F1とは?FIAが主催するオープンホイールレースの頂点カテゴリー【自動車用語辞典:モータースポーツ編】

■世界各国のサーキットで年間21戦、参戦10チーム(2019年)で競う国際自動車レース

●厳しいレギュレーション(規約)に準拠したルールと技術のもとで公平に競争

F1(フォーミュラ・ワン)は、世界各地のサーキットで競う最高峰の国際自動車レースです。オープンホイールのフォーミュラカーに最先端技術を結集し、1000PSに近い最高出力で最高車速は300km/hを超えます。

クルマ好き憧れのレースF1について、解説していきます。

●F1とは

正式名称「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」で、FIA(国際自動車連盟)が主催するオープンホイールレースの頂点カテゴリーです。フォーミュラとは「規定」を意味し、何でもありではなく厳しいレギュレーション(規約)のもとにレースが行われます。

世界各国のサーキットで年間21戦、参戦10チーム(2019年)で競う国際自動車レースです。日本では、鈴鹿サーキットが開催地のひとつになっています。

サーキットの長さはさまざまですが、各サーキットで走行距離305kmを超える最小周回数が設定されています。周回数以外にもレースは最大2時間まで、中断がある場合はその時間を含めて最大4時間までと規定されています。

レースごとの結果に応じたポイントが、チームとドライバーに配分され、年間の総得点により競います。

●F1のレギュレーション

モータースポーツでは、公平に競争するために厳しいレギュレーションがあります。F1レギュレーションには、スポーティングレギュレーション(競技規約)とテクニカルレギュレーション(技術規約)があり、FIAが毎年シーズン開始前に内容を改訂して発行します。

2019年現在の代表的なレギュレーションは、以下の通りです。

・パワーユニット

1.6L V6 ターボエンジンにERS(エネルギー回収システム)を組み合わせること、エンジン形式だけでなく各システムのサイズや材質などまで詳細に規定されています。

1レースで使用できるエンジンの燃料量110kg、瞬間的な燃料流量も100kg/hに制限されています。

F1エンジンを供給しているのは、現在ホンダ、メルセデス、フェラーリ、ルノーの4メーカーです。

・ギヤボックス

パドルシフトを使ったセミオートマチックトランスミッションで、8速とリバース1速に規定されています。

・重量

マシンとドライバーを含めた最低重量は743kgです。当然ながら軽い方が有利なので、この最低重量に限りなく近い重量に設定します。

・タイヤ

タイヤは、FIAが指名した公式サプライヤのピレリより供給されます。

5種類のコンパウンド(ゴムの柔らかさなどのゴム質)のドライタイヤと、2種類の雨天用インターミディアムタイヤおよびウェットタイヤが供給されます。

●3つの注目技術

F1カーには、多くの最先端技術が採用されていますが、なかでも注目される技術は3つです。

・ERS(エネルギー回収システム)

ERSは、MGU-K(運動エネルギー回生装置)とMGU-H(排気熱回生装置)で構成されています。減速エネルギー回生でバッテリを充電して、その電力を使ってモーターでアシストします。

・リアウィングのDRS(ドラッグリダクションシステム)

リアウィングの一部を可動させて空気抵抗による抗力を減らして、最高速度を上げます。

・安全装備ハロ

コックピットの前に装備するロールケージのようなもので、クラッシュ時のドライバーを保護します。

F1マシン
F1マシン

F1マシンは、運動性能を上げるために車高をギリギリまで下げ、タイヤを剥き出しにするオープンホイールやミッドシップを採用しています。また、わずかなステアリング操作でロックまで俊敏に切れるようにしたステリングギヤ比の設定など、さまざまなチューニングを行っています。

F1マシンは、サーキットを速く走ることだけを考えて設計された、走りに特化したクルマの象徴的な存在です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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