースレコード樹立の期待も高まる公式練習となりました。
●シリーズチャンピオン獲得に向け明暗くっきり分かれたノーウェイトハンデでの予選
FIA-F4決勝を挟んで13時過ぎ、気温13℃、路面温度17℃、湿度32%と公式練習とほぼ同じコンディションで予選が行われました。
15台中7台がノックアウトされるGT500クラス予選Q1では、各マシンが計時開始からコースイン。路面温度の低さから10分間の計測時間をフルに使って普段以上にしっかりとタイヤに熱を入れていきます。
残り時間1分を切っても27秒を切るマシンが現れない中、#36 au TOM’S GR Supra、今シーズンGT500ルーキーのサッシャ・フェネストラズ選手が1’26.790をマークしトップに立ちます。そのままチェッカーフラッグが振られこの時点で全車がラストアタックとなると36号車と同じTOM’Sの37号車GR Supra平川亮選手がトップタイムとなる1’26.722をマーク。最終的に26秒台に入ったのはこの2台のみとなりました。
そしてこのQ1では、ここ富士での第2戦で優勝したランキングトップの#17 KEIHIN NSX-GT、ランキング5位で開幕戦富士の予選でコースレコードを記録した#8 ARTA NSX-GT、また同6位の#14 WAKO’S 4CR GR Supraのシリーズランキング上位3チームが敗退。翌日の決勝、そしてシリーズチャンピオン獲得に向けて後方からのスタートと非常に厳しい予選結果となりました。
迎えた予選Q2でも各マシン早めのコースインでポールポジション獲得に向け入念にタイヤを温め、計測時間2分を切ったところでドライバーズポイントでトップと20ポイント差、この予選でポールポジションを獲得しないとシリーズチャンピオンの可能性が消えてしまう#64 Modulo NSX-GT伊沢拓也選手が1’27.113をマークし暫定トップに立ちます。
しかしその直後9ポイント差でランキング9位の#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraヘイキ・コバライネン選手が1’26.753をマーク。そしてそのまま10分間の計測時間が終わった直後、Formula-E参戦準備のため戦線を離脱したニック・キャシディ選手に代わって前戦もてぎからチームに加入した37号車GR Supra山下健太選手がコースレコードとなる1’26.386を叩き出しトップに浮上!
そのままそのタイムを更新するマシンは現れず37号車が開幕戦以来となるポールポジションを獲得し、シリーズランキングでも1ポイントを上積みして単独首位に立ちました。
この予選Q2ではトップ4をGR Supraが独占。GT300クラスでも開幕戦富士で優勝した#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTがポールポジションを獲得し、決勝を前にまたもGR Supra祭りとなった予選日となりました。
翌29日は11:30からウォームアップ走行、そして13:00に2020シーズンのシリーズチャンピオンが決まる決勝レースの火蓋が切られます!
(写真:吉見幸夫、松永和浩 文:H@ty)