■GTドライバーとF4ドライバーの兄弟が立ち上げた新チーム
2020年10月10日〜11日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催された、ピレリスーパー耐久シリーズ2020第2戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」。このレースで新たにデビューを果たしたチームがあります。
2020シーズン初頭に設立発表を行ったHELM MOTOR SPORTS。TOYOTA GSC10 LEXUS RC 350でST-3クラスに参戦です。
チームの中心はSUPER GTのGT300クラスに出場し2019年の鈴鹿戦では2位となっている兄の平木湧也選手、そしてFIA-F4に参戦する弟の平木玲次選手の兄弟です。その平木玲次選手はHELM MOTOR SPORTS初参戦となる10月3日に富士スピードウェイで開催されたFIA-F4選手権開幕戦で見事な優勝を果たしています。
HELM MOTOR SPORTSは地域密着型のモータースポーツがテーマとなるチームで、二人の出身地である茨城県水戸市とチームのファクトリーがある栃木県茂木町を中心に、北関東に根付いたモータースポーツ入門活動、メカニックなどの職業体験活動、交通安全啓蒙活動を行くとのことです。
2020シーズンでの活動のもう一方であるスーパー耐久も、このSUGO戦から始まります。このSUGO戦では全日本F3選手権で女性初、現在のところ女性唯一の優勝経験者である三浦愛選手も加入しての3名体制で戦いました。ちなみに三浦愛選手はスーパー耐久初参戦です。
■最後尾からの追い上げで初戦を表彰台!
本来は予選が行われタイムに応じたグリッドポジションからスタートするところなのですが、10月10日の予選予定時刻に降り続いた大雨の影響で予選がキャンセルとなってしまいます(Gr.1)。
グリッドは富士24時間レースの結果を反映するということになってしまいました。富士24時間レースに参戦していないHELM MOTOR SPORTSは必然的に最後尾からのスタートとなってしまいます。
最後尾スタートとはいえ、予選が行われていないのでチームの実力は未知数。そしてマシンのレクサスRC350は昨年までル・ボーセモータースポーツが熟成を重ねてきたもので、すでに完成の域に達していると言えるものです。なおこのマシンと栃木県茂木町のファクトリーは、2019年にモータースポーツから撤退したル・ボーセのものを継承しています。
スタートドライバーの平木玲次選手は前週のFIA-F4優勝の勢いに乗ってか、かなりの攻めを見せており、ベテランのライバルにどんどんと競り勝っていきます。
ドライバーとしての実力がかなり高い兄弟がぐいぐいとポジションを上げていき、フィニッシュドライバーの三浦愛選手のスティントでは2位にまで登りつめていきます。
最終スティントでコースアウトを喫してしまい、最終リザルトは3位となってしまいます。しかしクラス最後尾というよりもGr.1レース全体の最後尾からスタートして、一時はクラス2位からの3位表彰台は、初参戦チームとしては見事なデビュー戦だったのではないでしょうか。
三浦愛選手にとってもスーパー耐久初参戦での表彰台。
「ミスは悔しかったけれど、初参戦での表彰台は本当にうれしい。無事完走できて、チェッカーを受けられて良かったです。これからも頑張ります」と語っています。
スーパー耐久デビュー戦で3位入賞、表彰台に立てた意義は極めて大きくチームの士気もかなり上がっているとのこと。
次回の参戦は 11月21日~22日に行われる、ツインリンクもてぎでの第4戦。まさに地元のホームコースでのレース。SUGOで魅せた実力から、ここは優勝を狙っていくことでしょう。
(写真・文:松永 和浩)
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