今度はあのトヨタ 2000GT。A70/A80スープラに続いて補給部品を復刻へ

■対象はオーナー限定。車両当たり数量制限付きでの販売に

2019年5月に行われた、GRスープラの発表会で発表されたA70スープラ・A80スープラの部品復刻・再販売に続き、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、「GRヘリテージパーツプロジェクト」として、日本を代表する名車の1台であるトヨタ 2000GTの補給部品を復刻し、国内・海外向けに再販売するとアナウンスしました。

トヨタ 2000GT
A70、A80スープラに続き補給部品を復刻対象となった2000GT

マツダ(NAロードスターの復刻パーツ)やホンダ(NSXリフレッシュプラン)などのほか、ジャガーランドローバー、ボルボなど自動車メーカーや関連部門などによるレストア事業も少しずつ増えてきています。

トヨタ A70
トヨタA70スープラ。GRスープラの発表会に、A80も含めて多くのオーナーが参加していた

TGRによる「GRヘリテージパーツプロジェクト」は、思い出の詰まった愛車に乗り続けたいという顧客の想いに応えるべく、すでに廃版となってしまった補給部品を復刻。純正部品として再販売する取り組み。

先述したように、2019年5月のGRスープラ発表会にてA70スープラ、A80スープラの部品復刻・再販売がアナウンスされていて、トヨタ 2000GTはそれに続く車種になります。なお、GRスープラの発表会では、参加していたA70、A80のオーナーから歓声が上がったほど、パーツの入手はオーナーにとって切実な問題です。

●詳細はこれからだが、ギヤなどが対象に?

今回対象となるトヨタ 2000GTは、ヤマハ発動機の協力のもとトヨタが1967年に発売したスポーツカーで、1970年の生産終了までの生産台数はわずか337台。芸能人の愛車や映画『007は二度死ぬ』のボンドカーとして登場したことで知られています。

2000GTは、ヤマハがチューニングを行った直列6気筒DOHC 2.0Lエンジンや4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、4輪ディスクブレーキ、ラジアルタイヤ、マグネシウムホイール、リトラクタブルヘッドランプなどの日本初の技術が盛り込まれています。

最高速度220km/hは、当時の欧州のスポーツカーに並ぶ性能を誇り、発売前にはスピードトライアルに挑戦し、台風が近づく悪条件にも関わらず3つの世界記録(10,000マイル、15,000km、72時間)と13の国際記録も樹立し、さらには様々なレースでも優勝を含め、上位の成績を収めています。

トヨタ 2000GT
ギヤ(奥)、手前(シンクロハブ・スリーブ)など、トランスミッションのパーツ写真が公開されている

今回発売の品目は、部品復刻に特別に協力が得られた仕入先をはじめ、社内の工場、関係部署で製造に向けた準備が進められているそう。気になる詳細は、2020年8月1日より準備が整った部品から詳細情報が順次TGRのWebサイトで公開され、オーダー受付が開始されるそう。

なお、復刻部品は、通常の純正部品と同様にトヨタの販売店で購入可能だそう。ただし、トヨタ 2000GTは車両の希少性、部品の転売を防止する観点から、車両のオーナーのみが対象で、かつ車両当たり数量制限付きでの販売になるそうです。

トヨタ 2000GT
ファイナルギヤキット

こうした、復刻パーツなどによる自動車メーカーのプロジェクトは、マネタイズしにくいなど難しい事情もあります。しかし、旧車、クラシックカーに冷たい(重課税など)といわれがちな日本でクルマを文化として守ることにつながりますし、重課税政策も覆すような動きがより高まることが期待されます。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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