大勢のファンがサーキットで見守る中、DENSO KOBELCO SARD GR Supraが3度目の富士を制す!【SUPER GT 2020】

●「さぁ、レースをしよう」ファンをサーキットにお迎えして後半戦がスタート

2020年も残り3ヶ月となった10月4日、静岡県は富士スピードウェイにて「2020 AUTOBACS SUPER GT Round5 たかのこのホテル FUJI GT300km RACE」の決勝が行われました。

シーズン折返しとなる今大会から、いよいよサーキットに観客の皆さんを迎え入れてのレース開催ということで、この週末には多くのモータースポーツファン、スーパーGTファンの方々がサーキットに訪れ、久々となるGTマシンの音や雰囲気を楽しみました。

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オープニングセレモニーでファンの方々に感謝の意を述べる坂東GTA代表
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オープニングセレモニーに臨むスーパーGT全エントラント

また、決勝レースに先立ちオープニングセレモニーが開催され、GTアソシエイションの坂東代表とシリーズタイトルスポンサーであるオートバックスの小林社長が、来場したファンの方々の前で祝辞を述べました。

ドライバーをはじめとするエントラントや我々報道陣を含む全てのレース関係者も、人数制限はありながらもグランドスタンドやコースサイドで応援してくださるファンの方々が戻ってきてくれたことで、改めてモータースポーツファンの皆さんの大切さ、一緒になって初めてレースが盛り上がるんだという事のありがたさを実感した瞬間となりました。

●レースはオープニングラップから波乱の展開に

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定刻に決勝レースがスタート!

気温21℃、路面温度29℃というコンディションの中、定刻通り13:30にセーフティカー先導でのフォーメーションラップから66周で行われるGT500の決勝レースがスタートすると、7番手スタートの#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R 千代勝正選手と8番手スタートの#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT 武藤英紀選手が1コーナーで接触。

16号車NSXはスピンしてコースアウト、3号車GT-Rは接触の衝撃でフロントカウルが外れてしまい、そのままマシンをコース外に停めてしまいます。このタイミングでGT300も決勝レースがスタートしますが、コース上に残ったカウル撤去のためセーフティカー(SC)が導入されます。

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スタートの混乱でトップに躍り出たリアライズコーポレーション ADVAN GT-R

ですがそのSCが導入される直前、スタートの混乱で4番手から2番手にポジションアップしていた#24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R 高星明誠選手がダンロップコーナー進入で#8 ARTA NSX-GT 福住仁嶺選手をオーバーテイク! 1周目で3ポジションアップしトップに躍り出ます。このスタートでは予選2番手だった#12 カルソニック IMPUL GT-R 佐々木大樹選手が1コーナーの進入でオーバースピードから4番手までポジションを落としますが、6番手スタートの#23 MOTUL AUTECH GT-R ロニー・クインタレッリ選手が3番手までポジションアップ。

1、3、4位をGT-Rが占め、ブリヂストンタイヤ勢のウォームアップが他メーカーに比べて時間がかかる印象を受けました。

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3番手に順位を取戻したカルソニック IMPUL GT-R

5周目にSCランが解除されるとウェイトハンデ(WH)のない12号車GT-R佐々木選手が23号車GT-Rクインタレッリ選手を1コーナーでオーバーテイクしポジションを1つ取り戻します。そのまま上位3台は順位変動なくお互いを牽制し合いながら周回を重ね、11周目辺りからGT300クラスのマシンが絡み始めると、13周目の1コーナーで8号車NSX福住選手が24号車GT-R高星選手をオーバーテイクしトップの座を奪い返します!

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トップの座を奪い返したARTA NSX-GT

序盤非常に良いペースで上位を独占していたGT-R勢ですが、14周目には4番手を走っていた23号車が#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra ヘイキ・コバライネン選手に100Rでパスされ、また16周目には1周目のSC出動での黄旗追い越しで12号車がドライブスルーペナルティとなり、最後尾まで順位を落としてしまいました。

●ピット戦略で順位が変動、ここでレースが動いた

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ルーティンのピット作業をするARTA NSX-GT

後方では1コーナーからのコカコーラコーナーやダンロップコーナーなど至るところでサイド・バイ・サイドの激しいバトルが展開され、手に汗握るレース展開となったGT500クラス。

22周目にピットストップウィンドウが開くと、上位陣では2番手走行中の24号車GT-Rが26周目、その翌周には8号車NSX、39号車Supra、#100 RAYBRIG NSX-GTがルーティンピットでドライバーチェンジと給油、タイヤ交換作業を行いピットアウトして行きます。この3台は24号車GT-Rの前でコースに戻ります。

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ピットの混乱に乗じてトップに浮上したDENSO KOBELCO SARD GR Supra

するとこの混乱の中、8号車NSXと同時にタイヤ交換した39号車Supra中山雄一選手が8号車野尻智紀選手をヘアピンでオーバーテイク。この決勝で初めてSupraが実質的な首位に立ちます。

またその後ろには予選11番手からスタートした#37 KeePer TOM’S GR Supra 平川亮選手がピット作業で順位を上げ2番手に。8号車野尻選手はタイヤの温まりに時間がかかったのか、100号車NSX山本尚貴選手と24号車GT-Rヤン・マーデンボロー選手にも先行を許してしまいます。

しかし37周目、ここまで素晴らしいバトルを魅せてくれていた24号車が突如スローダウン、3位争いから脱落してしまいました。

●Supra vs NSXの激しいバトルが各所で勃発

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驚異の追い上げで2位表彰台を獲得したWAKO’S 4CR GR Supra

レースも40周を迎えると、37号車Supra平川選手と100号車NSXを再びパスしてきた8号車NSX野尻選手の2番手争いが激しさを増し、2台の争いは10周以上にもおよびます。するとここに予選12番手から驚異の追い上げで4番手まで順位を上げてきていた#14 WAKO’S 4CR GR Supra 坪井翔選手がジリジリと近づき3つ巴の2位争いに。

このバトルは53周目の1コーナーで14号車坪井選手がWHの重い37号車をオーバーテイクすることで決着、2台のバトルに乗じて8号車もそれまで抜きあぐねていた37号車を攻略しますが順位は3番手のまま。ペースの早い14号車を追いかける形となってしまいます。

その後も37号車は100号車NSXとの4位争いを展開、また後方では#36 au TOM’S GR Supra 関口雄飛選手と#17 KEIHIN NSX-GT 塚越広大の11位争いなど至るところでSupraとNSXのバトルが展開されます。

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トップチェッカーを受けるKOBELCO SARD GR Supra

レースはピット後独走となった39号車Supra中山選手が危なげない走りを魅せ、2019年の第6戦オートポリス大会以来の優勝を、今シーズン初めてとなったファンの方々が見守る中でのレースで飾り、また今シーズンチームに移籍してきた脇坂寿一監督へチーム初優勝をプレゼントする形となりました。

2位に入った14号車Supraは今シーズン富士での3戦全てで表彰台を獲得しポイントランキングでもトップに浮上。4位に入った37号車Supraが1ポイント差で追いかけます。またポイントランキングトップだった17号車NSXは10位入賞を果たし貴重な1ポイントをゲット!ランキングでもトップと3ポイント差の3位となりました。

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脇阪寿一監督移籍後初優勝となったTGR TEAM SARD
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優勝を祝福するTGR TEAM SARDのレースクイーン

スーパーGTでは最終戦の1戦前がウェイトハンデ半減、そして最終戦は全車ノーウェイトとなるため、次戦第6戦がフルウェイトハンデでの戦いとなります。その舞台はドライバーズサーキットと言われる鈴鹿サーキットで、3週間後となる10/24〜25日に開催される予定です。

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GT500クラスの表彰式

(写真:吉見幸夫、松永和浩、GTA 文:H@ty)