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■ワンボックスからミニバン、軽自動車まで
相変わらず人気の車中泊。昨今はシートを倒すとフルフラットになるモデルも多くなり、車内を快適に過ごすことができるクルマの選択肢も増えてきました。しかし、一方でシートをフラットにできても、多少でも段差があったりするとゆったりと寝ることができないのも事実。
快適な車中泊には、やはり専用ベッドが付いたクルマの方がいいのですが、本格的なキャンピングカーでは普段使いがしにくいとか、近所にショップがないなどの理由で抵抗がある方もいるでしょう。
そこで、最近増えてきたのが自動車メーカーが販売するベッド付き仕様のクルマ。それらの多くは、全国のディーラーなどで新車が購入できる上に、仕事など普段使いができるのも魅力です。
ここでは、そんな快適な車中泊ができるクルマを紹介しましょう。
●日産 NV350キャラバン/NV200バネット
広々としたラゲッジスペースを誇る日産のワンボックスカー「NV350キャラバン」には、2020年9月に車中泊仕様の「マルチベッド」が追加されました。
日産傘下のカスタマイズメーカー「オーテックジャパン」が開発したこの仕様は、小型貨物車4ナンバーバンクラスでNO.1の荷室空間を利用してベッドシステムを追加したもの。
ベースは2列シートの5人乗り仕様で、荷室スペースにベッドと硬質のフロアパネルを装備。ベッドを荷室全面にわたって展開すれば、横1510mm×奥行1760mm×高さ350mmの広々とした就寝スペースになるほか、ベッド下は荷物が積める収納スペースにもなります。
また、左右に独立させた状態での使用や、ベッドをベンチとしてオプションのテーブルと組み合わせて使用することも可能。さらにベッドは、使わない時は左右に跳ね上げることができるので、広い荷室スペースを犠牲にすることなく、仕事はもちろん、大きな荷物の移動などにも使えます。
価格(税込)は340万3400円〜432万3000円です。
日産の商用車では、ほかにも小型ワンボックスカー「NV200バネット」の2列シート5人乗りワゴンをベースにしたマルチベッド仕様もあります。
こちらもオーテックジャパンが開発したもので、2列目シートを倒し、ベッドマットを設置すれば、横1270mm×奥行920mm×高さ390mmの就寝スペースとなり、大人2人が余裕で寝られます。
また、ベッドを積載しない場合は、大きな荷物でも運べる荷室スペースとして使えることなども同様です。価格(税込)は262万4600円〜273万4600円です。
●ホンダ N-VAN
ホンダの軽商用車「N-VAN」は、助手席と後部座席を倒すと完全にフラットにすることができ、仕事用だけでなくアウトドアなどの遊びにも最適なモデルです。
車中泊の場合は、運転席も一応倒せますがフラットにはならないため、就寝は1人の方がよさそうですが、それでも助手席側なら長身の人でもゆったり寝られるスペースが確保できます。
しかもN-VANには、純正アクセサリーとして設定されているマルチボードのラゲッジ用とリヤ用をセットすれば、床から一段高い快適なベッドになるのも魅力。ボード下は、高さ約2150mm×幅約700mm×奥行約1340mmの収納スペースにもなりますから、荷物の積載にも便利です。
なお、このボードはホンダ傘下のパーツメーカーであるホンダアクセスが製作、ディーラーなどで購入できます。
価格(税込)は、N-VANが129万1400円〜183万2600円。マルチボードはラゲッジ用6万8200円、リヤ用3万1900円です(ボードは、ホンダ傘下のパーツメーカーであるホンダアクセスが製作、全国のディーラーなどで購入できます)。
●日産 セレナ
ファミリーでキャンプに行く人などにおすすめなのがミニバンのベッド付き仕様です。日産の「セレナ」には、前述のNV350キャラバンやNV200バネットと同様に、「マルチベッド」仕様があります。
通常のセレナは7人乗り/8人乗りの3列シート仕様ですが、このモデルは2列シート仕様にし、2列目の座席を倒せば専用のベッドマットを搭載することができます。
大人2人がゆったりと休むことができる広くフラットなベッドは、荷室前後のフレームで固定するため安定感も抜群。ベッド下は収納スペースとして使えるため、キャンプやアウトドアの荷物を収納することができます。
ベッドマットは畳んで荷室後部に収納できるため、走行時などは2列目シートを起こして4〜5人の乗車が可能(モデルにより異なります)。また、マットを積載しなければ広々とした荷室スペースとしても使えるため、キャンプ道具やホームセンターなどで購入した大きな荷物も載せられます。
価格(税込)は372万1300円〜383万200円。なお、こちらの製作もオーテックジャパンが担当していますが、車両は全国の日産ディーラーで購入できます。
●メルセデス・ベンツ V220d マルコポーロ・ホライゾン
最後は、ベッド付きの高級ミニバン。メルセデス・ベンツのVクラスに設定されている「V 220 d Marco Polo HORIZON(マルコポーロ・ホライゾン)」です。
このモデルの特徴は、屋根が上方に上がり、テントのような形状になるポップアップルーフ(リーディングライト付)が付いていること。中は大人2人までが就寝可能なベッドルームになっています。
また、車内にも、フルフラット機能を採用した3列目シートを用意し、最大3名までの就寝が可能なフルフラットなスペースになります。
ほかにも、前席(運転席および助手席)は最大230°回転する機能を持つため、前席を回転させることで後席対面式のゆとりあるリビングにも早変わり。ルーフ右側にはサイドオーニング、エンジンを切っても装備が使えるサブバッテリーなど、キャンプなどでの使い勝手や快適性を考慮した装備が充実しています。
価格(税込)は938万円。高価ではありますが、最大出力163psを発揮する2.2Lの直列4気筒クリーンディーゼルの余裕ある走りや、レーダー型衝突警告システム「CPA(衝突警告システム)」などの先進安全装備などが付いていることを考慮すれば納得のお値段です。
(文:平塚直樹/写真:日産自動車、本田技研工業、メルセデス・ベンツ日本)