■450万円級〜500万円に迫る最新EV・ホンダe。気になる居住性をチェック
最新のEVシティコミューターである「Honda e」は、2020年10月30日の発売を前に、初期受注分の数百台分が売り切れたことで話題を集めています。
同モデルのホームページには、「Honda eは注文受付数が第一期の販売予定台数に達したため、ただいまご注文を一時停止させて頂いております」という注意書きが10月2日時点でも掲載されています。なお、第二期の注文分は今後の生産状況を踏まえてホームページなどに掲載される見込みです。
日本向けは、発売から1年間の計画販売台数を1000台と設定していて、正確に何台が売れたのか、あるいはどういったユーザー層(年齢や男女比など)が購入しているのかは、アナウンスされていません。
標準仕様の「Honda e」が451万円、「Honda e Advance」が495万円という価格。CEV補助金は、前者が23万6000円、後者は16万8000円で、東京都など独自の補助金(補助金の有無や金額は、自治体により異なる)がある場合もあります。
運転席に収まると、目の前に横にズラリと並ぶモニターに目を奪われます。それでも運転に必要な情報はステアリング奥のメータースクリーンですみますし、不慣れな道なら中央(運転席側)にナビを表示しておけば事足りる印象。
12.3インチスクリーンが2つ並び、さらに両サイドにサイドカメラミラーシステムとディスプレイがズラリと並ぶインパネは、すぐに慣れそうです。
運転席は、前後スライド、リクライニング、シートハイト、チルト&テレスコピックにより最適なポジションが得られますし、アクセルとペダル、ステアリング配置のオフセットもほとんど見られません。
両サイドのサイドカメラミラーシステムは、日差しが眩しい昼間でもカメラに差し込む光などが気になることはなく、明るく高い視認が得られます。しかも左右天地にワイドで斜め後方の映像を広範囲で映し出されます。
後退時には、左右共に自動的に視界を下側に切り替えるリバースビューも用意。路肩に寄せた際にも自動で下側に向いてくれるとより安心だと思われますが、制御は難しいかもしれません。
ドアミラーがなくなったことで、サイドの視界が良くなり、狭い場所での取り回しに限らず、ワイドな視界が広がります。とはいっても、ダッシュボードやカウルトップは少し高めで、フロントノーズを見切ることはできません。
一方のセンターカメラミラーシステムは、170万画素を誇るだけあって十分に高精細であるものの、ミラーに色々と映り込んだり、反射してしまったりして、状況によっては従来のルームミラーに切り替えた方が視認性が高く感じられることもありました。今回はテストできませんでしたが、夜間時や雨天時には違って見えるかもしれません。
身長171cmの筆者の場合は、フロントシートの座り心地は上々に感じられました。シートサイズが大きく、しかも身体が包まれるような心地良さがあります。首都高速などでも身体が左右に振られるようなシーンはあまりありませんでした。
一方の後席は、前席よりもさらに「上げ底」感があり、少し膝を抱えて座るような姿勢になります。もっとヒール段差があると快適なのでしょう。
EVらしい「上げ底」感があり、しかも頭上が狭いためパッケージングの面では大変だったと思われます。また、ソファ感覚のシートは、街中では厚みもあり好ましく感じることもあったものの、カーブが連続する首都高速などでは、身体の支えが利かないようなシーンもありました。
乗り心地はタウンユースでの速度域では高い静粛性も含めて、高級車といえるほど静かで快適です。高速道路で速度を上げていくと、ドアミラーの風切り音がない分、ロードノイズが相対的に高まり、とくに後席では顕著に感じられます。
Bセグメントモデルとしては、もう少し車内が広ければ……と感じることもありました。
でも、Honda eに乗る人は、ほとんどが1人か2人乗車であるはずで、たまに友人を乗せて近所に食事に出かける、駅まで送迎するといった程度であれば、身長171cmの筆者でも十分に許容できる空間、シート設計といえます。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠、小林和久)