■ロングドライブも快適
「このクルマ、室内が広くない? 前のクルマと大きさはあまり変わらない気がするけれど」
キックスに乗り込むなり、彼女はそう感想を言った。さすがよく気が付いた……と言いたいところだけど、前に乗っていたのがジュークだったからわかりやすいのかもしれない。
ジュークもキックスも同じコンパクトクロスオーバーSUVというジャンルだけど、キックスは明らかに室内が広い。全長はジュークが4135mmでキックスは4290mmだから約15cmの違いがあるけれど、室内の広さの差はそれどころではない。特に大きく異なるのが後席スペースだ。
ジュークの後席は、包み隠さず言うと大人が座れる最小スペースという印象。ゆったりと座るのには程遠く、足元スペースは狭いし頭上も閉塞的な感覚があった。
いっぽうキックスは、足元はゆったりだし、窓が大きいことも手伝って解放感があるし、頭上だって広々している。何を隠そうキックスの後席の広さはクラス最大級で、これなら長時間座ってロングドライブに出かけるのも快適だ。
●やっぱり広い方が!?
もちろん、これはジュークが悪いという話ではなくクルマのキャラクターの違いによるもの。
ジュークはとにかくデザインの個性を狙っていたし、欧州ではコンパクトカーの後席に関して「日常的に人を乗せるわけではないのだから、広ければいいわけではない」という考えもあるのだとか。ところ変われば……ってやつだ。
たしかに、ボクが彼女と2人でドライブに出かけるのであれば後席の広さは関係ない。極端な話、後席なんてなくてもいいくらいだ。
「でも、友だちを乗せる時は広いほうがいいしね。それから、結婚して子どもができたら、やっぱり後席が広いほうが便利でしょ?」
それって……彼女のなかでボクとの将来が描けているってこと? だったら嬉しいね。(つづく)
(文:工藤 貴宏/今回の“彼女”:夏本 あさみ/ヘア&メイク:東 なつみ/写真:ダン・アオキ)