スーパーフォーミュラ&スーパーGTとは?日本のモータースポーツの最高峰【自動車用語辞典:モータースポーツ編】

■フォーミュラカーはタイヤ剥き出しのオープンホイールカー、ツーリングカーは市販車改造車

●スーパーフォーミュラはF2000が起源、スーパーGTは全日本GT選手権が起源

国内のモータースポーツの双璧が、フォーミュラカーの頂点に立つ「スーパーフォーミュラ」と、市販車ベースのGTカーの頂点に立つ「スーパーGT」です。いずれもFIAの国際格式レースを意識しながら、名称とレギュレーションを変更しながら成長してきました。

国内モータースポーツのトップカテゴリーのスーパーフォーミュラとスーパーGTについて、解説していきます。

●スーパーフォーミュラとは

全日本スーパーフォーミュラ選手権は、「フォーミュラ・ニッポン」の後継として2013年から始まった新シリーズのレースです。

元々は1973年に始まった「F2000」が起源です。レギュレーションの変更により1978年から「F2」へと改称し、1998年よりF3000のレギュレーションを採用して「全日本F3000」となりました。その後F3000がワンメイク化したのに対して、日本は独自のレギュレーションを選んで「フォーミュラ・ニッポン」へと改めました。

スーパーフォーミュラ
スーパーフォーミュラ(写真:トヨタ自動車)

2013年のスーパーフォーミュラ元年は、チーム無限の山本尚貴がドライバーズタイトルを獲得しました。その後、中嶋一貴、石浦宏明、国本雄資と日本人ドライバーのチャンピオンが続いています。

●スーパーフォーミュラのレギュレーション

2019年のスーパーフォーミュラは、4月に鈴鹿サーキットで開幕し、10月に鈴鹿サーキットで閉幕予定の全7戦で競います。全戦は250kmの1レースで、代表的なレギュレーションは以下の通りです。

・シャシー:新型ダラーラ社製・SF19
・エンジン:直列4気筒ターボ、排気量2000cc
ホンダ製HR-417E、またはトヨタレーシング製Biz-01F
・タイヤ:横浜ゴム製のワンメイク
・オーバーテイクシステム:ステアリング上のボタンを押すと、20秒間燃料量が増え加速が強化されます。決勝レースで5回まで使用可能で、使用中はドライバーのヘルメット後方のランプが点灯します。

●スーパーGTとは

スーパーGTは、全日本GT選手権(JGTC)の国際シリーズ化にともない誕生したカテゴリーです。

レースは、GT500とGT300のふたつのクラスが混走し、市販車をベースとしながらも大幅に改造された車両を使用します。

スーパーGTは、二人一組で1台のマシンを走らせ、獲得ポイントに応じて次戦からウェイトを積載する「ウェイトハンデシステム」を採用します。

ワークス勢が挑むGT500クラスのレースマシンは、その改造自由度の高さから市販車とは別物で、「世界で最も速いGTカー」と言われます。

スーパーGT
スーパーGT(写真:トヨタ自動車)

国内外のトップドライバーが競うGT500は、トヨタとホンダ、日産の各ワークスチームによる三つ巴になっています。2005年にスーパーGTが始まって以降、トヨタが6勝、ホンダが2勝、日産が5勝です。

一方で、ワークスチームからプライベーターまで参加するGT300の優勝メーカーは、日産、BMW、ポルシェ、ホンダ、トヨタという具合に混戦を極めています。

●スーパーGTのレギュレーション

GT500は、ドイツツーリングカー選手権(DTM)の車両レギュレーションに従い、共通モノコックの採用や全車左ハンドル化などが規定されています。ただし、エンジンはDTMが自然吸気(NA)V8 4Lに対して、GT500はスーパーフォーミュラと同じ2L 直4ターボを採用しています。

また、エンジン搭載位置についてもDTMがフロント搭載に限定しているのに対して、GT500ではミッドシップ搭載が認められています。

GT300には現在、独自レギュレーションのJAF-GT車両と、世界共通のFIA-GT車両があります。改造自由度が高い前者が有利にならないように吸気制限を強くして、両者のバランスを取っています。国産車は前者が多く、輸入車は後者が中心です。


日本ではF1を中心にモータースポーツ全般の人気がなくなり、国内最高峰のスーパーフォーミュラやスーパーGTも低迷しています。日本メーカーが積極的に関わっていない、日本人ドライバーのスターが現れないなどいろいろな理由があります。

残念ながら、その根底には若い人がクルマ自体に興味を持たなくなったことが大きいと思われます。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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