■ホンダ車向けEVにも使われる、新型「アルティウム」バッテリーを搭載
GMは「キャデラック」ブランド初となるEVの「リリック」をワールドプレミアしました。
GMといえば、次世代バッテリーである「Ultium(アルティウム)」を発表済み。さらにGMとホンダは、GMが開発したグローバルEVプラットフォームと「アルティウム」バッテリーをベースとして使う、ホンダ向けの新型EVの2モデルを共同開発することに合意済みです。
そんな中、キャデラックは、電動化戦略のスタートを切るバッテリーEVの「リリック」を発表。同モデルは、ラグジュアリークロスオーバー。キャデラックの電動化、コネクティビティ、自動運転の面で先行するEVになります。
リリックは、次世代EV用モジュール式プラットフォームをベースに、先述した「アルティウム」駆動システムを搭載し、さまざまな航続距離と性能の選択肢を用意するそう。リリックは社内テストにおいて、フル充電で300マイル以上(約482km)の距離に達するように設計されています。
■ハンズフリー運転支援システムも搭載
さらに、約100kWhの「アルティウム」バッテリーの搭載によりハイパフォーマンスを実現するのと同時に、アルティウムに採用された最先端のNCMA(ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム)化合物は、正極にアルミニウムを使い、コバルトなどのレアアース素材の使用を低減。これにより、現在のGMバッテリーと比較してコバルト含有量を70%以上削減したそう。
同EVの特徴は、家庭や勤務先、外出先など多様な用途に適合する充電方法(出力150kW以上の直流急速充電、最大出力19kWのレベル2のAC充電を含む)を用意している点。
駆動方式は、後輪駆動(RWD)とパフォーマンスAWDが設定されています。さらに、ハンズフリー運転支援システム「スーパークルーズ」の最新バージョンは、20万マイル(32万1868km)以上の高速道路で利用できるそうで、最近では自動車線変更機能に対応できるようにアップデートされています。
そのほか、デュアルプレーン拡張現実(AR)対応ヘッドアップディスプレイやリモートセルフパーキングなどの新技術を搭載。ドライバーの視野全体に広がる対角33インチのアドバンスドLEDスクリーンも用意されます。
この最新型LEDスクリーンは、ドライバーの視野全体に広がる大きな1つの画面にドライバーインフォメーションの詳細、インフォテイメント・コントロール、カメラビューが統合されています。新型ディスプレイは、10億色以上の表示が可能で、これまでのキャデラックと比べても圧倒的に進化したドライビング体験が得られるそう。
また、ドライバーが車両に近づくと自動で認識し、照明を使ったアニメーションで出迎えます。同時に、車内のシート、ミラー、エアコンディショナーの調整などドライブの準備が完了。車内では、キャデラックの最高レベルのドライバーインフォメーション、インフォテイメント、コネクティビティが統合されています。
エクステリアは、張りのあるラインとクリーンなサーフェスが特徴で、キャデラックらしく堂々たる雰囲気とモダンな印象を抱かせます。低くなだらかに傾斜するルーフラインとワイドスタンスにより俊敏性を強調。流れるようなルーフスポイラーなどは、高速道路での走行効率を高めるため、空力性能を考慮したデザインが施されています。
フロントで目を惹くのは「ブラッククリスタル」と呼ぶフロントグリルで、表情豊かなデザイン要素のひとつ。このフロントグリルは、オーナーが車両に近づくと、縦長のLEDシグネチャーライティングの照明の演出で迎える役割も担っています。また、スリムなLEDが組み込まれたスプリットテールランプデザインを採用するリヤビューも目を惹きます。
インテリアは、新しいEVアーキテクチャーによる広さやデザインが特徴。ドライバーや乗員のドライビングエクスペリエンスをより豊かにするキャビンは、収納面でも優れた機能性が確保されているそう。
また、バックライト付きスピーカーグリルや、隠し収納部付きスクリーン、エクステリアと同じく照明の演出など、繊細ながらこだわりのあるディテールも特徴となっています。なお、リリックの日本導入時期は未定です。
(塚田勝弘)