アクティブに使い倒したい!! タフトの走行性能はいかに!?【新型車インプレッション・走行性能編】

●タフトは外見と違ってソフトな乗り心地

試乗したのは、タフト Gグレードの2WD、NAエンジン仕様。

タイヤサイズは165/65R15 81S、銘柄はYOKOHAMAブルーアースFE AE30で、オンロードでの耐久性を考慮した低燃費仕様のスタンダードタイヤだ。

試乗コースは高速道路を約150km、一般道とワインディングを約50km。天候は時折雨が降り、天井を激しく雨が叩くこともあったが、ウェットとドライのちょうど中間の路面状況であった。

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■一般ハンドリング性能
■高速直進性
■乗り心地性能
■ロードノイズ
■動力性能
■気になる価格は!?

■一般ハンドリング性能 6.5点 (10点満点)

スタート直後の低速時、据え切り操舵力は適度に軽く、駐車場での取り回しも非常に楽。スピードに乗ると、操舵力は軽めのままスルスルと加速をする。

交差点やコーナーでのロールの量や、ブレーキング時のピッチング、といった視線変化は少なめで、安心感のある足回りだ。背の高い軽ハイトワゴンで起きがちな、グラっとする動きは感じられず、ボディモーションも抑制が効いている。

タフトの走り
交差点やコーナーでのロールの量や、ブレーキング時のピッチング、といった視線変化は少なめで、安心感のある足回りだ

しかし、ステアリングのセンターの遊びが大きく、狙った走行ラインを通しにくい。

おそらくだが、タフトのタイヤ直径は約596ミリ、ライバルのハスラーの165/60R15(タイヤ直径579ミリ)よりもタイヤ外径が大きいことで、タフトのタイヤ縦バネが低いことが影響している可能性がある。

悪路などの路面ショック吸収の役目も担うため、ハイトのあるタイヤを選択したのかもしれないが、シーンによってはフラフラとしやすく、もう少しシュアなハンドリングが欲しく感じた。

■高速直進性 7.0点 (10点満点)

前述したように、ステアリングの遊びが大きいため、高速道路の大きめのRのコーナーや、まっすぐに走り続けるようなシーンだと、走行ラインの修正がしにくく感じる。足回りは、ロールやピッチングも少なく、しっかりとしたセッティングで安定感は高いのだが、レーンの中央を維持するために、どうしても修正操舵量が増えてしまう。

慣れてしまえばいいのだが、それでも、タイヤ幅半分のコントロールを要求されるようなシーンだと、やや心許なく感じた。

タフトの走り
背の高い軽ハイトワゴンで起きがちな、グラっとする動きは感じられず、ボディモーションも抑制が効いている

■乗り心地性能 8.0点(10点満点)

乗り心地は、上下方向のフワ付きが少しあるが、それがむしろ柔らかな印象を与えており、おおらかで心地がいい。タイヤと地面との当たりが柔らかく、突起ショックのレベルも小さい。また、車体がワナワナとするような微振動も少なく、上質な乗り心地だ。

タフトのタイヤ
タイヤサイズは165/65R15 81S、銘柄はYOKOHAMAブルーアースFE AE30で、オンロードでの耐久性を考慮した低燃費仕様のスタンダードタイヤだ

DNGA技術によって、車体やサスペンション取付部の強化、シャシーアイテムの刷新など、ひとつひとつの基本性能の向上が積み重ねられていることが効いているのだろう。

■ロードノイズ   8.0点(10点満点)

一般道でのストップアンドゴー走行、高速道路でのハイペースでの巡航、どちらのシーンでもロードノイズはよく抑えられている。突起乗り越し時のインパクトノイズも少なく、ショックも小さいので良い印象を受ける。

一般道では「サー」といった、ごく小さな音量、高速走行中も「コー」という音は聞こえるが、その音量自体は比較的静かだ。これも、乗り心地と同じく、DNGAの恩恵によるものだろう。

■動力性能  7.5点(10点満点)

新型タフトの動力性能は、NAエンジンであっても十分なパワーを持っている。エンジンフィールも滑らかな印象。普段は静かなエンジン音だが、加速時にはよく聞こえるように変化する。走行中に音がこもるようなこともなく、すっきりとした印象だ。

気になる実燃費は18.5km/Lであった。WLTCモード燃費はNAが20.5km/L(ターボは20.2km/L)であり、おおむね良いレベルだ。

タフトの走り
新型タフトの動力性能は、NAエンジンであっても十分なパワーを持っている

■気になる価格は!?

新型タフトの価格設定は、2WD Xが約135万円、Gが約148万円、Gターボが約161万円。これが4WDになると、それぞれ12~13万円ほど上がる。9インチスマホ連携ディスプレイオーディオは8万2500円、ディーラーオプションの9インチ純正ナビゲーションは約22万円~。ACCやLKCのセットオプション「スマートクルーズパック」は、Gターボに標準装備、Gには4万4000円のメーカーオプションで、Xには未設定となる。

タフト
よりパワフルな加速が欲しい場合にはターボ仕様となるが、NAであっても十分に満足できるはずだ。ただし、ウィンターレジャーにも使い倒したくなるため、そうなると4WDは欲しくなる

よりパワフルな加速が欲しい場合にはターボ仕様となるが、筆者はNAであっても十分に満足できるように思う。ただし、ウィンターレジャーにも使い倒したくなるため、そうなると4WDの性能は欲しくなる。

デザインやインテリアの雰囲気、そして荷室の使い勝手など、アクティブに使い倒したい方にとって、いい選択肢のひとつとなるタフト。ハスラーの独壇場であった「軽クロスオーバーSUV」ジャンルに殴り込みをかけたタフトは、今後、ハスラーとどういった激戦を見せてくれるのか、楽しみだ。

(文:自動車ジャーナリスト 吉川賢一/写真:エムスリープロダクション 鈴木祐子)

<主要諸元>
タフトG(2WD)
■全長×全幅×全高:3395×1475×1630mm
■ホイールベース:2460mm
■車両重量:830kg
■乗車定員:4名
■駆動方式:前輪駆動
■エンジン:KF型 水冷直列3気筒横置ガソリンエンジン
■排気量:0.658リットル
■最高出力:38kW(52ps)/6900rpm
■最大トルク:60Nm(6.1kgf・m)/3600rpm
■トランスミッション:CVT
■サスペンション前後:前/マクファーソンストラット
後/トーションビーム
■タイヤ前後:前/ 165/65R15
後/ 165/65R15
■WLTCモード燃費:20.5km/L
■最小回転半径:4.8m
■燃料・タンク容量:無鉛レギュラーガソリン 30L

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
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