トヨタ・ヤリスCVT・全日本ラリー参戦用清水和夫号の実走テストが始まった! エンジントルクを可視化できる解析機器とは?【SYE_X】

■全日本ラリー選手権ヤリスG・CVT清水号が実走テストスタート!

●データ解析機器を積んでFSWショートサーキットを爆走

ヤリス清水号シェイクダウンテスト
全日本ラリー選手権参戦用のヤリスCVT清水号のシェイクダウンテストを見よ!

1.6Lターボ+GR-FOUR(4WD)のGRヤリスが巷の話題をさらっていますが、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが自身の全日本ラリー選手権参戦用マシンに購入したのは「ヤリスG CVT(1.5L/FF/ガソリン)」です。

clicccarでもそのマシンメイク動画を追っかけ! 納車編丸裸編ロールケージ完成編と着々と進み、ついにシェイクダウンテストが始まった! 今回はその実走テスト模様をお届けします。

さて、どんなテストが行われているのでしょうか? ソコにはビックリな、データ解析機器を積み周回を重ねるヤリスCVT清水号の姿がありました!

●さすが開発テスト、音声の「ピーーー!」音が止まらない!?

清水和夫選手
今日は頑固一徹和、ではなく、ラリードライバー・清水和夫選手ですね!

シェイクダウンを行ったのは、富士スピードウェイ。ラリー車のテストということでグランプリコースではなく、細かいコーナーの多いショートサーキットです。

ガレージ・オクヤマの神業により仕上がったボディと、サスペンションやタイヤのマッチングが行われているようです。清水和夫選手とメカニックとの会話が聞こえます。

テスト中の清水和夫さん
テスト中の会話は所々が「ピーーー!」でナイショ!

「ケツが流れない…」「気本的にはアンダーステア特性…」「リヤがグリップしすぎ…」「サスは柔らかく動くように、でもロール剛性は上げたい…」。

細かい数字には「ピーーー!」音が! 当然ですね、ライバルもいるので企業秘密です!!

●AVLジャパンのエンジントルクを可視化できる計測機器とは?

清水さんとトヨタさんとAVLジャパンさん
今日はラリードライバーの清水和夫さん(左)、トヨタの高原英明さん(中)、AVLジャパンの田谷千尋さんに今日のテスト内容をお聞きしました。
ヤリス清水号シェイクダウンテスト
シェイクダウンテストには、AVLジャパン、トヨタのスタッフも同行。

今回のテストのメインでもある『エンジン燃焼圧解析装置』とは何でしょうか? エイヴィエル(AVL)ジャパン(株)ITS事業本部 計測機器事業部 MI・田谷千尋さんにお聞きしてみましょう。

「点火プラグに圧力センサーを付け、エンジンの筒内圧を計測することにより、エンジンがどのような燃焼をしているか、それを計算しどれくらいのトルクを発生しているかを計測します。今回、重心と重量が変わらないようにヤリスのスペアタイヤの位置に計測機器を設置しました」(田谷)。

このテストの概要を教えてください、清水さん!

AVLジャパンの計測機器
エンジントルクを可視化できるAVLの計測機器。

「オーストリアに本社があるAVLジャパンは、世界中で計測シミュレーションのデファクトグローバルスタンダード。エンジンのシミュレーションでは自動車メーカーはもちろん、F1やル・マン、GTカーまで使用しています。計算上で…ではなく、実際に走行しながらのデータ計測っていうのが大事です」(清水)。

このヤリス清水号のシェイクダウンテストには、トヨタ自動車(株)東富士研究所 パワートレーンカンパニー 第2パワートレーン先行開発部 主査・高原英明さんも同行しています。

テストデータ
実走で実際のエンジントルクをパソコンに取り込み…詳しくは動画で!

「清水さんはアクセルを踏む→エンジンが空気を入れてトルクを生む→ピストンを押し下げる→クランクが回る→CVTが動力をタイヤに伝える→初めてクルマが加速する。この一連の流れの中で、CVTがエンジンパワーやトルクを無駄なく路面に伝えられているか? そんな計測も行っています。

ヤリスはトルクを滑らかに出すためにエンジン点火時期をコントロールしていますが、そういう制御の中で清水さんのアクセルを踏む気持ちと合っているか…。計測データを見て、トルクの立ち上がりの死角もみられます」(高原)。

データ収集を行い、実践へ向けて着々とテストが続けられる全日本ラリー参戦用のヤリスCVT清水号。

テストを終えミーティング中
本日のデータでマシンメイクの課題が見えた!

「今日は『熱い』一日でした。ようやく自分のマシン、ヤリスCVTがフルラリーカーになって初めてのシェイクダウン。感動しました! 2019年まで戦っていたヴィッツCVTとヤリスとはプラットフォームが違うので、ホイールベースが伸びているし前後の重量配分など、まだまだ詰めないところがたくさんあるな、ということが分かりました。

課題が明確になれば、エンジニアと一緒になってクルマを熟成していくことが出来ます。これからマシンを煮詰めるのが腕の見せ所だね!」(清水)

そのシェイクダウンテストのすべては動画で!

清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/文:永光 やすの

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【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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