■「ISGM」により回生ブレーキが可能になり、エンジン再始動時の音・振動を抑制
ボルボといえば、長い間、ステーションワゴンがそのブランドイメージを牽引してきました。現在もボルボのワゴンを愛用している方も多くいます。
一方で、世界的なブームもあってSUVの存在感も高まっています。新生ボルボの第1弾として登場したフルサイズSUVのXC90、ミドルサイズSUVのXC60、そして若い女性など幅広いユーザーの獲得を狙うべく投入されたXC40というラインナップ。
ボルボは、同社初の新開発48Vハイブリッドパワートレーン「B5」搭載モデルをXC60とXC90に追加しました。なお、「B5」搭載車はAWDのみで、XC60に設定されているFFはありません(XC90はAWDのみ)。現在のボルボが搭載しているパワートレーン「Drive-E」は、モジュール化のみならず電動化も見据えて開発されています。
新たに導入された「B5」パワートレーンは「ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)」を搭載。なお、メルセデス・ベンツやスズキなどは「ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)」と表記しています。
■状況に応じて2気筒走行で燃費性能を向上
「ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)」の主な役割はメルセデス・ベンツなどと同じで、「回生ブレーキで発電した電力を48Vリチウムイオンバッテリーにためて、エンジンの始動や動力補助を行う」もの。
また、アイドリングストップ後の再始動時の騒音・振動を抑制し、燃費の節約にもつながります。さらに、エンジン本体にも手が入れられて、気筒休止も加わったことで、より上質な走りと実燃費の向上も図ったとしています。
48V化された「B5」と呼ぶパワートレーンには、先述したボルボ製の「Drive-E」エンジンで3世代目となる4気筒2.0Lガソリンエンジンを搭載。燃費性能の高さはもちろん、コンパクト設計、新世代ボディ構造などにより、衝突安全性能の高さも特徴。
具体的には、シリンダーの表面処理の改良などエンジン内部のフリクション 低減を図るとともに、先述の気筒休止システムが追加されたことで一定条件を満たした状態での2気筒走行が可能となります。
これにより、実燃費の向上が期待されます。また、動力性能に影響を与えることなく、遮音性を向上させるために、エキゾーストシステムをはじめ多様な機構の改良も施されています。
さらにシフトレバーをシフトバイワイヤ化。同時にスウェーデンのオレフォス社製クリスタルガラス・シフトノブが「XC60 B5 AWD Inscription」に搭載されています。
XC90は、狭い住宅街などでは持て余す巨体ではあるものの、走り出せば高めのアイポイントなどにより大型SUVらしい悠々とした雰囲気、走りが味わえます。
XC60は、日本で乗るにはボディサイズの大きさとキャビン、ラゲッジスペースの広さのバランスに優れ、1台で日常使いからレジャーや各種アクティビティの相棒として応えてくれるSUVに仕上がっています。
「B5」搭載仕様の追加、特別仕様車の設定によりさらに燃費性能の向上も期待されますから、上質で静かなXC90、XC60を探している方に最適といえる新グレードといえそうです。価格は「XC60 B5 AWD Momentum」が634万円、「XC60 B5 AWD Inscription」が734万円、「XC90 B5 AWD Momentum」は824万円です。
(塚田勝弘)