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■トヨタが初めてスズキへOEM供給
スズキの欧州法人は、プラグインハイブリッド車の新型SUV「アクロス(ACROSS)」を7月1日に世界初公開しました。これはトヨタの「RAV4 PHV」がベースとなる、いわゆるOEM車で、トヨタがスズキへ車両の供給をするのはこれが初めてです。
欧州では2020年秋頃に導入されるこの新型は、RAV4 PHVとどこが違うのか、筆者をはじめクルマ好きにはちょっと気になることと思いますので、さっそくチェックしてみました。
●より大型のグリルを採用
トヨタとスズキは、2017年に業務提携に向けた覚書を締結、2019年には資本提携も結んでいます。
そんな流れの中、以前からトヨタでは、スズキからハッチバックモデル「バレーノ」をインド市場向けに供給を受けて「グランツァ」として販売していますが、今回はその逆。トヨタがスズキへOEM供給するのが、今回発表されたアクロスなのです。
アクロスとRAV4 PHVの最も大きな違いは、フェイスデザインです。
グリル中央にスズキのエンブレムが入っているのはもちろんですが、グリル開口部やバンパー左右にあるベゼルはさらに大型のデザインを採用。ヘッドライトは、RAV4 PHVの角張ってつり上がった形状に対し、アクロスではより細長い形状となっています。
また、バンパー下にあるシルバー塗装のガーニッシュパーツも、よりアウトドア的なイメージのデザインとしているほか、19インチのアルミホイールを標準装備しています(RAV4 PHVはグレードにより18インチと19インチを設定)。
ボディサイズは、アクロスが全長4635mm×全幅1855mm×全高1690mm、ホイールベース2690mm。対するRAV4 PHV(国内仕様)は全長4600mm×全幅1855mm×全高1690mm(ブラックトーンは1695mm)、ホイールベース2690mm。
全長でアクロスの方が35mmほど長くなっていますが、車体の大きさはほぼ同じです。
ちなみに、アクロスのボディカラーは全6色が設定されています。
●パワートレインや内装は基本的に同じ
パワートレインは、RAV4 PHVにも搭載されている2.5L直列4気筒ガソリンエンジンに、車体前後に搭載した2つの電動モーターといった組み合わせ。
駆動方式はトヨタの電気式4WDシステム「E-Four」を採用し、走行する道や状況に応じて最適なトルク配分を行うことで、悪路や雪道などでも優れた走破性を実現します。
また、プラグインハイブリッドシステムには、モーターだけで走るEVモード、必要に応じて自動で動力をエンジンとモーターで切り替えるHVモードなどを設定している点なども、RAV4 PHVと同様です。
加えて、インテリアはステアリング中央にスズキのマークが装備されているほかは、大きな違いはありません。インパネ中央に9インチディスプレイオーディオを装着し、スマートフォンと連携したApple CarPlayやAndroid Autoなどの機能が使えるのも同じです。
アクロスの日本導入は未定ですが、海外でどんな評価を受けるのか興味深いですね。日本でも、たとえばダイハツのロッキーとそのOEM車であるトヨタのライズが、いずれも高い人気を誇っているケースがあります。RAV4 PHVとの相乗効果でアクロスにも人気が出れば、日本への凱旋導入もありうるかもしれませんね。
(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、SUZUKI)