フィアット パンダが40年間750万台も愛され続けたワケとは? 初代〜3代目最新パンダコンフォートまで歴史を深堀りする

■2代目は変えるべきを変え、守るべきは守った

2代目パンダが登場したのは2003年。SUVテイストの強い長身5ドアコンパクトハッチとして生まれ変わったものの、シンプルなデザインと機能的な作り、広い車内空間と経済的なメカニズム、そして1トンを切る軽量構造という美点は漏らさず受け継ぎました。

車内空間は先代比で68%以上も広くなり、クラストップの広々空間が誕生。さらに電動フロントウインドウや集中ロック、電動パワーステアリング、フロントエアバッグ、ブラウプンクト製カセットオーディオを全車に標準装備。上級グレードには、パーキングセンサーやルーフの70%ほどの開口部をもつ「スカイドーム」と呼ぶ広大な電動開閉式サンルーフも搭載していました。

変えるべき点は思い切り変える一方で、守るべき点はしっかりと守っているのもパンダが長く愛されるゆえん。整備性に優れたシンプルなメカニズムや頑丈なバンパーなど、頼りがいのある作りはそのまま継承。2世代目のパンダは、警察車両や軍用車両、郵便車両など「はたらくクルマ」としても活躍したのです。

2代目 フィアット パンダ フロントイメージ
2003年に2代目へと生まれ変わったパンダ。SUVらしいスタイルに、初代パンダが持っていた質実剛健さやシンプリシティを継承しました。

■10台に3台はパンダだった2代目の功績

2代目パンダには、お洒落なハウスウェアで知られるアレッシィとのコラボレーションや、実験車両としての水素モデルなどユニークな派生車種がたくさん生まれました。2007年には、あの過酷なダカールラリーに4×4モデルで出場。広大なキャビンには、ショベルやスペアタイヤ、飲料水など必要装備を満載することができたそうです。

2代目 フィアット パンダ フェイシアイメージ
フロアから伸びていたシフトは2代目になってダッシュボード側に移動。操作性がぐっとアップしました。

2代目パンダは世界76ヵ国で販売され、モデル末期の2011年に累計生産200万台を達成。イタリアではセグメントトップ35.3%というシェアを獲得していました。街中を走る新型コンパクトカーの10台に3台はパンダだったんですね。

2代目 フィアット パンダ クロス フロントイメージ
2代目パンダに登場した派生モデル「パンダ クロス」。日本市場へは未導入だったけれど、現在のSUVトレンドを先取りするようなモデルです。ちなみに生産200万台目の記念すべき車両はパンダ クロスでした。
2代目 フィアット パンダ アレッシィ フロントイメージ
2代目パンダには、イタリアのハウスウェアメーカー「アレッシィ」とのコラボレーションモデルも登場しました。

■3代目が貫いた真っ当なパッケージング

2011年に誕生したのが、現行モデルでもある3代目パンダ。基本スタイルはキープコンセプトでしたが、機械式駐車場など停める場所を選ばない1550mmの車高は日本市場にとってなによりの朗報でした。

3代目 フィアット パンダ フロントイメージ
2011年に登場した現行の3代目パンダ。車高が1550mmになり機械式駐車場にも停められるサイズに。クラス随一の車内の開放感は、初代からずっと受け継いでいる美点です。

パンダのプロポーションそのものをカリカチュア化したような、角丸の「スクワークル」と呼ぶパターンを内外装のあちこちに配置。あえて樹脂をむき出しにしたトリム類などとあいまって、イタリアらしい遊び心溢れるムードがなんとも魅力的です。

大きなサイドガラスを直角近くまで立てているため、車内空間は開放感たっぷり。フロアに対して高く座ることのできる着座姿勢のおかげで、まるで大きなバスに乗っているような豊かな居住感が生まれています。スタイリング重視で車内がタイト気味なクルマが増殖するなか、四角いカラダの中に目一杯の空間を広げて乗員と荷物を迎え入れたパンダは、それだけでライバルを一頭地抜く魅力を十分に備えていました。

3代目 フィアット パンダ フロントイメージ
3代目 フィアット パンダ

■すべてが自然ですべてが素直

「ツインエア」と呼ばれる875ccの2気筒ターボエンジンを、ATモード付きの電制2ペダルMT(デュアロジック)でぷんぷん響かせながらリズムよく運転する楽しさは、現行パンダ随一の魅力。低速でパタパタと唄うエンジンは、速度を上げていくほど滑らかにモリモリとトルクが溢れ出していきます。

3代目 フィアット パンダ デザインスケッチイメージ
ボクシーなボディの中に、目一杯の空間を作り出す。これぞパンダの哲学でしょう。直立したガラスやアップライトな運転姿勢など「あるようでない」パッケージングを実現しています。

たっぷりとしたシートは、お気に入りのクッションに腰掛けているような心地よさ。ステアリングを切れば、ゆったりとカラダを傾けながら素直に曲がってくれて、直進ではふわり穏やかな乗り心地。長年使い続けたフライパンやお鍋で料理をするみたいに、すべての操作が自然ですべての反応が素直に返ってくる。こういう感覚のクルマが少なくなったいま、パンダは動物のパンダと同じくらいに愛されるだけでなく、とても貴重な存在なのかもしれません。

3代目 フィアット パンダ デザイナー ロベルト・ジョリートイメージ
3代目パンダのデザインを手掛けたロベルト・ジョリートは、現在はFCAのヘリテージ部門の責任者。

■「パンダコンフォート」ありそでなかった!まさかの“癒し系”限定車

さて、今年で40歳のお誕生日を迎えたパンダですが、その魅力を凝縮したような特別仕様車が発売されています。その名も「パンダ コンフォート」。パンダの愛すべき特徴のひとつである“快適さ”に一層の磨きをかけた1台です。

パンダ コンフォート フロント&リヤイメージ
専用の外装色や2トーン仕様の内装、フルオートエアコンや前席シートヒーター、リアパーキングセンサーを装備した90台の限定車「パンダ コンフォート」。車両価格は234万円。

現行モデル「パンダ イージー」をベースに、フルオートエアコンや前席シートヒーター、リアパーキングセンサーを搭載した限定車。ベースモデルよりも、1インチ小ぶりな175/65R14インチのタイヤを履いているため、乗り心地がぐっと優しくなっているのもポイントでしょう。

パンダ コンフォート ホイールイメージ
ベースモデルよりも小さな175/65R14インチのタイヤを履いているので、乗り心地もよりソフトに。

ボディカラーには、普段のラインアップにはないシックなコロッセオ グレー(メタリックグレー)を採用。車内は、ブラック×レッドのバイカラー仕様になっていま。シックな外見に華やかな内装というギャップも限定車らしい遊び心ですね。

パンダ コンフォートシートイメージ
黒×赤基調のバイカラーの内装もパンダ コンフォートの特徴です。ベースモデル比で10万円高に抑えたプライスタグも魅力的。

癒し力をワンランクアップした「パンダ コンフォート」は90台限定。しかも、プライスタグは234万円というお値打ち価格。ありそうでなかった特別仕様のパンダは注目の1台です。

パンダ コンフォートフロント&リヤイメージ
パンダ コンフォート

40年間、ずっと愛され続けてきたフィアット パンダ。その最新作パンダ コンフォートなら、今までに多くの人々が相棒に選んできた理由、そして生活の一部に溶け込んできたワケをリアルタイムで実感できるはず。

全国限定90台のレアモデルなので、興味のある方はお早めに近くのフィアット正規ディーラーへお問い合わせを。

※パンダ コンフォートを除き、記事内写真の車両は欧州仕様となります。

(文:三代やよい/写真:FCA)

【関連リンク】
パンダコンフォート公式サイト https://www.fiat-auto.co.jp/limited/panda-comfort-2020/

パンダ 40周年記念公式サイト https://www.fiat-auto.co.jp/campaign/panda-40anniversario/

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MotorFan.jpフィアットパンダ記事「生誕40周年を迎えたイタリアの至宝! フィアット パンダの偉大なる足跡と、そのDNAを受け継いだ期待の限定車「パンダ コンフォート」の魅力に迫る〈Fiat Panda Comfort〉」 https://motor-fan.jp/article/10014723

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