■グランエースの独自性
「本当はここに座ってみたかったんだ。飛行機のビジネスクラスってこういう感じなのかな」
どうやら彼女は、後席へ移るのを躊躇していた様子。気持ちはわかるよ。もしも彼女が2列目に移ったら、彼女は「乗客」、そして運転席のボクは「運転手」となりドライブデートの雰囲気ではなくなってしまうからね。優しい彼女は、そうならないように気を遣ってくれたのだろう。
でも今日はいいんじゃないかな。せっかくの豪華な2列目なんだから、堪能してみてよ。
「なんか天国みたいだねー」
助手席から2列目に移った彼女はかなりうれしそう。さすがに天国というのはちょっと言い過ぎのような気もするけれど、言いたいことはよくわかる。まるで快適を絵にかいたようなシートなのだから。
サイズが大きくて、見るからに立派。そのうえリクライニングやオットマンの角度調整は電動でもはや飛行機のビジネスクラスだ。フラットに近づけてみると、完全に平らなフラットではないけれど、お尻が絶妙に沈んで身体が前後にズレないように配慮されているのがいい。眠くなったら、ここで快眠できそう。
「プレミアム」ではそんな豪華なシートを2列目だけでなく3列目にまで装備。2列目だけでなく3列目でもこの豪華さを味わえるのは、アルファードやヴェルファイアには真似ができない。そこがグランエースの最大の特徴なのだろうと思う。
■住めちゃうかも!?
そのうえシート周辺には自分だけの読書灯やAC電源、そして化粧直しのミラー(もちろん照明付)なんかもそれぞれの席にあるのだから驚いちゃうよね。
「私、ここに住めちゃうかもしれない」と彼女。それはさすがに盛りすぎだと思うけど、気持ちはわからなくもない。
少なくとも、飛行機のビジネスクラスと同じくらいの時間は乗り続けても苦にはならなさそうだ。ロサンゼルスまで行くとして10時間くらいなら。
このクルマは、ボクも運転席ではなく後席がいいな……。(おしまい)
(文:工藤貴宏/今回の“彼女”:彩川ひなの/ヘア&メイク:宮本博子/写真:ダン・アオキ)