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■ヘンリー・フォードが創立、自動車産業の礎を築いてクルマの大衆化に成功
●21世紀に高まった環境対応技術で欧州と日本メーカーに後れを取って減速
フォード・モーターの2019年の販売台数は、世界第7位でした。フォードは、「自動車の育ての親」ヘンリー・フォードが創立し、GMとともに自動車黎明期と成長期を牽引した米国の自動車メーカーです。
米国のモータリゼーションの火付け役となったフォードのこれまでの歩みについて、解説していきます。
●会社概要と業績
・会社名:フォード・モーター
・代表取締役社長兼CEO:ジム・ハケット
・創立:1903年
・資本金(2019.6現在):4100万ドル
・従業員数(2017.12現在):20万2000人
・販売台数:539万台(2019.1~2019.12)
●起源
エジソン照明会社のチーフエンジニアを務めていたヘンリー・フォードが、4輪自動車を独自に製作し、1903年に設立したのがフォード・モーター・カンパニーです。
クルマの性能をアピールするため、初期のインディ500など様々なレースに参戦して好成績を収めてフォードの名を広めました。
●メーカーとしての歩み
1908年に発売を開始したT型フォードは、当時富裕層だけを相手にした他車に対して、低価格で優れた性能を有し、クルマの大衆化を実現しました。
1913年には、ベルトコンベアによるライン生産方式を導入して、大量生産によってさらに販売価格を抑えることに成功。1916年には販売台数は47万2000台に達し、1918年には米国で保有される自動車の半分はT型フォードになりました。
1922年に高級志向に応えるため、高級自動車メーカーのリンカーンを買収。しかし、第二次世界大戦後には、それまでの大型至上主義から中型車や小型車へシフトしました。
GMとともに順調に世界の自動車産業を牽引しましたが、2000年に入ると原油価格の高騰などの影響で米国市場の主力SUVやピックアップが燃費の悪さから敬遠され、経営不振に陥りました。2016年には残念ながらフォードは日本市場から撤退しました。
●往年の代表的なモデル
1949年に戦後初の本格的な新型車カスタム、その後フェアレーン、サンダーバードと次々にヒットさせました。
・1958年、中級価格帯のエドセルを発売するも、市場で受け入れられず記録的な失敗
・1960年、コンパクトカーのファルコンを発売してヒット
・1964年発売のマスタングは、T型以来の大成功
1970年には、伝説経営者リー・アイアコッカが社長に就任して史上最高の利益を達成しました。1979年には、マツダを傘下に収めて共同で小型車の開発や生産を行いました。
●最近の代表的モデル
燃費志向へとシフトした市場に対応するため、中小型車の発売に力を入れました。
・1985年、中型車トーラスが久々の大ヒット
・1990年、米国でのSUVの売り上げ14年間連続第1位のエクスプローラー発売
・1992年、ピックアップの9代目F150を発売、好調のSUVとともに収益増に貢献
・1998年、VWゴルフに対抗するために従来のフォードの印象を一新するフォーカスを発売
・2010年、小型車フィエスタ発売、SUVのエクスプローラーに小排気量過給エンジンを搭載
2018年には、小型車の生産を縮小し、SUVやピックアップトラック、商用車を主力にすることを発表しました。
かつては、米国ビッグ3と呼ばれたGM、フォード、クライスラーですが、現在はいずれもかつての輝きが消失しました。環境対応技術に後れを取り、新車や先進技術の話題が少ないことが、最近の米国メーカーの元気のなさを象徴しています。
(Mr.ソラン)