■日本には2021年の「CT5スポーツ」「エスカレード」に導入予定
キャデラックは、本国で第4世代となるマグネティックライドコントロールの導入を発表しました。
磁気流体感応技術を使うマグネティックライドコントロールは、負荷に応じて素早い応答性が得られるのが特徴です。今回、ダンパーの応答性が最大45%も向上したそうで、「キャデラックCT4-V」「CT5-V」「CT5スポーツ」「エスカレード」の走りは、格段に高まることになります。
マグネティックライドコントロールは、電磁石とダンパー内の磁性流体を組み合わせたアクティブダンピングシステムで、減衰力の強さ(減衰率)を絶えず変化させます。各ホイールに装着された加速度計により1/1000秒単位の反応速度で路面状況を読み取り、流体内の磁力を変化させることでダンパーの減衰力を瞬間的に変えることができます。実際の走行シーンでは、ストロークの速度やストロークの大小を問わず素早い反応が得られるのが特徴。
減衰率を調整することで、路面変化やコーナーに対するレスポンスが向上し、路面とタイヤの接触を最大化することによって、より正確なドライビングが可能になるとしています。第4世代のマグネティックライドコントロールは、世界最速の反応速度を誇るサスペンション技術を謳い、より高い応答性を発揮。これにより、荒れた路面からの振動を素早く抑えることができるそう。
今回の改良は、キャデラックが約20年前の2002年にマグネティックライドコントロールを「キャデラック セビルSTS」に採用して以来、最も大幅なアップデートとしています。
最新型の加速度計、改良型マグネティックフラックスコントロール、車両の動きに対する感度を高めたIMU(慣性計測ユニット)が含まれていて、サスペンション自体が路面変化を読み取ることで、さらに素早い応答性能を実現。
今回の改良点は、2020年モデルの「キャデラックCT5-V」および「CT4-V」での初導入され、そして2021年モデルの「CT5スポーツ」、新型「エスカレード」への搭載に向けて、センサー、制御用ハードウェア、ダンパー、車両のチューニングなどを含む従来のシステムのほぼすべてが、マグネティックライドコントロールの開発のために再検討されたそうです。
最新世代のマグネティックライドコントロールには、新開発のホイールハブ加速度センサーとIMU(慣性計測ユニット)が、従来のシステムの4倍の速さで路面状況の変化を伝達・処理。これにより滑らかで自然な減衰力変化を実現。IMU(慣性計測ユニット)は、ホイールに対する車両の相対的な動きを正確に読み取り、激しいブレーキングやハードなコーナリングといった走行状況下でも、より正確な計測を可能にします。
また、新しい二次温度マップを採用することで、エンジニアはダンパーフルードの温度変化を補正することができ、特に付加の高いハイパフォーマンス走行時の安定した性能に貢献するそう。
さらに、今回採用された新しい磁束制御が、ダンパーのリバウンドとコンプレッションが切り替わる際により、一貫性のある正確な遷移を可能にし、車両の動きを感知して制御するシステムの能力が向上。ダンパー内の摩擦を大幅に低減することで、ほとんど減衰力を発生しない「ノーダンピング」に近い効果が得られ、エンジニアはドライブモードの違いを明確に感じられるようにセットアップすることができるとしています。
ハードウェアとソフトウェア両面でのアップグレードがコーナリングでのボディコントロールを一層向上させ、新しい磁性流体の使用がダンパーの内の摩擦を低減し、全体的にスムーズな減衰力発生が得られるそうです。なお、日本では2021年の「CT5スポーツ」「エスカレード」に導入が予定されているそうです。
(塚田 勝弘)