■GRスープラ、いきなりのデビューWIN!
9月5日の15時にスタートして翌6日の15時にフィニッシュという、現在日本で行われる唯一の24時間レースが、ピレリスーパー耐久シリーズ2020開幕戦「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」。
ST-1クラスにエントリーしたROOKIE Racing GR SUPRAはスーパー耐久シリーズ初参戦となり、これがデビュー戦です。
ROOKIE Racingはもともと、小倉クラッチの代表である小倉康宏さんがトヨタ自動車の豊田章男社長のご子息である大輔さんに、将来のトヨタのマスタードライバーとしてのドライビングスキルを身に着けて欲しいということで2018年から活動をしています。
2019年には小倉代表と大輔さんがST-4クラスにTOYOTA86でフル参戦。そして2020年は、GRヤリスとこのGRスープラ、2台での2クラスエントリーすることとなりました。
GRヤリス、GRスープラともに監督はSUPER GTのGT300でグッドスマイル 初音ミク AMGをドライブする片岡龍也さん。片岡監督はスーパーフォーミュラでも監督経験があり、またスーパー耐久での監督は3年目となります。
スーパー耐久の場合、デビューマシンがいきなり好成績を上げることは難しいとされていますが、GRスープラは予選からSUPER GTのGT300クラスにも出場できるFIA GT3マシンを使ったST-Xクラスに次ぐ速さを見せ、予選グループ1でのトップタイムで総合6番手のポジションからスタートしました。
これはレース専用設計されたFIA GT4マシンやTCRマシンよりも前のポジションとなり、市販車を改造したST-1クラスマシンとしては異例の速さとなります。(ST-1クラスのワンメイクレース車両を除く)
序盤は快調に進んだレースも18時頃から大雨となりセイフティーカー導入から赤旗中断となります。その中断時間は4時間30分にものぼり、22時30分にレース再開となります。
夜間走行の間は天候が荒れまくり、翌日の午前6時までにセイフティーカー導入10回という荒れたレース展開でせっかく築いたマージンやピットインのタイミングなどで1位と2位が逆転する場面が何度も起こります。
そんな中、1周のリードを築きながら15時のチェッカーを目指します。1周差と言っても24時間レースではピットイン1回で逆転されてしまうほどの僅差です。
そして15時のチェッカーフラッグ。ST-1クラスとして一番最初にチェッカーフラッグをくぐり、デビューWINを果たしました。
市販車発売からほぼ1年経過とはいえデビューマシンの優勝というレアケースを達成してROOKIE Racing GR SPURA。GRヤリスのデビューWINと共に富士24時間レースの歴史に大きく名前を刻んだことでしょう。
■2020年のモータースポーツはGRスープラ旋風か?
2020年の主要モータースポーツではGRスープラの大活躍が止まりません。
無観客で開催されたSUPER GT2020の開幕戦「2020 AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」のGT500クラスではKeePer TOM’S GR Supraが優勝し、なおかつベスト5は全てGRスープラ!
同じSUPER GT2020の開幕戦のGT300クラスでも埼玉トヨペットGB GR Supra GTがデビューWINを飾っています。
また、ドリフト競技の最高峰であるD1グランプリの開幕戦「OKUIBUKI」でも川畑真人選手のTeam TOYOTIRES DRIFT GR Supraが優勝を果たすなど、GRスープラの参戦する主要シリーズの開幕戦は全てGRスープラが優勝を果たしています。
スーパー耐久でもGRスープラ旋風ともいえるその流れに乗ったROOKIE Racing GR SUPRA。コロナ禍の中でもなんとか開催にこぎつけた今年のモータースポーツですが、GRスープラ旋風で新型コロナ感染症の悪い流れをを吹き飛ばしてもらいたいものです。
(写真・文:松永和浩)