■航続距離は230km〜330kmで、80%超のユーザーニーズを満たす
次世代の電動バンの「e-EXPERT(e-エキスパート)」をプジョーが発表しました。
プジョーは「パワー・オブ・チョイス」を掲げていて、内燃機関もEVもデザインやパッケージ、実用性などを同等としながら、パワートレーンの選択が可能になる戦略(哲学)を掲げています。
ピュアEVのプジョー e-Expertは、2つの異なる航続距離、3つの全長、最大1000kgの牽引力・最大1275kgの積載量を提供するバンです。
2016年に発売されたLCV(Light Commercial Vehcle)であるプジョー・エキスパートは、日本には正規導入されていませんが、19万5000台以上が生産され、ヨーロッパを中心に世界的な成功を収めています。
使い勝手の高さをはじめ、大容量の積載量、オンボード技術、シャープなデザインなど、新型プジョーe-エキスパートは、ゼロエミッションでありながらも妥協のない走りを実現しているそう。
ヨーロッパのコンパクトバンセグメントは、年間75万台以上の市場規模があり、2016年の発売以降、プジョー・エキスパートは年々シェアを伸張しているそうです。
最近、「ユーロ6D」基準をクリアし、さらに、100%電動バージョンのプジョーe-エキスパートが送り出されることになります。
●50kWhと75kWhの2つのバッテリー容量をオプション設定
e-エキスパートは、プジョーブランド初のEVで、50kWhと75kWhの2つのバッテリー容量をオプション設定。
「コンパクト」と「スタンダード」は、50kWhのバッテリーを搭載し、WLTPによる航続距離は最大143マイル(230km)。
さらに「スタンダード」と「ロング」には、航続距離が最大205マイル(330km)の75kWhバッテリーを搭載することもできます。
バッテリーは、積載量に影響を与えることなくフロア下に配置されています。
充電環境は、7.4kWの充電器を標準装備し、11kWの充電器をオプションで設定。7.4kWは、7時間半(50kWhバッテリー)または11時間20分(75kWhバッテリー)でフル充電が可能だそう。
バッテリーは、充電容量の70%で8年間または10万マイル(16万km)を保証。
欧州における商用車は、その80%近くが1日平均124マイル(200km)以下の走行で、新型プジョーe-エキスパートは、その大半のニーズをまかなえるわけです。
また、街中では、ピュアEVでの走行を許可している区域もあり、年々制限が厳しくなってきています。100%電動化により、同セグメントでは少ないコンパクトバージョンを含むプジョー・エキスパートの利点はそのままに、狭い道路や混雑した市街地に適した設計になっています。
また、プジョーe-エキスパートは、キャビンフロアをベースとした改造(冷凍室など)もコーチビルダーによる改造で可能だそう。
走行モードは3つ用意されています。航続距離を重視した60kWの「エコ」モード、「ノーマル(通常)」モードは、80kWで日常の走行に適しています。100kWの「パワー」は、重量物輸送時の性能を最適化。
装備では、フロアを有効活用する新装備の電動パーキングブレーキが全車に採用されたのをはじめ、消費量(ECO、POWER、CHARGE)を表示するパワーメーター、エアコンの消費メーター、バッテリーパワーレベルゲージ(エネルギーフロー)、オンボードコンピュータ情報、航続距離を表示するためのカラーモニターなどが用意されます。
パッケージングは、3人掛けのフロントシートが特徴で、2人乗りにすることもできます。中央席には、折り畳み式の背もたれに、回転テーブルが一体化することでモバイルオフィスとしても機能します。
センターシート下の収納スペースも用意。最大積載量は内燃機関と同じで1275kgまで。新型e-エキスパートは2020年後半に欧州で発売され、生産はフランスのヴァランシエンヌ近郊の工場で行われます。
欧州では、日産や「シトロエン」ブランドも電動バン市場に参入していて、とくに都市部ではさらにニーズが高まりそうです。
(塚田勝弘)