100万円台の「ハイブリッド」は今や当たり前? 低燃費でコスパ最高の軽自動車が続々登場

■軽自動車の新型モデルにハイブリッド車が増加中

低燃費で環境に優しいことで高い人気を誇るハイブリッド車。ただし、かつては車両価格がとても高いイメージもありました。ところが最近は新車でも100万円台で購入できるリーズナブルなモデルも増えて来ています。

特に軽自動車には、ここ数年最新モデルにハイブリッド仕様を設定する車種が続々と登場しています。今回は新車価格が100万円台で、ハイブリッドの設定がある軽自動車をいくつかご紹介します。

●軽自動車の多くが採用するマイルドハイブリッド

ハイブリッドの設定がある軽自動車のほとんどは、マイルドハイブリッドという方式を採用しています。これは基本的な動力はエンジンで、トヨタの「プリウス」などが採用する一般的な方式と違い、モーターだけで走るEV走行の機能はありません。

マイルドハイブリッドの場合、モーターは主に発進や加速の時などにエンジンをアシストします。エンジンのガソリン消費量が多い状況の時に、モーターのパワーを追加することで低燃費を実現するシステムなのです。

また、モーターは減速時にバッテリーへ電気を供給する発電機の役割も果たします。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
スズキ・ワゴンRが採用するマイルドハイブリッドシステムのイメージ図

マイルドハイブリッドは、一般的なハイブリッドと比べて、モーターを小型にでき、バッテリー搭載数なども少なくてすみます。加えて機構も比較的複雑にならないため部品点数があまり増えず、重量増や価格を抑えられるといったメリットがあります。

特に軽自動車の場合は車体が小さいこともあり、大きなモーターやバッテリー、そのほかの機器などを搭載するスペースが少ないため、マイルドハイブリッドの方が導入しやすいという背景もあります。

近年は背が高くて室内も広い、軽スーパーハイトワゴンや軽ハイトワゴンといった車種が人気ですから、なおさら居住性を犠牲にはできないといった事情があるのです。

それでは早速、最近発売されたモデルから人気の定番車種まで、注目のクルマをピックアップしてみましょう。

●日産と三菱が新型スーパーハイトワゴンに採用

日産の「ルークス」とその兄弟車となる三菱の「ekスペース/ekクロススペース」。2020年3月に発売されたばかりのこれら新型には、全車にマイルドハイブリッドが採用されています。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
日産・ルークス。左はハイウェイスター G ターボ、右はルークス X

シャープなイメージのルークス、親しみやすいekスペース、タフで力強い印象のekクロススペースと、フェイスデザインや内装などの装備はそれぞれ異なりますが、いずれも基本構成を同じくする全高が1700mmを超える軽スーパーハイトワゴンです。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
右がekクロススペース、左がekスペース

三菱と日産が共同で設立した企業、NMKVが開発。ルークスは、前モデルの「デイズ ルークス」から車名を変更。約6年振りのフルモデルチェンジとなるekスペースには、今回SUVテイストのデザインを採用したekクロススペースも追加されています。

自慢は室内の広さで、特に後席は室内高が1400mmと高く、小さな子供が立って着替えることも可能。また、後席のスライド量はクラストップの320mmで、大人4人がゆったりと座れる居住性の良さも自慢。後席を前方にスライドさせることで、荷室に大きな荷物も楽に積める積載性の良さも魅力です。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
ekクロススペースの室内

さらに新型では高速道路での渋滞走行やロングドライブ時に、レーダーが先行車などを感知してアクセルやブレーキ、ステアリング操作を支援する高速道路同一車線運転支援技術を採用(日産はプロパイロット、三菱はマイパイロットと呼称)。

ほかにも、前方車両や人を検知する衝突被害軽減ブレーキなど、先進の安全運転支援システムも数多く搭載されています。

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ルークスが採用するプロパイロットのイメージ

パワートレインには、排気量659cc直列3気筒の自然吸気エンジンとターボエンジンの2バージョンを用意。2WD車と4WD車があります。

前述の通り、全車マイルドハイブリッド仕様で、加速時にモーターがエンジンをアシスト。また、アイドリングストップからエンジンを再始動する際にもモーターを使用することで、ガソリン使用量を削減します。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
マイルドハイブリッドの採用で、低燃費と軽快な走りを実現(写真はルークス)

なお、これらモデルのアイドリングストップ機能には、停車時だけでなく、ブレーキを踏んで速度が約13km/h以下に減速すると、エンジンが自動停止する機能も装備。エンジンが動く時間をできるだけ短くすることで、優れた燃費性能を発揮します。

燃費はWLTCモードで

・自然吸気エンジンの2WD車が20.8km/L、4WD車18.2km/L
・ターボエンジンの2WD車が18.2km/L、4WD車が16.4km/L

価格(税込)は

・ルークスが141万5700円〜
・ekスペースが139万9200円〜
・ekクロススペースが165万5500円〜

です。

ちなみに日産や三菱の軽自動車には、ほかにもマイルドハイブリッドを採用していて、100万円台から購入できるモデルがあります。

日産は全高が1640mmの軽トールワゴン「デイズ」で、価格(税込)は129万6900円〜。三菱は、軽クロスオーバーSUVの「ekクロス」に採用していて、価格(税込)は144万1000円〜です。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
右上がデイズ、左下がek クロス

●スズキはハスラーなど軽6モデルに搭載

スズキは、全ラインアップ中12モデルにハイブリッド仕様を設定しているメーカー。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
右がスペーシア、左がハスラー。下はスズキ製「ハイブリッド」車のロゴ

軽自動車には、2019年12月に新型が発売されたクロスオーバーSUVの「ハスラー」をはじめ6モデルに採用。

大人気の軽スーパーハイトワゴンの「スペーシア」やカスタムモデルの「スペーシアカスタム」、SUVテイストの「スペーシアギア」、軽ハイトワゴン「ワゴンR」やそのカスタムモデル「ワゴンRスティングレー」といった多くのモデルに採用しています。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
右がワゴンR、左がワゴンRスティングレー

いずれも採用するのはマイルドハイブリッド機構。独自のモーター機能付き発電機「ISG」を搭載することで、アイドリングストップからのエンジン再始動がとても静かでスムーズ。

また、アイドリングストップからの再発進時は、ガソリンを使わずにモーターの力だけでクリープ走行するため、渋滞時などのガソリン節約に貢献します。さらにISGは、ガソリン消費量が多い加速時にエンジンの出力をアシストすることで、低燃費を実現します。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
スズキのマイルドハイブリッド用モーター機能付き発電機「ISG」

なお、スペーシア・シリーズやハスラーには、ステアリング右側のパワーモードスイッチを押せば、エンジン・CVTの制御変更に加えて、ISGによるモーターアシストをトルクアップさせる機能も装備。坂道や高速道路などへの合流時に力強い加速力を発揮します。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
パアーモードスイッチによりトルクがアップ(ハスラーのイメージ図)

各モデルの主な燃費性能は以下の通りです。

・ハスラー:25.0km/L(2WD車のHYBRID XとHYBRID G・WLTCモード)
・スペーシア:30.0km/h(2WD車のHYBRID G・JC08モード)
・スペーシアカスタム:28.2km/L(2WD車のHYBRID XSとHYBRID GS・JC08モード)
・スペーシアギア:28.2km/L(2WD車のHYBRID XZ・JC08モード)
・ワゴンR:25.0km/L(2WD車のHYBRID FZとHYBRID FX・WLTCモード)
・ワゴンRスティングレー:25.2km/L(2WD車のHYBRID X・WLTCモード)

気になる価格(税込)は、

・ハスラー:128万400円〜
・スペーシア:129万8000円〜
・スペーシアカスタム:154万5500円〜
・スペーシアギア:164万4500円〜
・ワゴンR:109万8900円〜
・ワゴンRスティングレー:150万1500円〜

です。

100万円で買えるハイブリッドの軽自動車
スズキ・スペーシアギア

(文:平塚直樹/写真:日産自動車、三菱自動車、スズキ)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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