■予選中止でポールポジションスタートのクラウン
2020年10月10日〜11日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催された、ピレリスーパー耐久シリーズ第2戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」。
10日に行われる予定だったGr.1予選が激しい雨のために中止となり、スターティンググリッドは前戦の富士24時間レースの結果から決定するという措置が取られました。そのためST-3クラスのポールポジションは埼玉トヨペット Green Braveとなります。
(※グループ分け:Gr.1=ST-X、ST-Z、ST-TCR、ST-1、ST-2、ST-3クラス/Gr.2=ST-4、ST-5クラス)
快調にスタートしたかのように見えた埼玉トヨペット Green BraveクラウンRSですが、グリッドポジション2番手のエアーバスターWINMAX RC350 TWSがスタート周で埼玉トヨペット Green BraveクラウンRSを抜き去りトップへ躍り出ます。
そして埼玉トヨペット Green BraveクラウンRSは10周目にラジエターホースが脱落するというトラブルにより緊急ピットイン。修理に多くの時間をかけることとなり勝負権を失ってしまいます。
クラウン参戦2戦目は、ライバルのリタイアがあったためにクラス5台中4位という結果となってしまいました。
●クラウンはコーナーリングマシン?
しかしクラウンは遅かったのか?というと、話は変わってきます。
そのチームを評価する場合に強さは順位、速さはタイム…と表現される場合があります。埼玉トヨペット Green BraveクラウンRSはマシントラブルということで強さを見せることが出来なかったSUGO戦でしたが、実はタイムはかなり速かったのです。
今回のSUGO戦では予選が行われなかったのでレース中のベストラップを見てみましょう。優勝したエアーバスターWINMAX RC350 TWSのベストラップは冨林勇佑選手の1分44秒085でしたが、埼玉トヨペット Green BraveクラウンRSのベストラップは川合孝太選手の1分43秒529と0.5秒も速かったのです。
はっきり言って3.5リッターのライバルと比べてかなり非力なクラウンですが、どこに速さを秘めているのでしょうか?
実はクラウンはST-3クラスの中ではコーナリングセクションが速いといいます。これはTNGAプラットフォームを採用したボディのおかげで、コーナリングスピードがかなり向上しているおかげとのことです。スーパー耐久でTNGAプラットフォームのボディを持たマシンは他にROOKIE Racing GR YARISがあり、こちらもコーナリングスピードが高いと評判です。
見た目は大柄なボディを持ったクラウンが、実はコーナリングマシンだった! こういったところも車種バラエティの豊富なスーパー耐久の見どころの一つ言えるでしょう。
(写真・文:松永 和浩)