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■前年よりも売上ダウンのクルマが続出!
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、クルマの新車販売台数は大幅に減少しています。まさに「コロナ不況」とも言える状況ですが、それでも好調な売上を記録しているクルマもあります。
では、どんなクルマが売れていて、どんなクルマが売れていないのか?
ここでは、業界団体の自販連(日本自動車販売協会連合会)が発表した乗用車(登録車)の新車販売台数や、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)が発表した軽自動車の新車販売台数それぞれの最新データを基にご紹介しましょう。
●ヤリスは4月に続いて1位
まず、自販連が6月4日に発表した5月の登録車新車販売台数によると、トップ10は以下の通りです。
【2020年5月登録車販売台数ランキング】
1位 :トヨタ・ヤリス 1万388台
2位 :トヨタ・ライズ 7916台
3位 :ホンダ・フィット 7235台(110.8%)
4位 :トヨタ・カローラ 6540台(89.5%)
5位 :トヨタ・アルファード 5750台(110.6%)
6位 :トヨタ・シエンタ 4344台(57.3%)
7位 :トヨタ・ルーミー 3713台(48.0%)
8位 :ホンダ・フリード 3612台(54.9%)
9位 :トヨタ・プリウス 3499台(31.8%)
10位:日産ノート 3470台(43.1%)
※( )内は対前年同月比
トップ10に入ったクルマの中でも、対前年比が30%〜70%減少しているクルマも多いことが分かると思います。ただし、コロナ禍の影響で、各メーカーともに生産工場の稼働休止や生産調整をしていますので、一概に「売れていない」とは言い切れない場合もあります。
注目すべきはトップ10内の7台がトヨタ車だということです。4月でもトップ10中8台がトヨタ車でしたので(5月はアクアが3453台・11位でトップ10圏外)、コロナ禍下でも相変わらず人気車が多いことが分かります。
中でも2020年2月に発売されたヤリスは、4月(1万119台)に続き2か月連続で1位(1万388台)を獲得。2月が22位(3491台)、3月が3位(1万3164台)でしたので、発売翌月から急激に売上を伸ばし、首位に君臨しています。
2位のライズは、4月の7位(5545台)から5月は7916台と売上を伸ばし、大きくジャンプアップしました。2020年の1月(1万220台)と2月(9979台)が1位でしたから、再浮上を果たしています。
一方、1位ヤリスの直接的なライバルと言えるフィットも、2020年2月の発売後から善戦。2月7位(8221台)、3月2位(1万4845台)、4月2位(8977台)でしたが、5月は3位(7235台)に転落。ただし、同じ月の対前年比では10%以上の増加となっています。
トップ10内では、他にもアルファードが対前年比で10%以上の増加。1月12位(5147台)、2月(5241台)と3月(7885台)が14位、4月6位(5739台)で、5月(5750台)はひとつ順位を上げて5位に。
人気のコンパクトミニバン、シエンタやフリードが対前年同月比で40%以上減少して苦戦する中、ミニバンの中では、まさに唯一売上を伸ばしているクルマだといえます。
ちなみに、5月の上位50車で、同じ月の対前年比が最も良かったのは39位(645台)のレクサスNX300Hで219.4%。逆に最も悪かったのは41位(568台)のスバル・フォレスターで、22.5%でした。
●王者N-BOXも前年比では減少
次に、軽自動車。同じく6月4日に、全軽自協が発表した軽四輪車の新車販売台数ランキング上位10台は以下の通りです。
【2020年5月軽自動車販売台数ベスト10】
1位 :ホンダ・N-BOX 1万1655台(52.4%)
2位 :ダイハツ・ミラ 4504台(56.6%)
3位 :スズキ・スペーシア 4392台(32.8%)
4位 :日産ルークス 3911台(―)
5位 :日産デイズ 3849台(32.4%)
6位 :スズキ・ハスラー 3529台(80.8%)
7位 :スズキ・ワゴンR 3322台(47.6%)
8位 :ダイハツ・タント 2497台(22.7%)
9位 :ダイハツ・ムーヴ 2113台(22.6%)
10位:スズキ・ジムニー 2046台(86.2%)
※カッコ内は対前年同月比
年間販売台数ランキングで2019年度まで5年連続1位を獲得している王者N-BOXが1万1655台で1位に。登録車1位のヤリス(1万388台)よりも売れているので、実質的に全モデル中で5月のナンバーワンです。
ただし、対前年同月比でみると、52.4%で40%以上の減少。
2020年に入ってN-BOXは、5月まで全て販売台数1位で、
1月1万8953台(対前年比112.4%)
2月1万9177台(対前年比101.2%)
3月2万2078台(対前年比115.1%)
と、3月までは順調に売上を伸ばしています。ただし、4月は1万4034台で対前年同月比は63.6%と30%以上の減少。前述の通り、5月はさらに減少幅が大きくなっています。
軽自動車では、トップ10内のほかの車種でも、軒並み同月の対前年比が減少。
また、軽自動車では、近年トールワゴン系など背が高いクルマが上位を独占する傾向がありますが、今回はなんと2位にセダン系のミラがランクイン。ミラーシリーズは、ミライースとミラトコットがありますが、いずれも軽セダンで、4月の5位(5506台)から大きくジャンプアップしています。
ところが、データをよく見ると、やはり対前年同月比は56.6%で40%以上の減少。これは他のトールワゴン系がさらに落ち込んだためだと推測できます。
軽自動車の場合も、前述の通り、各メーカーは生産工場の稼働休止や生産調整をしていますので、受注があってもクルマがないケースもあり一概には言えませんのでご注意を。
ちなみに、5月の軽自動車・新車販売台数トップ15の中で、対前年同月比が最も良かったのは、13位(1052台)のN-WGNが139.6%。最も悪かったのは7位(3322台)のスズキ・ワゴンRが58%でした。
(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、本田技研工業、スバル、ダイハツ工業)