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■スズキ創立100周年に華を添えるビッグタイトル
11月15日、スペインのリカルド・トルモ・サーキットで行われた2輪車レースの最高峰「MotoGP(FIMロードレース世界選手権)」の第14戦で、スズキのジョアン・ミル選手が年間チャンピオンを獲得。2000年以来の実に20年ぶり、しかも創立100周年というスズキの大きな節目に、超ビッグタイトルをもたらしました。
●王者マルケス不在で混戦
MotoGPは、スズキの他にホンダやヤマハといった国内メーカー、ドゥカティ、KTM、アプリリアといった海外の有名メーカーが、スペシャルなレーシングマシンを投入して競う2輪のF1ともいえる最高峰のレースです。
1000ccエンジンを搭載したマシンたちは、300ps近い馬力を誇り、長い直線があるサーキットでは最高速度が350km/hを超える場合もあるなど、毎回スリリングな展開が楽しめます。
そんなMotoGP、2019年までは4年連続でホンダの「RC213V」を駆るマルク・マルケス選手がチャンピオンを獲得していました。
ところが、今シーズンはケガによりほとんどのレースを欠場。絶対王者マルケス選手の不在により混戦となったMotoGPでしたが、スズキの「GSX-RR」を駆るミル選手は、毎レース着実にポイントを獲得。第13戦ヨーロッパGP(スペイン)では、MotoGPで初の優勝も飾るなど、大活躍をみせます。
●最終戦次第では3冠の可能性も
そして、今シーズンのタイトルを決めた第14戦。予選は14番手と奮いませんでしたが、決勝では着実な走りで追い上げて7位フィニッシュ。ライダーズポイントを171ポイントに上げたことにより、残り1戦を残して2020シーズンのライダーチャンピオンを獲得しました。
ちなみに、スズキのライダーがタイトルを獲得したのは、2000年にケニー・ロバーツ・ジュニア選手が、2ストローク500ccマシンでタイトルを獲ってから20年ぶり。
しかも、今回はミル選手のチームメイトであるアレックス・リンス選手も4位に入ったことで、スズキワークスである「スズキエクスター」も初のチームチャンピオンを獲得。しかもスズキは、最終戦の第15戦ポルトガルGPの結果次第では、メーカーに与えられるコンストラクター・タイトルを獲得する可能性も残しています。
3冠の期待がかかるスズキ。もし実現したら創立100周年にさらに見事な華を添えることになりますね。
(文:平塚直樹)