ジムカーナ&ダートトライアルとは?舗装路と未舗装路、ステージの異なるタイムトライアル【自動車用語辞典:モータースポーツ編】

■改造レベルでクラス分けされているので比較的手軽に楽しめるモータースポーツ

●同時にスタートして勝ち負けを競うのではなくタイムを競うレース

日本で独自に発展して比較的手軽に楽しめるモータースポーツがジムカーナとダートトライアルです。舗装路で設定されたコースを1台ずつ走行してタイムを競うのがジムカーナ、未舗装路(ダート)コースでタイムを競うのがダートトライアルです。

ジムカーナとダートトライアルについて、解説していきます。

●ジムカーナとは

JAFによるジムカーナの定義は、「硬く表面処理された路面上に任意に設定されたコースで行われるスピード行事」です。ジムカーナには、B級ライセンスが必要な競技と、必要でない競技があります。

国内では200以上のジムカーナ競技会が開催されており、その頂点に位置するのが全日本ジムカーナ選手権で全国を転戦します。

全日本ジムカーナ
全日本ジムカーナ(写真:STI)

世界的にジムカーナと類似の競技会はいくつかありますが、現在世界選手権のような国際大会はなく、日本独自で発展進化した競技です。

●ジムカーナの競技内容

全国にはコースの異なるジムカーナ専用コースがあります。専用コースでなくても、ある程度スペースのある敷地にパイロンを置いて任意に設定されたコース、さらにレーシングカート用のコースで行われる場合もあります。

走行時間は45秒から1分30秒で2回を走行し、速い方のタイムで競います。

1回の走行時間が短く走行速度が低いため、それほど高い耐久信頼性や安全装備は必要ありません。

参戦車両は改造レベルによってクラス分けされ、改造の少ないナンバー付が4クラス、ナンバーなしのジムカーナ専用車が2クラスあります。

公道を走行できるナンバー付クラスが主流なので、アマチュアドライバーでも取り組みやすく、手軽に楽しめるモータースポーツです。

●ダートトライアルとは

WRCのようなダートコースのドリフトが楽しめるのが、ダートトライアル(略称、ダートラ)です。

ダートトライアルはジムカーナのダート(非舗装)版で、JAFの定義は「未舗装の路面上に任意に設定したコースで行われるスピード行事」です。

JAF全日本選手権シリーズを頂点として、各地区選手権シリーズや各都道府県ダートトライアル選手権、フレッシュマンシリーズなどが開催されています。

JAF公認ダートラに出場するには、国内Bライセンス以上が必要です。

●ダートトライアルの競技内容

ダートトライアルは、通常は専用のダートトライアルコースで行われます。パイロンジムカーナのように広場を利用することもあります。

競技は、1分30秒から2分程度のコースを2回走行して、速いタイムの方で順位が決められます。

滑りやすいダートコースは、レースなど舗装路の競技と比べ、テクニックやクルマの挙動が大きく異なります。特に改造レベルの高いクラスは、スピードに差こそあれWRC(世界ラリー選手権)のような迫力があり、観客が盛り上がる競技です。

ダートトライアルの車両規定は、同じスピード競技のジムカーナと基本的には同じで、ナンバー有無それぞれで、改造レベルによってクラス分けされています。


ジムカーナやダートトライアルはスピード行事と呼ばれ、短時間の走行で勝負が決まります。改造レベルの低いクラスでは、ナンバー付でほとんど改造なしでも挑戦できるメリットがあります。

観客として見るだけのサーキットのレースとは異なり、ジムカーナやダートトライアルは個人でもドライバーとして参戦して楽しめるのが、最大の特長です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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