■GA-Kプラットフォームの底力を感じる懐の深さ
RAV4 PHV &ハリアーの試乗会が開催された神奈川県横浜市のホテルに、見慣れない1台のクルマが置いてありました。よくよく見てみると、ステアリングが左側にあります。
そのクルマこそ、RAV4やハリアーと同じGA-Kプラットフォームを用いるSUVの最上位に位置するのがハイランダーです。
ハイランダーはかつて日本では「クルーガー」のネーミングで販売されていたモデルです。クルーガーは2000年に初代が登場し、2007年まで製造されました。当時からアメリカでの販売名は「ハイランダー」でした。
日本での販売は初代で終了しましたが、海外向けモデルは生産が続けられ、2019年に4代目が登場しました。アメリカ仕様のハイランダーは3.5リットルのピュアガソリンエンジンと、2.4リットルガソリンエンジン+モーターのハイブリッドの2つのパワーユニットが用意されます。今回試乗できたのは、3.5リットルエンジンを搭載するモデルでした。
全長4950mm、全幅1930mm、全高1730mmのボディはなかなか堂々したものです。試乗会場のベースが横浜のみなとみらいで、比較的道幅が広かったのでサイズはあまり気にならなかったのですが、これが箱根の強羅あたりだとちょっと持て余すサイズです。
ホイールベースはRAV4よりも160mm長い2850mmとなっています。RAV4やハリアーが引き締まった運転フィールなのに対して、ハイランダーはゆったりとした動きが基本になっているところが「北米モデルだなあ」と感じる部分です。
カタログスペックで357Nm(換算値)のエンジンのトルク感は十分にあり、約2トンのボディを難なく加速してくれます。おそらくハイブリッドだともっと力強いのでしょうけど、十分な加速感で弱々しさもありません。
コーナーに入るとサスペションがゆったりと動き、ボディもスーッとロールしながらコーナリングしていきます。このあたりの動きのゆったりさが、とても気持ちのいいフィーリングです。
アメリカだとショッピングモールの駐車場のなかを歩いていると、ほとんどのクルマが止まって歩行者を優先してくれるのですが、こういう味付けのクルマに乗っていると、そういう気持ちになるのだろうなあと感じます。
セカンドシートの居住性は十分で、余裕のあるスペースを確保していますが、サードシートは床面が高いために立て膝気味になってしまい、ミニバンのサードシートのような快適性はなくエマージェンシーシート的な存在です。
サードシートは6対4分割のシングルフォールディングが可能で、ラゲッジルームのスペースを拡大することができます。
ボディサイズ的には日本での使い勝手には抵抗がありますが、このサイズの輸入SUVは普通に販売されていますし、グランエースよりは小さいのですから、まったく使えないというわけではありません。
(文/諸星陽一・写真/井上 誠)