ダイハツおそるべし!タフトは実用性と商品性を兼ね備える、お買い得モデルだ 【DAIHATSU TAFT試乗】

 ■実用性に商品性をプラスした素晴らしい出来の良さ

2020年の東京オートサロンに「タフト・コンセプト」の名前で出展された、ダイハツの新型軽自動車「タフト」の試乗会が開催され、試乗することが叶いました。

タフトターボ前7/3
力強い角張ったスタイルを採用するタフト

古いクルマに詳しい方がダイハツ・タフトのネーミングから想像するのは、小型のクロスカントリー4WDになることでしょう。ダイハツでは1974年にタフトという名前のクルマを発売しているのです。

少し余談になりますが、ダイハツはロッキーもネーミングを復活して使っています。車名として使える単語(もしくは複合語)は、商標登録してある必要がありますが、辞書に載っているようなものはすべて商標登録されているとも言われます。

そうしたせいか、近頃は今は使われていない昔の車名が復活することが多いのです。

タフトターボ正面
真正面から見ると、横基調のラインが強調されている
タフトターボ真横
リヤサイドはかなり濃い色のガラスが採用される

さて、新型のタフトです。新型タフトはDNGAと呼ばれる新型プラットフォームを使って作られました。DNGAはタントから採用が始まり、小型車であるロッキー、そして今回のタフトでの採用となりました。

DNGAを使うことで分供用率を80%近くを実現し、コストダウンを図ったとのことです。タフトの価格帯はもっともベーシックな自然吸気エンジンFFの135万3000円からもっとも高価なターボ4WDの173万2500円まで。直接のライバルとして想定されているスズキ・ハスラーよりちょっとだけ安い設定なのが非常にわかりやすくなっています。

さらにタフトでは、スカイフィールトップと呼ばれるガラスルーフが全車で標準装備、電動パーキングブレーキ&ブレーキホールドも標準で、装備の充実さも高くなっています。この価格設定でこの装備はかなりの買い得感と言えるでしょう。

タフトNAインパネ
インパネのデザインもエクステリア同様に角張ったもの

SUV感が強いタフトのスタイリングを決定づけているのが190mmという高い最低地上高です。

ホイールハウスとホイールのすき間がしっかりとあり、ホイールストロークが長い印象となっています。アプローチアングルは27度、ディパーチャーアングルは58度とタフトのネーミングに恥じないものとなっています。

地上高が高いクルマはハンドリングに不安を覚えることがありますが、タフトに関してはそうした心配は無用でした。試乗したのは自然吸気とターボの2種でいずれもFFモデル。足まわりのセッティングは同じだということです。

乗り出したときに軽自動車っぽい感じはありません。これはもう明らかにDNGAの効果といっていいでしょう。クルマ全体にしっかり感があって、ビシッとまとまっている印象です。

タフトNAフロントシート
フロントシートのサイズはタップリとあり、サイドサポート性もいい
タフトNAリヤシート
平板なリヤシートだが、乗り心地は悪くない。スライド機構は持たない

回転半径が小さいコーナーを回るとグッとロールしますが不安感がありません。これがおもしろいところ、普通ロールが大きいと不安感を伴うものなのですが、ロールスピードとグリップが上手にバランスすることで、不安感がない印象を得ているのでしょう。

高速道路のジャンクションなどにある高速コーナーでの安定感も高いもので、しっかりした粘り感をもってコーナーを抜けていきます。

軽自動車だけにホイールベースが短く、大きなギャップは少し苦手ですが、整備された道路の本舗装でのギャップなら気にせずに走れる乗り心地のよさも備えています。

タフトターボタイヤ
タイヤサイズは165/65R15。ホイールハウスとのクリアランスがしっかりとある

自然吸気は52馬力/60Nm、ターボは64馬力/100Nmのエンジンスペックをもちます。2車を乗り比べるとターボの優位性は明らかで、余裕を持った走りが気持ちよく感じます。

また、高速での巡航となるとターボはさらに快適です。自然吸気はベルトドライブの従来型CVTを使っていますが、ターボモデルはD-CVTと呼ばれる(新型タントから採用している)新しいCVTが採用されます。

D-CVTはベルト式CVTに遊星歯車のギヤを組み合わせた変速機で、変速領域が広く高速でもエンジン回転を押さえて走れるため快適さが増します。

タフトNAエンジン
自然吸気エンジンでも普段使いなら十分な性能

ターボモデルには標準、自然吸気GにはオプションでACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKC(レーンキープコントロール)が装備されます。

最近では軽自動車でも当たり前のように装備されるようになったこの装備ですが、タフトはマッチングがまだまだちょっと甘い感じで、ブレーキの効き始めがきつく、レーンキープの制御も入力が大きくなりがちなことが多いように感じました。

つまり、グッと減速し、ギュッとステアリングが効く印象です。ここはもう少し、スムーズな動きになってくれるとうれしいです。

タフトターボリヤ7/3
フェンダーやスキッドプレート(風ガーニッシュ)にブラックの樹脂パーツを採用し、クロカン感をアップ

タフト最大のセールスポイントと言ってもいいのが、スカイフィールトップと呼ばれるガラスルーフです。

開放感あふれるスカイフィールトップですが、開放感以上に大切な役目を持っていました。それは視界の確保です。フロントウインドウが立ちぎみでルーフが前よりに出ているタフトは、交差点で停止線に会わせて先頭で停車すると信号が確認できないことがあります。

そうしたときに役立つのがスカイフィールトップで、ガラス部分から信号が確認しやすいのです。カタログにもスカイフィールトップ越しの信号の写真があったので、視界が確保できないからスカイフィールトップを装着することになったのか? 確認したところ、そうではなくあくまでも開放感のための装備だということでした。

今回の試乗会は東京の台場地区で行われたのですが、ダイハツの開発者によれば「東京は信号が近い。池田(ダイハツの本拠地がある大阪府池田市)だと、フロントウインドウ越しに信号が見えますよ」とのことでした。

タフトスカイフィールトップ
こちらがカタログでも使われているスカイフィールトップの画像
タフトNA前7/3スタイリング
エクステリアでターボとNAの差はほとんどない

(文・写真/諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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