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■ヤリスやフィットなど最新の低価格ハイブリッド車
モーターとエンジンで走るハイブリッド車は、エコで燃費がいいなどの理由で高い人気を誇っています。
ただし気になるのが価格。少し前までは高価なイメージもありました。ですが最近では新車でも100万円台で購入できるモデルが続々と登場してきています。安くなった理由は主に技術の進歩と量産効果で、特にコンパクトカーには燃費が良くて、リーズナブルなハイブリッド車も数多く販売されています。
そこでここでは、ハイブリッドの現行モデルの中でも100万円台で新車が買えるコンパクトカーをいくつかご紹介しましょう。
●ヤリスやアクアにはお手頃価格のハイブリッド仕様も
世界初の量産ハイブリッド車で、このジャンルの代表格とも言える「プリウス」を世に出したトヨタ。さすがにハイブリッド車のラインアップも充実していて、コンパクトカーの「ヤリス」や「アクア」のいずれにも設定があります。
まずは2020年2月に「ヴィッツ」から車名を改めたヤリス。
ラインアップには、ガソリン車が1.0L直列3気筒と1.5L直列3気筒の2バージョン、ハイブリッド車は1.5L直列3気筒にモーターを組み合わせた仕様で、いずれも2WDと4WDの設定があります。
そのうち、価格(税込)が100万円台のハイブリッド車は、HYBRID X 1.5L 2WDが199万8000円となっています(そのほかのハイブリッド車は213万円〜249万3000円)。しかもこのグレードの燃費は、全ラインアップ中で最もいい36.0km/L(WLTCモード)! クラス最高レベルの低燃費を誇ります。
また、システム出力向上とアクセル操作に対するレスポンスを向上することで、加速時などでダイレクトかつスムーズな走りを実現しています。
モーターのみで走るEV走行が選べる「EVモードスイッチ」や、ノーマル・パワー・エコといった3種類の走行モードが選べる「ドライブモードスイッチ」により、走る状況や気分に合わせた走りがチョイスできるのも魅力です。
一方の「アクア」。2011年に発売されたロングセラーモデルで、優れた燃費性能とお手頃な価格設定などにより、幅広い層から支持を得ているクルマです。
このモデルは全グレードがハイブリッド仕様ですが、100万円台の設定があるグレードは、エントリーモデルのLが181万8300円、Sが192万1700円(そのほかは209万7700円〜237万2700円)。
Sは高輝度シルバー塗装が施されたステアリングホイールを採用するなど、装備がやや豪華ですが、基本的な構成はどちらも同じです。
ハイブリッドシステムは、1.5L直列4気筒エンジンとモーターの組み合わせ。プリウスなどで実績がある独自のシステムを、アクア用に改良したTHSII(TOYOTA Hybrid System II)を採用しています。
燃費は、Lグレードが38.0km/L、Sグレードが34.4km/L(いずれもJC08モード)と、こちらもクラストップレベル。小型化したハイブリッドバッテリーをリヤシート下に配置することで、容量305Lもの荷室空間を確保するなど、実用性に優れているのも魅力です。
●フィットは2モーターを搭載
2020年2月に新型が発売されたホンダの「フィット」にもハイブリッドの設定があります。
ラインアップは、1.3L直列4気筒を搭載したガソリン車と、1.5L直列4気筒とモーターで構成するハイブリッド車を用意。2WD(FF)と4WDの設定があります。また、街やアウトドアなど、使う人のライフスタイルや好みに合わせ、様々なシーンにマッチする5種類のデザインを設定しています。
ハイブリッド車には、ステップワゴンなどにも採用されているホンダ独自のシステム「e:HEV(イーエイチイーブイ)」をコンパクトカーで初めて採用。
特徴は、2基の電動モーターを搭載していること。日常の走行時はモーターの動力を中心とすることで優れた燃費性能を発揮。高速クルーズ時などはエンジンの動力で走ることで、パワフルな走りも可能としています。
具体的には、バッテリーからの電気でモーターだけで走る「EVドライブモード」、加速時などはエンジンの力で発電した電気でモーターを駆動する「ハイブリッドドライブモード」といった、モーター主体の2モードを設定。
また、高速走行時など、エンジン駆動力の方が効率がいい場合はエンジンと車輪を直結して(エンジンで)走る「エンジンドライブモード」という3モードを設定し、走行シーンに合わせて切り替えることで、全領域で効率がいい走りを実現しているのです。
フィットのハイブリッド仕様で、価格(税込)が100万円台のグレードは、シンプルなスタイルのe:HEV BASIC 2WD(FF)が199万7600円となっています(そのほかのハイブリッド車は219万5600円〜253万6600円)。しかも、このグレードの燃費は29.4km/L(WLTCモード)で、ラインアップ中で最も低燃費を実現。お買い得感がより高い仕様だといえるでしょう。
●エンジンは発電のみで使うノートe-POWER
コンパクトカーの販売台数で2017年から2019年まで3年連続ナンバーワンを獲得した、日産の人気モデルが「ノート」。このモデルには、2016年のマイナーチェンジで追加したハイブリッド車の「ノートe-POWER」があります。
ノートe-POWERのハイブリッドシステムは、搭載する1.2Lエンジンは発電のみで使用、走行はモーターだけというシリーズハイブリッドと呼ばれる方式を採用。25.9kgf・mという2.0Lターボエンジンに匹敵する最大トルクを、発進時から一気に発生するモーター特有の優れた瞬発力が魅力です。
また、市街地などではエンジン作動を少なくしたり、バッテリー充電量が十分な場合はエンジンを停止しモーターのみで走行することも可能。これらにより、街乗りでの静粛性は抜群です。
ノートe-POWERで、100万円台のグレードはe-POWER Sで、価格(税込)は193万7100円(e-POWERの他のグレードは205万9200円〜281万2700円)。
しかもこのグレードは、燃費が全グレード中で最もいい37.2km/L(JC08モード)を実現。前述のフィットe:HEV BASIC 2WDと同様に、価格と燃費のバランスがとてもいい、リーズナブルな仕様だといえます。
●スイフトはマイルドハイブリッド仕様に注目
全モデル1トンを切る軽量な車体が生む軽快な走りが魅力的な、スズキのコンパクトカー「スイフト」です。
現行モデルは、2017年に登場した4代目。2020年5月に一部改良が施され、後退時ブレーキサポートや後方誤発進抑制機能などが追加され、安全装備がより充実しています。
スイフトのラインアップは、ガソリン車とマイルドハイブリッド、ハイブリッドの3種類。いずれも2WDと4WDがあります。また、搭載するエンジンは全モデルとも1.2L直列4気筒を採用、マイルドハイブリッドとハイブリッドにはモーターも搭載されています。
これらの中で注目はマイルドハイブリッド車。マイルドハイブリッドとは、基本的な動力はエンジンで、モーターだけの走行はしないシステムのことです。
では、なぜモーターを搭載しているのか? これは主にエンジンの動力をアシストするのが目的です。アイドリングストップからのエンジン再始動時や加速時など、ガソリン使用量が多い状況下でモーターの動力を加えることで、低燃費を実現する方式なのです。
一方、スイフトのハイブリッド車は、一般的なモデルと同様に、モーターだけで走るEV走行も可能。モーターの最大出力はマイルドハイブリッド車が3.1PSなのに対し、より大出力の13.6PSを発揮。バッテリー数もマイルドハイブリッド車が5個なのに対し、ハイブリッド車はより大容量のタイプを28個も搭載しています。
こういった装備の差が価格にも反映されていて、スイフトのマイルドハイブリッド車の価格(税込)は163万3500円〜209万円なのに対し、ハイブリッド車は208万7800円〜214万600円。マイルドハイブリッド車の方が安く購入できます。
一方、燃費はハイブリッド車が28.6km/h、マイルドハイブリッド車の2WDが25.2km/L、4WDが23.8km/L。
当然ながら、燃費はハイブリッド車の方がいいのですが、マイルドハイブリッドもなかなかの低燃費。価格差を考えるとマイルドハイブリッドは、かなりリーズナブルだといえるようです。
(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スズキ)