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■最初から抜きに出たロータスとスバル
SUPER GT第2戦『たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE』の決勝レースが8月9日に富士スピードウェイで無観客で行われました。
第2戦富士の決勝はスタート時の気温が29度と、予想されていた猛暑ではないものの、曇り空でのこの気温のため蒸し暑さが感じられる状態。
12時20分頃にスターティンググリッドに整列した参戦マシンによりグリッドウォークのようなものが行われ、そして13時にフォーメーションラップがスタート。無観客開催の場合ではパレードラップは行われずにフォーメーションラップを1周した後に決勝レースのスタートが切られます。
スタート周のTGRコーナーでの攻防では、ポールポジションの6号車 ADVICS muta 86MCをはじめ、順位の入れ替わりはなかったものの、コカ・コーラコーナーで2号車 シンティアム・アップル・ロータス、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが55号車 ARTA NSX GT3を抜き去るとトップ集団はJAF-GT300車両が先行する形となります。
ADVICS muta 86MCはしばらくリードを広げていきますが、2番手に浮上した SUBARU BRZ R&D SPORTが6周目にすぐ背後まで迫り、さらにシンティアム・アップル・ロータスも加えて3台によるトップ争いに変化していきます。
SUBARU BRZ R&D SPORTがADVICS muta 86MCに対し、9周目のダンロップコーナーでアウトから仕掛けるとトップに浮上!またシンティアム・アップル・ロータスもADVICS muta 86MCをかわして2番手に上がります。
一方、その後方ではARTA NSX GT3と65号車 LEON PYRAMID AMGが激しいバトルを展開。これに勝ったLEON PYRAMID AMGが4番手浮上となります。
■ピットが分けた明暗
この第2戦富士からGT300クラスは大きなルール変更が行われていました。それはピットイン時にタイヤを4本交換しなくてはいけないとというルールです。
そのためタイヤ無交換作戦は出来ず、ピット作業で工程数を減らすような大幅な時間短縮は難しくなってしまいました。
そんな中、トップのSUBARU BRZ R&D SPORTはGT300の25周を終えてピットインし、36秒という素早い作業で交代した井口選手を送り出します。一方、29周までピットインを伸ばしたシンティアム・アップル・ロータスはなんと31秒というピットワークで、交代した柳田選手をSUBARU BRZ R&D SPORTの前でコースに送り出すことに成功!
シンティアム・アップル・ロータスのクルーは極限まで作業を早めたと言ってもよい完璧なピットワークだったと言えます。
■Cars Tokai Dream28は2010年SUGO以来の優勝!
ドライバー交代をしたシンティアム・アップル・ロータスの柳田真孝選手はGT300でもGT500でもチャンピオン経験がある猛者。一度つかみ取ったトップはたとえSUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人選手をもってしても揺らぐことはなく、残りの周回数を逃げ切ってチェッカーフラッグを一番最初にくぐることとなりました。
チームとして、SUPER GTのシリーズ戦としては2010年SUGOでの紫電から10年ぶりの優勝となりました。2013年特別戦のエヴァRT初号機アップルMP4-12Cでの優勝からも7年ぶりで、ロータスエヴォーラMCとなってからは初優勝となります。
実力は高いと言われながらデビューから5年かかってのロータスの優勝はチームとしても喜びは大きいようです。
2位はSUBARU BRZ R&D SPORT、3位はARTA NSX GT3となり、タイヤメーカーも優勝がヨコハマ、2位がダンロップ、3位がブリヂストンときれいに3メーカーに分かれた結果となりました。
また開幕戦優勝の埼玉トヨペットGB GR Supra GTはウェイトハンデ60kgながら6位入賞を果たしており、シリーズランキングでは単独首位となっています。
次戦は場所を鈴鹿サーキットに移しての第3戦で決勝レースは8月23日に行われます。またもや無観客開催となりますが、J Sportなどで中継が行われ、それを活用したパブリックビューイングも開催されることでしょう。
次戦ではどのチームが上位に進出するのでしょうか。ポイント3倍のウェイトハンデやタイヤ4本交換義務などの要素は今後のシリーズにどう影響するのでしょうか。ますます目が離せません。
(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)