目次
■世界最高速大会 ボンネビル スピードウィーク大特集
●200マイルオーバーのコクピットから見えたものとは?
初めて(多分)のボンネビル世界最高速大会取材をした1986年のOPTION編集部。前回は本番を迎えたレーシングビートRX-7の新記録樹立ドキュメント記事を紹介しました。
今回は、そのRX-7のステアリングを握ったドライバー、ドン・シャーマン氏にDai稲田がインタビューした記事をお送りします。では早速!
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■Don Sherman(ドン・シャーマン)特別インタビュー
●オーバー200マイルのコクピットより
OPT:まずは記録達成おめでとうございます。
ドン:ありがとう。でも天候が悪くなってしまって、イベントが中断してしまったのが残念だね。
OPT:それはモディファイスポーツ・クラスで走れなかった、ということですね。
ドン:そう、レコードを出したC/GTクラスはほとんど空力パーツの装着が認められていないからね。マツダスピード製のスポイラーでチャレンジしてみればけっこういけたんじゃないだろうか。エンジンだって4基あるうち、3基はまだ使っていなかったし…。ブーストも0.8から1.2kg/cm2まで上げるはずだったんだ。そうすれば400km/hの壁も突破出来て、日本の皆さんに喜んでもらえたんじゃないかな。
OPT:日本の感覚だと300km/hオーバーでも凄いんだけど、いったいボンネビルってところはどんなコースなんですか?
ドン:ご覧の通り、ここは塩水の湖が夏の間は干上がってしまうところさ。水面は水平だから乾いたところも基本的にフラットというわけ。けど、路面は砂みたいにダートじゃないのがここ、ボンネビルの特徴だ。塩の路面はクルマが1回走るだけでけっこう締まるんだ。アスファルトみたいに固いわけじゃないけど、タイヤもグリップする。
OPT:といっても、超高速でのタイヤは心配じゃない?
ドン:どこまで行ってもフラットだし、コースアウトしても安心だ。塩で多少スリップするのがいいのか、特に問題はないよ。
OPT:走ることとしての難しさは?
ドン:ひたすら真っ直ぐだからただ走るだけだ。ただ、計測する区間が往復で変わる(往路のベスト区間で復路は計測され、それが記録になる)から、その辺の走り方が大変だね。
OPT:このセブンの仕上がりはどうです?
ドン:人気のクルマだけに注目度は抜群。マシンの仕上がりもさすがというべき。パワーもバッチリだしね。ただひとつ、乗っていて問題になったのは、レーシングビートがあまりに軽くマシンを作ってしまったことだ。もちろんレギュレーションの範囲に収まっているんだが、ちょっとした路面の荒れでリヤがバウンドしてしまうんだ。するとそこでタイヤが空転してしまいオーバーレブしてしまう。結局それでエンジンを1基壊してしまった。
OPT:それで解決法はあったんですか?
ドン:ホントはいけないんだろうけど、リヤにデフケース、クラッチハウジングを積んで、そうこれだけで大体100kgくらいかな、バラストにしたんだ。
●240マイルの世界は、不気味なほどの静寂
OPT:ところで200マイルを超えた走りってどんなもんなんですか?
ドン:ボンネビルだと下は真っ白で、周りの風景の山も遥か彼方だ。そのためにどんなにスピードが上がっても、まるで雲の上を飛んでいるようなんだ。スピードに関しては恐怖感というものはない。ただ、エンジンを壊したときにスピンしたけど、4速に入っているときでスピードは180マイルだから270km/hか! コイツはちょっとチビりそうだったゼ。
OPT:ところで職業は何してるの?
ドン:日本にもあるらしいけど、アメリカで1番売れているカー&ドライバーという雑誌の編集長をやっているんだ。
OPT:ボンネビルではどれくらい走っているのかな?
ドン:よく聞いてくれたね。1974年はRX-3で160マイル、1978年は前のRX-7(SA)で183マイルのレコードを出しているんだ。いずれもマシンはレーシングビートのもの。ドラッグレースのセミプロライセンスもあるし、今年1986年はSCCAの耐久レースにも出ているゾ。
OPT:それじゃいつ仕事してるのかなって心配だね。
ドン:趣味は実益を兼ねるってワケさ。これで200マイルクラブにも入れたし、みんなにお礼を言わなくちゃいけないな。またレーシングビートがチャレンジするときも頑張るからね。応援しに来てくれよな。
OPT:どうもありがとう!
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ドン・シャーマンさんは米カー&ドライバー誌編集長ってことは、まぁ要はアメリカのDaiちゃん、なのでしょう!
それにしても、240マイルの世界は不気味なほどの静寂…とも語ったドンさん。そんな言葉を聞いちゃったからDaiちゃん、自分でも走りたくなっちゃったのかも!
次回は、Daiちゃんに同行してボンネビル視察?をしたRE雨宮・雨さんのブッ飛びレポートをお届け予定です! お楽しみに~。
[OPTION 1986年11月号より]
(Play Back The OPTION by 永光 やすの)
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